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地球の管理者:異星文明に選ばれた元研究者  作者: azureimf
異星に嫁ぐプリンセス篇
154/186

D-DAY+178 2027年6月下旬 三文芝居

このエピソードは、物語中の日本皇室に対して、かなり踏み込んだ描写をしています

どうか一介の外国人が創作したフィクションSF物語として、楽しんでいただけたら幸いです

劇中人物は元モデルは存在するものの、フィクションのオリジナル設定を採用しています

#### 日本時間 PM 1:00 宮内庁庁舎・控室 絶望的な大根役者たち


重苦しい皇室会議が奇跡的な大団円を迎え、控室に戻ってきたp.admin一行

極度の緊張から解放され、ソファに深く沈み込むp.adminに向かって、実務トップのN君がすかさず進言した


N君:

「朱雀陛下。息つく暇もなくて申し訳ありませんが、もう一仕事あります。世間が抱く『一夫多妻』へのアレルギーや、過去の『誓い』に対する疑問を払拭するには、今この会議直後の熱気があるタイミングがこれ以上ない好機です。すぐにでもリコ妃殿下とさや妃殿下を呼び寄せ、メディアの前で『誓いの破棄を宣言するドラマ』を上演すべきです」


p.admin:

「ど、ドラマ……? 私が演技をしろと?」


N君:

「はい。理屈ではなく、視覚と感情で日本国民を納得させるのです」


外交官らしいN君の容赦ないメディア戦略に、p.adminは観念して「家族指輪」にタップしてホログラム通信を起動した

急遽、楽園島で執務中のR子とS子に繋ぎ、同時に宮内庁本庁前の座標を彼女たちの異星タブレットに送信した


R子(通信越し):

『旦那様のためならば、すぐに参ります』


R子はp.adminの役に立ちたい一心で、進行中の決済書類を放り投げ、一切の文句を言わずに快諾した


S子(通信越し):

『ちょっと、こっちは神島建設と会議中なんだけど!? ……まぁ、皇室のタヌキ親父たちがどうなったか気になるから、行ってあげるわよ!』


少し小言を挟みつつも、S子の声は明らかに「面白そうなイベント」への期待で弾んでいた


* 「リハーサル」


約30分後

宮内庁の車寄せにワープアウトしてきたR子とS子は、控え室でp.adminたちと合流した

彼女たちは、W子の控えめな黒いドレスのトーンに合わせ、上質だが華美すぎない、気品のある洋服に着替えていた。完璧な対応力である


しかし、記者会見まであと30分もない

この「誓い破棄ドラマ」の脚本・演出担当となったS子の号令で、隣の部屋で休んでいたK子様も呼び込まれ、即席のリハーサルが始まった


S子(演出家モード):

「いい!? ここは感情よ! 日本中が注目してるんだから、私たちが『K子様の参入を心から歓迎している』って絵面を作らないとダメなの! 旦那様(p.admin)、もっと申し訳なさそうな、でも決意に満ちた顔をして!」


p.admin:

「……こ、こうか?(顔を引きつらせる)」


S子:

「顔が怖い! 独裁者みたいになってる! はぁ……もういいわ、とにかく台本通りに喋って! W子も、声が小さいからお腹から声出してね!」


部屋の隅では、お茶出しに来た宮内庁の職員たちが、異星の王族たちが真剣な顔で「三文芝居の稽古」をしているシュールな光景に、ただただ呆然と立ち尽くしていた


* D-DAY+178 日本時間 PM 2:00 K首相の記者会見と、世紀の「茶番劇」開幕


午後2時。宮内庁内の特設会見場には、日本中の主要マスコミが殺到していた

壇上に立ったK首相は、フラッシュの嵐を浴びながら、歴史的な合意内容を堂々と発表した


K首相:

「……以上が、本日の皇室会議における全会一致の裁可内容です。K子内親王殿下、およびM子内親王殿下は特例法により皇籍を保留し、それぞれ朱雀陛下、N総括官との納采の儀を進められることとなりました」


記者席からは、驚きの声と同時に無数の質問が飛び交った。その中で、最も鋭い声が響く


記者:

「総理!朱雀陛下はかつて『これ以上妻を娶らない』と公言されていました。K子様が嫁ぐにあたり、この『誓い』の問題はどう解決されるのでしょうか!?」


K首相は、待ってましたとばかりに薄く笑みを浮かべた


K首相:

「朱雀陛下は会議中、明確に誓いの破棄を承諾されました。……また、本件につきましては、この後すぐ、朱雀陛下ご本人と『三人の妃殿下』から直接のご説明がございます。どうぞ、皆様ご自身の目と耳でお確かめください」


* 世紀の茶番劇


K首相が降壇した後

ざわめくマスコミの前に、p.adminと、彼を取り囲むようにR子、W子、S子が進み出た

3人の妻たちはしっかりと手を繋ぎ、中央に立つp.adminを真っ直ぐに見据えた。カメラのフラッシュが爆発するように瞬く


まずは、内政総括官・R子が一歩前に出た


R子(迫真の演技):

「旦那様。貴方が立てた誓いは、私たちへの愛ゆえのものでした。ですが、その愛が今……貴方と、貴方を愛する新たな人を苦しめています」


ここまでは良かった。しかし、生真面目なR子は、用意された「感情的な台本」に耐えきれず、いつもの実務モードのトーンに戻ってしまった。


R子(急に真顔で):

「……そして旦那様。貴方の誓いは、楽園島家族法の『夫婦間平等の精神』に明確に違反しています。妻の権力を不当に侵害する越権行為であり、内政総括官たる私の権限を以て、誓いは無効と認定いたしました」


法的な理詰めに切り替わったR子に対し、今度はp.adminの番である

世界を震え上がらせる異星の王は、カメラを前に完全にガチガチになっていた


p.admin(棒読み):

「……ソウカ。私ノ誓イハ、法律ニ抵触シテシマッタカ。

コレハ、私ノ間違イデアッタ。誓イハ、破棄ト、スル」


感情ゼロ。イントネーション迷子。まるで壊れたアンドロイドのような見事な大根役者っぷりである

記者たちは「えっ……?」と顔を見合わせた


ここで慌てたのが、発案者のS子である


S子(リハーサル不足のオーバアクション):

「そ、そうよ! 私たちは、貴方の愛が広がることを恐れませんっ! 貴方の心は、私たち3人だけで独占するには……おおっ、大きすぎますからぁっ!」


やや噛みながらの過剰なフォロー

そして、最後のバトンは極度の人見知りであるW子に回ってきた


W子(完全にカンペをガン見・棒読み):

「ですから……私たち『妻の総意』として……貴方をその誓いから、解放します……どうか、K子様の手を、取ってください(棒)」


K子様(戸惑いながらも超真剣に):

「朱雀陛下……! かおり皇后陛下……リコ姉様……さや姉様……! 本当に、ありがとうございました!!」


一人だけ事情(茶番劇のテンション)が追いついていないK子様が、ガチの涙目で深々と頭を下げる

p.adminはぎこちない動きでK子様の手を取り、5人全員で手を繋いで、メディアに向けて一礼した


記者たち:

「(……なんだこれ?)」

「(絶望的に下手な三文芝居を見せられている……?)」

「(でも、仮にも超有力国の国家元首のお言葉だし……K子様も一緒にやってるし……)」

「(……まぁ、いっか! 記事にはなる!)」


会場は、困惑と奇妙な笑いに包まれた

こうして「一夫多妻へのアレルギー」は、彼らのあまりの不器用さによって、良くも悪くも「平和的な笑い」へと変換されたのである


* ネットの反響


その日の夜。この「茶番劇」は、すべてのニュース番組でトップで報じられ、日本国民の夕食時の爆笑ネタとなった

この世界で生き残っていた巨大掲示板『2ch』の実況スレは、尋常ではない速度で消費されていった


『【速報】豚の王様、絶望的な大根役者だった件wwww』

『115: 名無しさん

国王の棒読み「ソウカ、私ノ間違イデアッタ」で腹筋崩壊したwwww』

『182: 名無しさん

リコ妃殿下、途中から完全に役所の手続きの説明になってて草』

『240: 名無しさん

かおり皇后陛下、カンペ見すぎww 目線が完全に右下固定やんけww』

『301: 名無しさん

さや妃殿下一人で舞台演劇みたいなテンションで浮いてるwww 演出家誰だよこれww』

『415: 名無しさん

唯一K子様だけがガチのトーンで感動してて、可哀想だけど萌えた(*´Д`)』

『550: 名無しさん

でもまぁ、嫁さんたち全員がK子様歓迎してるのは伝わったわ。王様は不器用だけど、いい家族なんだな』

『680: 名無しさん

↑それな。てかN総括官とM子様もだけど、今回の楽園島陣営、誠実すぎて文句言う気なくしたわ』


激動の皇室会議当日

日本の皇室の歴史を塗り替えたその日は、涙の決断と、不器用で愛すべき家族の「大根芝居」によって、日本中に温かい平和の風を吹き込んだのであった


#### 燃え尽きた父親


世紀の「茶番劇」が宮内庁前で繰り広げられ、マスコミが熱狂の渦に包まれていた頃

歴史的な皇室会議という嵐を終えた宮内庁の静かな廊下を、H親王殿下は肩を落として歩いていた

その足取りは、いつもの威厳に満ちたものとは程遠く、ひどく重かった


そこへ、会見を終えたばかりのK首相と宮内庁の儀典担当職員が足早に追いつき、恭しく頭を下げた


宮内庁職員:

「H親王殿下。本日の歴史的な裁可、誠にお疲れ様でございました。

つきましては、K子内親王殿下ならびにM子内親王殿下の『納采の儀』の日取りでございますが……特例法が国会で成立した後の『大安の日』に設定する方向で、直ちに調整に入らせていただいてもよろしいでしょうか?」


K首相:

「特例法は、私が責任を持って最速で成立させます。法的な正当性が万全となった状態で、国民の祝福の中で執り行うのが、お二人にとっても最善かと存じます」


K首相たちは、まだH親王が「宮家辞退」の件で怒り心頭に発しているのではないかと身構えていた

しかし、H親王は立ち止まると、総理たちを一瞥することもなく、ただ深く、乾いた溜息を吐き出した


H親王:

「……もうよい。お前たちで勝手に決めろ。私は……ひどく疲れた」


親王の瞳には、かつての鋭い光はなかった

上皇様という絶対的な大御心に諭され、そして何より、特権を捨ててまで愛を貫こうとした二人の娘の「本気の涙」の前に、彼は父親として完全に叩き折られたのだ。

皇族家長としての怒りよりも、ただ激しい疲労感と、得も言われぬ敗北感だけが残っていた。H親王はそれきり言葉を発することなく、迎えの車に乗り込み、自身の邸宅へと帰っていった。


* 書斎のウイスキーと、こぼれ落ちた本音


午後4時。赤坂御用地にあるH親王邸

昼下がりであるにもかかわらず、親王の書斎は厚いカーテンが引かれ、薄暗く沈んでいた


カラン、と氷の鳴る音が響く

極端に機嫌を損ねたH親王は、革張りのソファに深く沈み込み、普段は特別な夜にしか開けない秘蔵のスコッチ・ウイスキーのボトルを引き寄せ、グラスに並々と注いで煽るように飲んでいた


そこへ、ノックの音と共に書斎のドアが静かに開いた

妻であるH親王妃だった

彼女は、テレビのニュース速報や宮内庁大夫からの「報告」により、会議室で何が起きたのか

…M子が宮家を辞退したこと、N君の誠実な告白、上皇様の御言葉、そして最終的に夫が娘たちの意志を認めて立ち上がったこと

そのすべてをすでに把握していた


心配げな面持ちで近づいてくる妻の姿を視界の端に捉え、H親王はグラスを乱暴にテーブルへ置いた


H親王:

「……若者たちは、身勝手すぎた! 皇室の行く末も、親の心も省みず……もういい、あいつらの好きにしろ!」


吐き捨てるように放たれた怒声

しかし、その声はどこか震えていた。親王は両手で顔を覆い、絞り出すように最後の言葉を口にした


H親王:

「……この家は、ひどく寂しくなるな」


強硬な保守派の筆頭として振る舞ってきた男の、たった一つの本音だった

「皇室の未来」という大義名分の裏にあったのは、二人の愛娘が揃って遠い楽園島へと嫁いでしまい、自分たちの手元から完全に巣立っていくことへの、父親としての純粋な「寂しさ」に他ならなかった


* 妻の寄り添い


H親王妃は、痛ましげに顔を歪める夫の隣に静かに腰を下ろし、そっとその背中に手を添えた


H親王妃:

「……お疲れ様でございました。あの子たちを守るために、一番重い役回りを引き受けてくださったのですね」


彼女は、夫が娘たちを縛り付けようとしたのは、彼なりの「親心(娘たちが外の世界で傷つかないための防壁)」であったことを誰よりも理解していた


H親王妃:

「あの子たちは、決して身勝手になったわけではありません。あなた様の背中を見て育ち、強さと誠実さを学んだからこそ、自分の足で険しい道を歩む決意ができたのです。

……寂しくなるのは、確かです。でもね、あなた様が『あの子たちの選んだ道』と『その心』に寄り添ってあげることができれば……」


親王妃は、夫の強張った手を優しく両手で包み込んだ


H親王妃:

「彼女たちは必ず、またこの家に頻繁に戻ってきてくれますよ……今度は、頼もしい伴侶たちと一緒に、笑顔でね」


妻の温かい手の感触と、その優しくも確信に満ちた言葉に、H親王はゆっくりと顔を上げた


H親王:「……そう、だな」


窓の隙間から差し込む西日が、琥珀色のウイスキーを静かに照らしていた

絶対的な権威であった父親が、ようやく「一人の親」として娘たちの巣立ちを受け入れた、静かな午後の光景であった


#### 皇居のど真ん中での「メシ難民」


午後3時。怒涛の記者会見と「誓いの破棄(三文芝居)」を終え、H親王殿下をはじめとする皇室会議の議員たちは、それぞれ重い足取りで宮内庁を後にしていった

p.adminたちが使っているVIP控室には、無事に大役を果たしたK子様とM子様も合流していた

二人とも、父親であるH親王の機嫌が最悪であることを察しており、あえて時間を置いてから赤坂御用地へ帰ることに決めていたのだ


極度の緊張感から解放され、グリーンランドの防衛戦も含めた「二つの巨大な戦い」に完全勝利したp.adminは、ふと腹の虫が鳴るのを感じた


p.admin:

「……さっきはつまみ食いのサンドイッチやお菓子だけで、全然足りないな。せっかく全部終わったところだし、どこかで美味しいご飯でも食べに行かない?」


S子:

「大賛成! 急に日本に呼び出されたから、こっちは晩ご飯(※楽園島時間は現在19:00)まだ食べてないのよ。お腹ペコペコ!」


R子:

「旦那様が行きたいお店があれば……私はどこでも大丈夫です」


相変わらず、自分の欲求よりもp.adminの要望を最優先する真面目なR子


その様子を見ていたK子様は、少しだけ頬を染めながら、負けじと勇気を出して一歩前に出た


K子様:

「……朱雀陛下がよろしければ……私も、一緒に行きたいです」


「もちろん!」と頷いたp.adminは、スマホのマップアプリを開き、自分たちの現在地を確認した


p.admin:

「……あ、そうか。ここ、皇居のど真ん中じゃん」


今更ながらに気づく。ここ近くp.adminが一番土地勘があるのは「東京駅周辺」くらいしかない。しかも、ここにいるのは家族(王族)一行、日本のプリンセス二人、大使、そして総括官の総勢10名弱。さらにSPや護衛もつくとなれば、一般客のいない「完全個室」か「貸し切り」できる店でなければならない


p.admin:

「一番近いのは東京駅の周辺だけど……あそこは普通の店が多くて人が密集してるし、さっきの会見や『芝居』のニュース速報が流れたばかりだから、今あそこを歩くと完全にパニックになるよね……」


T先生:

「絶対にやめておきなさい。ただでさえ宮内庁の警備担当が胃に穴を開けかけているというのに、陛下が東京駅の丸の内口を歩こうものなら、暴動が起きますよ」


恩師からの的確なツッコミに、p.adminは苦笑いした


p.admin:

「K子は、この辺りは詳しい? 皇居の近くで、僕らみたいな大所帯でもサッと入れるレストランとかありませんか?」


K子様:

「申し訳ありません……宮中行事の際は決まった場所へ移動することが多くて、この周辺の一般のレストランはあまり存じ上げなくて……」


K子様は、役に立てないことを恥じるように少し俯いた


p.adminがスマホで必死に検索すると、皇居エリアの南東の隅に一軒だけ和食レストランがあるのを見つけた


「ここならどう?」とT先生にスマホの画面を見せると、T先生はすぐに控室の隅で待機している宮内庁職員に確認を取った


宮内庁職員(青ざめた顔で):

「そ、そちらは一般の観光客の皆様が多数利用されておりまして……現在の陛下の知名度と、妃殿下方と内親王殿下方の護衛を考慮いたしますと、警備上、極めて困難でございます……!」


p.admin:

「うーん、ご飯食べるだけでも一苦労だな……なら、ここ宮内庁の中に『食堂』くらいあるでしょう?」


時間はすでに午後3時

一般的な官公庁の食堂のランチ営業時間はとっくに終わっている

しかし、宮内庁の職員がトランシーバーで慌てて確認を取ると、数分後、「……特別に、今からでも地下の食堂をご利用いただけるよう手配いたしました」という、胃を痛めたような返事が返ってきた


* 王とプリンセス、ザ・食堂に降臨


K子様、M子様、そしてp.admin一行(T先生とN君を含む)が、案内されて宮内庁庁舎の地下1階へ降りていくと、そこには誰もいない、ガランとした「ザ・社員食堂」という言葉がぴったりの質素な空間が広がっていた


パイプ椅子にプラスチックのテーブル

壁のメニュー表には「ラーメン 450円」「カレーライス 400円」「きつねうどん 350円」。日替わり定食はあるものの、総じて「普通の社食」であり、値段は驚くほど安かった

そして最大の壁が立ちはだかった。行政のルールの関係上、この食堂は「券売機での現金(小銭か千円札)払いのみ」という、キャッシュレスの楽園島から来た彼らにとって最も過酷なシステムだったのだ


p.admin:

「せっかくの歴史的な勝利の祝いの場が、1杯400円の食堂……まぁ、いっか!」


p.adminは気を取り直し、普段の生活では全く使わない財布のから「一万円札」を取り出し、券売機に突っ込んだ


――ジィィィ……ペッ


p.admin:「あれ?」


何度入れても、無慈悲に吐き出される福沢諭吉


p.admin:

「どうやら千円札しか受け付けないらしい」


「千円札のみ」と書かれた小さなシールが貼ってあった


p.admin:

「千円札、誰か持ってる?」


p.adminが振り返ると、全員が首を振った

W子とR子の財布には「いざという時のためのピン札の万円札」しか入っておらず、N君は完全キャッシュレス派、K子様とM子様に至っては現金を持ち歩く習慣すらない


T先生:

「……やれやれ。国家元首が食券も買えないとは。ほら、私の財布から3000円貸してあげよう」


宮内庁職員:

「あ、あの! 私の財布の5000円札も崩してまいりました! どうぞお使いください!」


結局、恩師であるT先生と、見かねた宮内庁の職員から現金を借りるという、異星の王らしからぬドタバタ劇の末、なんとか全員分の食券を買い揃えることができた


厨房のおばちゃんたちが異常な緊張感の中で腕を振るい、数分後、プラスチックのトレイに乗った定食が次々とカウンターに並べられた

p.adminが立ち上がって取りに行こうとすると、「陛下、私が!」とN君がすかさず全員分の料理をテーブルへ運んでくれた


並んだメニューは、見事なまでにバラバラだった


p.admin: 豚丼(大盛り)

W子: カレーうどん(汁が飛ばないようにエプロン付き)

R子: ハンバーグ定食(一番カロリーが高そう)

S子、K子様、M子様: 日替わりの鮭ムニエル定食(女子力高め)

T先生、N君: 醤油ラーメン(男の基本)


自分の前に置かれた山盛りの豚丼を見て、p.adminは割り箸を割りながらニヤリと笑った


p.admin:

「豚(の王様)が豚丼を食う……共食いかな?(笑)」


S子:

「ちょっとあなた!折角の勝利の余韻が台無しじゃない!食欲なくすからやめてよ!」


W子:

「ふふっ……」


K子様:

「(豚の王様だなんて……ちっともそんなことないのに……ふふっ)」


K子様は、p.adminの自虐的な冗談に、口元を抑えて上品に笑いを堪えた


p.admin:

「そうだ、せっかくの祝いの場なんだから、乾杯くらいしよう!」


p.adminが提案するも、ここは厳粛な宮内庁の庁舎内

当然ながらビールなどのアルコール類は一切メニューにない

N君が急いで食堂の隅にある自動販売機へ走り、小銭を投入して飲み物を買い集めてきた


p.adminの前には「瓶のフルーツ牛乳」

K子様たちには「お茶」 N君とS子には「コーラ」


p.admin:

「……まぁ、絵面は最高に地味だけど!

今日は、グリーンランドの防衛も、そして『古い鳥籠』を壊す会議も……皆と一緒だったから、すべての困難を乗り越えることができました。

僕たちの新しい未来と、最高の勝利に……乾杯!!」


「乾杯!!」


プラスチックのコップや、ペットボトル、そしてフルーツ牛乳の瓶が、薄暗い地下食堂のテーブルの上でカチンと不揃いな音を立ててぶつかり合った


M子様:

「……本当に、長かったわね。Nさん、これからはずっと一緒にお昼ご飯食べられるわね」


M子様は、鮭のムニエルをつつきながら、隣でラーメンを啜るN君に満面の笑みを向けた


N君:

「ええ。ここのラーメンも美味しいですが、M子様の手料理の足元にも及びませんよ(食べた事ないのに)」


M子様:

「もう、おだてても何にも出ないわよ?」


その微笑ましいやり取りを見つめながら、K子様は自分の手元の温かいお茶の入った紙コップを、両手で大切そうに包み込んだ

そして、目の前で口の周りにタレをつけながら豚丼を豪快にかき込んでいるp.adminを見つめ、心からの安堵と幸福感に包まれた


M子様:

(……高級なフレンチでも、豪華な晩餐会でもない。でも、この古ぼけた地下の食堂で、彼と一緒に食べるご飯が……これまで一番美味しくて、一番温かいわ)


宮内庁の職員たちが部屋の隅で「あの朱雀陛下が豚丼を……」と目を丸くして見守る中。

世界のパワーバランスを根底から覆し、歴史を変えた異星の王と妻たちと二人のプリンセスは、一杯数百円の質素なランチで、誰よりも幸せな「巨大な勝利の宴」を楽しんでいた

K子様との交際や婚約に関する件は、もう少し続きがありそうです

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