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白シリーズ  作者: 豆腐
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幻想白、死影葬

 幻想白、死影葬

私には兄が居た、二歳上の兄。

 幼い頃は一緒に遊んだりした、お互い歳を重ねてあまり関わらなくなった。

 行き場のない感情をぶつけた事もあった、兄の感情を、想いを無碍にしてしまったこともあった。

 兄は私に優しくしてくれた、別に性格が良かったわけじゃないけど不器用な優しさを私に与えてくれていた。

 そんな兄は病で亡くなった、大腸癌が骨などに転移し、抗がん剤治療で痩せこけていく兄を見ていくと空虚で、心には埋めようのな荊棘の塊が絡まって、解けなくなりより空虚に染まっていった。

 病室での兄は、いつもと変わらなかった。

 私がお見舞いに来た時、「あ、久しぶり。」とか、「もし死んだら葬式じゃみんなで笑ってくんない?」とか言われたからなんで返せばいいかわからなかった、何を言ってんだろうこの人……

 なんとなく分かっていた。

 兄がこの世から去る事は、分かっていたのに。

 大して悲しくないと思っていた、私は家族や身内との別れを経験したことが無く、ただ居なくなるだけ...関わらなくなるだけだと、そう感じていたし思っていた。

 葬式に出た私は泣くことはなかった。

 ただ、受け止められていなかった。

 兄という存在が私の中でとても大きく複雑な存在だった...のか、もっと単純なものかもしれないが。

 兄を失うのが怖い、そう感じるのは、死んでしまったのに、もういなくなった兄を失うことがなぜか怖いのだ。

 死者は忘れ去られた時が本当の死、なんて言葉があるが、私はそれが怖いのだ。

 今まで日常に居た兄が消え去って、声や顔や思い出が記憶から薄れていくのがとても怖い。

 私は兄を、とても愛していたのだな。


 死影葬

「俺は死んだ。

 引っ張られるってのは本当らしい、俺の体は世界の真下に引っ張られた。

 地獄行きかよ、くだらないな、悪い事したのかよなんか。」

 辺り一体は燃え盛る木々と草木に包まれている、川は血が炎に包まれ燃えているのが、何故か理解できる。

 そこに一人の少年がいた、駅員さんが被るような帽子をかぶって石を積んでいる。

「ようこそ、久しぶりだね。」

「久しぶり?初対面だろ、閻魔様。」

 初対面のはず……だ。

「君は初めてだね、でも君以外は初めてじゃない、同じ君を何回か見ただけさ。」

「意味がわからない……いや、なんとなく分かったかな。」

 少年、もとい閻魔は微笑み、こう続ける。

「君は死んだことを後悔しているか?」

「死んだことはしてねぇよ、家族とか、生前の色々が心配だけど。」

 閻魔は積んでいた石を他の場所に積み直していく。

「君の人生はとても良いものだった、その人生は取り戻せないし同じヒトには成ることは出来ない。」

「何が言いたい?」

 積み終わった石は宙に浮いて円を作り出す。

「この円の中に入れば、ヒトとしてまた生まれ変わることができる、何年かかかるけどね、君はどうする?」

 少し考えた、閻魔は気にせず石を積み始める。

「生まれ変わんなかったらどうなる?」

「人間の霊は仙人とか……そういうのに進化するけど、なりたいの?」

「それも面白そうだけどな……」

 答えは決まっていた、人間だった頃の気持ち、感情。

 肉体がある時の感覚は霊じゃ味わえない幸せなんだろう、直感でわかる。

「生まれ変わる、入っていいよな。」

「ご自由に、生まれ変わらないんだったらこの先の暗い道を進むといいさ。」

 石で作られた円の中に入ると、視界は暗闇に包まれ、意識を失ってしまった。

――――――――――――――――――――――――

 意識が覚醒した、何かに導かれて、母親になる人物が居る場所に連れて行かれた。

 母親は20代後半辺りだろうか、俺は魂だけの存在だし母親に取り憑いた瞬間俺は赤子になってしまう、記憶も無くなるし、母親に守護の術をかけよう。

 俺がこの世に生を受けて……意志が育つまでの間の守護の呪い(まじない)を……………………

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