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幻想白、月下美人
まぁ、なんて事ない話。
どれだけ美しくなろうと足掻いたって天下無敵のお月様には敵わないんだって、今更気付いたんだから。
今宵は満月、月が綺麗だなんて死んでも言うことはないでしょうね。
私は、私が一番好き。ナルシズムってやつでしょう、誰でも自分が一番だと思うのだけれどさ。
だから、綺麗に。美しくなる為に、身の振る舞いや身の丈に合ったものを身につけるようにした。
だけど、いくら美しくなろうとも、空の上で煌めき輝くお月様より美しくなることは私には出来ないわ。
月より輝く一等星になんて、成れるはずがない。
私はただの人間、月には敵わない。
だけど、一日くらいは月より輝く月下美人になったって不思議じゃないわよね。
だけど私は、宇宙の端にいる一等星よりも輝くことすらできない。
それでも私は美しい、世界の何処にいてもどんな存在であろうとも。
私の恒常的な美しさが失われることは元来ないはずなのだわ。
でも、鏡の妖怪が私の姿を映した時、醜かった。
本来の姿はとても醜く、抗えないほど。どうしようもない程私の心は醜いものだった。
それでも私はこの世界に抗い、美しさを求め続ける。
だって、それこそが私がこの世に存在し続ける意義なのだから。




