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D-DAY+164 2027年6月上旬 パタパタする日々:3人でミンームパーク

明けましておめでとうございます

今年も仕事と生活の合間から少しずつ投稿してまいります

エタる事は恐らくないと思いますが、マンネリ化を防ぐために密かに物語の終わり方を考えた事もありました

だいぶ先の事なので、今は物語の続きを楽しみにしていただければ幸いです

* 医療室の喧騒:


ロンドンからのワープ転送直後、マンションに一度戻ったp.adminでしたが、W子とR子の姿がなかったため、彼はそのまま医療エリアへと足を運びました

そこには、イギリスから派遣された客室乗務員(CA)たちと協力し、テキパキと動くR子とW子の姿がありました

昨日の王室医療チームの医師たちも一足先に合流しており、今日イギリスへ帰還する約300名の患者たちの最終チェックに追われています


R子はp.adminの姿を見て、直ぐ駆け寄ってきた


R子:

「旦那様、おかえりなさいませ! 無事のご帰還、安心いたしました……今日はガンの治療が一段落した方々など、300人近い帰還予定者がいるんです。W子さんにも手伝ってもらって、朝からボディスキャンのフル稼働ですよ」


p.admin(朱雀 椿):

「R子、ごめんな。W子も……朝からありがとう。時差を考えると、みんな寝る暇もなかっただろうに」


現在、W子が医療ベイを操作し、ナノマシンによる腫瘍除去の結果をスキャンしています。そのホログラムデータを医師たちが精査し、イギリスの自宅へ戻っても問題ないか「退院許可」を下す

この一連のフローが、楽園島の朝を活気あるものにしていました

何故今の時間帯に検査を集中していると言うと、時差的に、楽園島の朝9時からワープゲートを通して前日のPM 20:00にロンドン(バッキンガム宮殿)に戻ると、その日の内に家に戻れるという配慮でした


* 室外テーブルの朝食会


R子:

「旦那様、朝ごはんは? ……あ、イギリス時間ではもう夜中ですね。でも、お腹空いていらっしゃいませんか?」


p.admin:

「いいよ、みんな忙しそうだし。ご飯くらい自分で何とかするよ……」


R子:

「そんな! ちょうどイギリスから届いた朝食セットが余っているんです。帰還人数の変動で、どうしても廃棄が出そうでもったいないですから。バッキンガム宮殿の焼きたてパンもありますよ!」


イギリス側は最大毎日1000人分の朝食、ランチと晩ご飯の機内食パークを提供するが、

帰還人数の変動で王宮の連絡役が楽園島の昼過ぎに提供元の航空会社に連絡して調整している

また、一時帰国の家族による差し入れもあるから、どうしても用意した食事は余傾向があります

昼食と晩ご飯は冷凍パックのままで調整が効くが、朝は温め済の状態で送られてくるので、誰が食べてくれないと廃棄するしかない


今日の朝食は、ソーセージとスクランブルエッグ、焼きベーコンと焼きトマトのセットに加え

グリーンピースを煮込んたスープと、バッキンガム宮殿で焼きたてのパンがついてくる


p.adminは、温められたばかりの朝食セットを手に取り、行政ビル近くの室外テーブルへ移動しました

少し遅れて、自分の分のトレイを持ったR子が隣に座りました


* R子の「本当の望み」


p.adminはパンをちぎりながら口を開いた


p.admin:

「……実はね、R子。今回のロンドン滞在で、イギリスから大きな約束を取り付けてきたんだ。国王の特許状(Letters Patent)による王室の直轄保護、それから我々家族を王室準構成員『(Extended Royal Family)』として扱うという保証だ」


p.adminは、大切に持っていた金色の金属製パスポートをR子に見せました


p.admin:

「これを持っていれば、イギリス領内では自動的に王室の保護下に入る。君とW子の分は、来週イギリスに行くときにもらえるでしょう…これは君やW子、S子のための『保険』を、一つ形にできたと思う」


R子は黄金のパスポートの輝きを眩しそうに見つめ


R子:

「……ありがとうございます、旦那様。私たち家族のために、そこまで心を砕いてくださるなんて……でも……」


R子はふと、真剣な眼差しをp.adminに向けました


R子:

「私にとって一番大事なのは、地位や保証よりも、旦那様ご自身が安全で、健康でいてくださることです。あまり無理をなさらないでくださいね? 私たちは、旦那様の隣にいられるだけで幸せなのですから」


R子の返事に対して、p.adminは照れくさそうにR子を労う案を切り出した


p.admin:

「……ああ、わかってる。だからこそ、今日はこの後の仕事が落ち着いたら、『ミンームパーク』にでも行かないか? 少しリフレッシュしたいんだ」


R子:

「まあ! 旦那様、お疲れじゃないですか? ……でも、お誘いは嬉しいです。W子さんも一緒なら、ぜひ喜んでお供しますわ」


一区切りの作業を終えたW子がやってきました

彼女のトレイには、スープのカップがありません


W子かおり:

「ふぅ、ようやく一息つきました。……あら、お二人で密談ですか? あなた、おかえりなさい」


R子:

「W子さん、ちょうどよかった。旦那様から『金色のパスポート』のお話を聞いていたところです。それに、仕事が終わったらみんなでミンームパークに行きましょうって!」


W子:

「ミンームパーク! 素敵ですね。最近、医療ベイの画面ばかり見ていたので、緑が恋しかったんです……あ、でも私、このグリーンピースのスープはちょっと苦手で(苦笑)朝食パックのソーセージだけいただきますね」


朝の楽園島に、p.adminはようやく自分の「家族」との安らぎの時間を取り戻した


#### 患者達たちへの贈る言葉


朝9時前。R子は朝食の片付けを終えると、中央広場に設置された大型ワープゲートの調整に入りました

その傍らには、荷物をまとめ、どこか晴れやかな表情を浮かべた約300人のイギリス人患者とその家族たちが列を作っています


そこへ、一人の楽園島職員がp.adminのもとへ息を切らして駆け寄ってきました


職員:

「朱雀陛下! お食事中に申し訳ありません。……出発を前にした患者様たちが、どうしても最後に陛下に直接お会いして、感謝を伝えたいと仰っておりまして。医療室前の広場までお越しいただけないでしょうか?」


p.admin(朱雀 椿):

「分かった、すぐに行こう。W子、一緒に行けるかな?」


W子かおり:

「はい、行きます…」


二人が広場に到着すると、そこには一週間前とは見違えるほど血色の良くなった人々が待っていました

車椅子だった人が自らの足で立ち、重い咳に苦しんでいた人が深く息を吸い込んでいます


「Thank you, Your Majesty!」「God bless you!」


幾重にも重なる感謝の声に、p.adminは静かに手を挙げ、全員を見渡せる位置に立ちました


p.admin:

「皆さん。この一週間の、決して楽ではなかった治療をよく耐え抜き、頑張りました……皆さんが再び手に入れたその健康と時間は、何にも代えがたい宝物です。どうか、イギリスへ戻ったら、大切な家族や友人とのかけがえのない時間を過ごしてください」


広場が静まり返る中、p.adminは言葉を続けます


p.admin:

「そして……もし、皆さんの心に少しでも余力が生まれたなら。今度は皆さんが、助けを必要としている誰かに、そっと手を伸ばしてあげてください。皆さんの元気な姿こそが、私たちの何よりの報酬です」


一瞬の沈黙の後、地鳴りのような拍手が広場を包みました。それは単なる礼儀ではなく、死の淵から生還した者たちの、魂からの喝采でした


当初はスピーチだけで終わる予定でしたが、誰からともなく「陛下と握手をしたい」という列ができ始めました

p.adminは快くそれに応じ、一人一人の手を力強く握ります


患者の一人(高齢の男性):

「陛下……この手で再び孫を抱き上げることができます。この恩は一生忘れません」


p.admin:

「ええ。お孫さんを、力いっぱい抱きしめてあげてください。」


隣ではW子も、母親たちや子供たちの手を取り、優しく微笑みかけていました。


W子:

「ロンドンは今夜も冷えるから、気を付けてください。お元気で」


予定より少し遅れた午前9時20分(ロンドン時間 20:20)

R子の操作によりワープゲートが青白く発光しました。


「さようなら!」「また会いましょう!」


再会を誓う声と共に、300名が次々とゲートの向こう側の夜のバッキンガム宮殿中庭へと吸い込まれていきました

最後の一人が消え、ゲートが閉じると、広場には再びいつもの南国の静寂が戻ってきました


R子はホログラムのコンソールを閉じながら


R子:

「全員無事に転送完了です。旦那様、W子、お疲れ様でした」


p.admin:

「さあ、これで一仕事終わりだ。W子、R子。約束通り、着替えたら『ミンームパーク』へリフレッシュしに行こうか」


命を救うという激動の朝を越え、p.adminたちはようやく「家族」としての穏やかな休日へと向かう準備を始めました


### Lee先生の謝罪


* 楽園島 AM 9:30


イギリスでの激動の30時間を終え、楽園島に帰還したp.admin。体のリズムはまだロンドン時間の深夜であり、心地よい疲労が彼を襲っていました

「楽園島の昼12時まで仮眠を取ってから、みんなで遊びに行こう」とW子と約束し、ベッドに潜り込んだ矢先のことでした


控えめながらも、切迫した響きのドアベルがリビングに鳴り響きました


玄関に出たW子が戻ってくると、申し訳なさそうにp.adminの肩を揺らしました

「あなた、ごめんなさい……。Lee先生がお見えです。どうしても、今すぐお話ししたいことがあるそうで……」


寝ぼけ眼をこすりながらリビングへ向かうと、そこにはいつも温厚なLee先生が、かつてないほど沈痛な面持ちで座っていました

その手元には、T先生から届いたばかりの「弾劾メール」がプリントアウトされていました


Lee先生:

「朱雀陛下……お疲れのところ、誠に申し訳ございません。T先生からの報告を受け、居ても立ってもいられず……私の推薦でSADA先生をイギリスへ送り出したというのに、彼女がこれほどまでに分別を欠き、職権を私情のために乱用するとは……。すべては私の人選ミスです。本当に、申し訳ございません」


Lee先生は深く頭を下げました。先生としての誇り、そして楽園島幹部としての責任感が、彼を突き動かしていました


p.admin(朱雀 椿):

「Lee先生、顔を上げてください。SADA先生の行動に問題があったのは事実ですが、それは彼女自身の未熟さゆえのこと。先生が謝罪されることではありませんよ」


p.adminの宥めに対して、Lee先生は苦渋に満ちた表情で反応した


Lee先生:

「いいえ、陛下。私は責任を取り、『イギリス大使代理』として現地へ赴く覚悟です。半年、あるいは一年、私が横で彼女の勤務態度を監督します。もしそれでも大使に相応しくないと判断した場合は、別の適任者を探します……その代わり、彼女と息子さんの生活だけは、大使館職員としてでも良いので、イギリスで続けさせてやってはいただけないでしょうか」


* p.adminの決断:適材適所の哲学


p.adminは深く椅子に背を預け、少しの間、思考を巡らせました。Lee先生の誠実さは痛いほど分かりますが、楽園島の「今」を考えれば、その提案は受け入れがたいものでした。


p.admin:

「Lee先生。先生の責任感には敬服しますが、今の楽園島で先生をイギリスへ送るわけにはいきません。人命救助の最前線、そしてR子がいない間の内政代理……今の島で、先生やH先生の代わりが務まる人間はいないんです。外交の実務ならN君やT先生がいますが、『内政の要』は先生なんです」


Lee先生:

「しかし、このままでは陛下やT先生に合わせる顔が……」


p.admin:

「SADA先生の再教育は、当面N君に徹底的にやらせます。彼はあの通り、実務には容赦がない。先生は時期を見て、一度イギリスへ渡って彼女を諭してやってください。それで十分です」


p.adminの宥めにより、Lee先生は少しだけ表情を和らげましたが、それでも「今日中にけじめをつけたい」という意志は変わりませんでした


Lee先生:

「……承知いたしました。ですが、せめて今夜、ワープゲートでイギリスへ向かわせていただきます(楽園島 PM 22:00→イギリス AM 9:000)直接彼女の目を見て、事の重大さを説いてまいります。私にできるせめてもの償いです」


p.admin:

「……分かりました。先生がそこまで仰るなら、止める権利は私にはありません。よろしくお願いします、Lee先生」


約一時間にわたる話し合いが終わり、Lee先生は少しだけ肩の荷を降ろしたように退出していきました


リビングに残されたp.adminは、大きなあくびを一つ


p.admin:

「……さて、SADA先生のことはT先生、N君、そしてLee先生。この三巨頭に任せれば間違いないな」


今度こそ深い眠りにつくため、彼は再びベッドへと向かいました


* 楽園島 PM 12:30 日本時間 AM 8:30


p.adminとW子とR子はワープゲートを通してつくば楽園島大使館の屋上に出現しました

本当は埼玉県飯能市にあるミンームパークまで車ではつくばから96キロも離れていて、関東平野を跨ぐような距離ですが

幸い、首都圏中央連絡自動車道こと圏央道が開通されていることから、つくばから埼玉西部へのアクセスが飛躍的に向上した


いつもならこうしたちょっとした距離の移動は、N君が色々準備したり関係各所に連絡しているが、あいにくN君はいまイギリス滞在中

p.admin自体も、毎回のプライベートの行動を、日本政府と絡んで何かしら「接待」される形になるのを避けたい

ただ日本側への最低限の配慮が必要である事から、出発する前に警察側に目的地や大まかなスケジュールを告知する事はp.adminは納得できた


朝の8:30、つくば大使館の職員も一部しか出勤されてなくて、T先生もまだ出勤していない

出勤直後の職員たちが慌てて駆け寄ってくる中、p.adminは手短に指示を出しました


p.admin: 「これから家族で埼玉県飯能市の『ミンームパーク』へ向かう。警察関係には『9時につくば中央ICから圏央道に乗る』と伝えてくれ。警護は大げさなのは困るから、覆面パトカーでお願いしたい」


大使館を後にした一行は、つくばの自宅に停めてあったp.adminの愛車、エスティマ・ハイブリッドに乗り込みました

助手席にはW子、後部座席にはR子。この「普通」の感覚が、今のp.adminには何よりの贅沢でした


ガソリンスタンドで給油を済ませ、マクドナルドのドライブスルーへ


p.admin:

「バッキンガムの朝食も美味かったけど、やっぱりこの『朝マック』のジャンクな感じが落ち着くんだよな(笑)」


* 日本時間 AM 9:00


つくば中央ICのゲート前に到着すると、約束通り2台のトヨタ・クラウン(覆面)が赤い警光灯をグローブボックスの上で控えめに点灯させて待機していました


3台の車列は圏央道へと入り、埼玉方面へ向けて快調に滑り出しました。車内では、イギリスでの出来事が話題にのぼります。


p.admin:

「……それでさ、ダンスの練習があまりにボロボロだったから、見かねた使用人さんが応援を呼んでくれたんだ。使用人Cさんっていうんだけど、金髪碧眼のスタイル抜群な人でね。流石は本場というか、教え方が上手くて……」


R子は後部座席から、少し声を低くして抗議してきた


R子:

「へぇ……金髪碧眼の、スタイル抜群の、正統派美人さん……ですか。旦那様、そんなに鼻の下を伸ばして踊っていらしたんですか?」


p.admin:

「えっ!? いや、そんなことは……緊張して直視もできなかったくらいで……」


W子は助手席でクスクス笑いながら


W子:

「ふふ、R子。彼は本当にタジタジだったみたいですよ。鏡の中の自分のステップより、彼女の視線を避けるのに必死だったって後で白状してましたから」


R子:

「……まあ、旦那様のダンスの練習の為だから仕方ありませんけれど。でも、次は私ともしっかり踊ってくださいね?」


思わぬ「やきもち」に、p.adminは苦笑いしながらハンドルを握り続けました


* 日本時間 AM 10:30:ミンームパーク到着


圏央道をひた走り、茨城・千葉を経て埼玉へ。県境を跨いでもパトカーの入れ替えがないことに、p.adminは「圏央道の管轄の一体化か、あるいは日本政府の特別な配慮か」と感心しながら、飯能市の山間にあるミンームパークに到着しました


駐車場に車を停めると、前後を守っていた覆面パトカーから、制服警官2名と私服警官2名が降りてきました。


私服警官:

「朱雀陛下、本日はお供させていただきます。周囲に威圧感を与えぬよう、我々も少し距離を置いて同行いたしますので」


p.admin:

「ありがとうございます。……さて、せっかくですから皆さんの分のチケットも。私が購入しますね」


p.adminは窓口で、自分たち3人と警官4人の、計7人分のチケットを購入しました


p.admin:

「よし、入ろう。今日は政治も外交も抜きだ。北欧の雰囲気でも楽しんで、ゆっくりしよう」


北欧の童話の世界を再現した穏やかなパークの入り口を、楽園島の王と二人の妃、そして彼らを守る鋭い眼光の警官たちが、奇妙ながらもどこか微笑ましい一行として通り抜けていきました


#### 初夏の宮沢湖とミンームパークの散策


* 初夏の緑と「カバの妖精」


6月の爽やかな風が、飯能の山々を揺らしています

パークに足を踏み入れると、目の前には宮沢湖の穏やかな水面と、燃えるような新緑の景色が広がっていました


R子リコ:

「わあ……! 旦那様、見てください! あそこにいるのがミンームですよね? カバに似ているけれど、本当は『カバの妖精トロール』なんですよね。とっても可愛らしい!」


p.admin(朱雀 椿):

「お、おう……カバじゃないのか。……実は俺、あんまり詳しくなくてさ。ただの巨大なカバの物語だと思ってたよ」


W子かおり:

「ふふ、あなたらしいわ。R子さん、この人にあれこれ教えてあげて。この家の作り、北欧の生活の知恵が詰まっていて素敵ね」


平日の午前中ということもあり、パーク内は閑散としています

制服警官2名が少し離れた後ろから周囲を警戒し、私服警官2名はR子とW子の隣で、まるで親戚か友人のように自然に寄り添っていました


* ミンームの家と予想外の接触

「ミンームの家」の細部まで凝った内装を楽しみ、12時。劇場のステージでは着ぐるみのミンームたちが愛らしいダンスを披露していました

その様子を微笑ましく眺めていた一行でしたが、一組の母子がp.adminの存在に気づき、顔色を変えました


劇が終わると、母親が意を決したように駆け寄ってきますが、即座に私服警官が間に割って入ります


母親:

「朱雀陛下……! お願いです、お話を聞いてください!」


警官:

「下がってください。プライベートの時間です」


p.admin:

「……待って。警官さんいいよ、通してあげて。」


p.adminは警官を制し、母親の前に屈みました

隣の5歳の男の子は、唇の色が少し紫がかっています

母親は震える声で口を開いた


母親:

「イギリスでのニュースを見ました……陛下なら、息子を助けてくださるかと……この子は心臓が弱く、今は移植を待つしか道がないと言われているんです」


p.admin:

「……今は、日本側との正式な医療協力プランがまだできていないんだけど、近い内に救済プランが形になると思いますが、そこまでは待ってもらえませんか?」


母親:

「しかし…この子はそこまで待てるか、私…心配で…正直どうしようもなく…」


p.adminは小さくため息をつきました

本当は、こうして個別に救済することはルールの崩壊を招くと分かっています

しかし、目の前の母親の必死な瞳と、小さな子供を無視することはできませんでした

p.adminはW子から手帳とペンを借り、サラサラと力強い筆致で文面を書き込みました


「本状の持参者と同伴家族を、つくば大使館経由で楽園島へ転送し、異星医療による心臓欠損の修復治療を許可する

2026年6月X日 朱雀 椿」


p.admin:

「我々は今週は色々忙しいので、息子の体調が急激悪化しない限り、来週以降、息子の体調が良い時にこのメモを持って、つくばの大使館へ来てください」


母親は震える手でメモを受け取り、その場に泣き崩れました


* ンームの食堂:「救済」と「気まぐれ」


13時過ぎ。一行は「ミンームの食堂」で遅めのランチを取る事となった


R子:

「……旦那様。さっきのこと、私、イギリスで患者さんたちをお世話して分かったんです。こういう『気まぐれな救済』は、本当は良くない。でも…目の前に迫ってくると…本当にどうしようもなく、子供は非がない、けど誰を救い、誰を後回しにするかは決められない…」


p.admin:

「……ああ。正直に言うよ。さっきのメモは、俺の直感と、その場の良識に従っただけの『気まぐれ』だ。緊急度でいえば、もっと深刻な子が他にいるかもしれない。でも、目の前の絶望を見殺しにすることは、俺にはできなかった」


W子:

「それがあなたの『良心』だものね。でも、制度を早く整えないと、あなたの体がいくつあっても足りなくなってしまうわ」


p.admin:

「わかってる。日本政府とも、早急に正式な救済プランを組むよ……さて、重い話はここまでだ! せっかく来たんだから、アトラクションを楽しもう」


* 湖上のジップラインと「重量制限オーバー」


最後に訪れたのは、湖の上を滑空する「ジップライン」でした


係員:

「えーと、お客様……。誠に申し上げにくいのですが、こちらの器具の耐荷重制限がございまして……」


p.admin:

「……え、俺、乗れないの?」


係員:

「……はい。お客様の体重は恐らく安全基準を超えておられまして……」


「ジップライン」の乗り場は体重計はないですが、p.adminの現在の体重はおそらく120kg台があって

自己申告でも明らかに100kgの安全基準を超えてしまった


p.admin:

「だと思ったよ!まあ仕方ないですね…所でW子は?」


W子:

「私もいいわ。空を飛ぶのは転送だけで十分(笑)」


p.admin:

「R子、君だけでも乗ってきなよ! ほら、私服警官の二人が先回りして着地点で待ってるから。な?」


遠慮していたR子でしたが、二人の強い勧めで挑戦することになった

青空の下、宮沢湖の上を「キャー!」と楽しそうな悲鳴をあげて滑空していくR子の姿を、p.adminは少し寂しそうに、しかし満足げに見送りました


その後、3人はパーク内でまた見てない建物を見て回り

午後4時半。初夏の陽光が少しずつ黄金色に変わり始める頃、一行は再びエスティマに乗り込み、帰路につきました


***


つくばへの帰り道、オレンジ色の夕陽がダッシュボードを照らし、エスティマの車内を優しく包み込んでいます。バックミラー越しに、少し疲れた様子のR子と、静かに窓の外を眺めるW子の姿が見えました

夕暮れの圏央道に走る車を運転するp.adminはふと呟いた


p.admin:

「なんだかんだ昔を思い出したね、台湾に居た時も…3人で陽明山に行った時もこんな感じだったね」


W子は特に返事しませんでしたが、R子は嬉しそうに反応した


R子:

「……はい。気づけばもう、20年以上も前のことなんですね。時間が経つのは、本当にあっという間です」


p.admin: 「結局のところ、仕事はそこそこにして、今日みたいに気まぐれに散歩に行く……そんな生活が俺の性に合ってるんだろうな……もっとも、普通のエンジニアを続けていたら、R子を妻として迎えることもできなかっただろうから、どっちが良いとは言えないけれど。」


その瞬間、車内の空気がわずかに冷えたのをp.adminの肌が察知しました。W子は何も答えず、ただ静かに視線を外に向けています。R子もW子への配慮からか、「うん……」と小さく頷くにとどめました


(……しまった、余計なことを言ったかな)


この後、一日中歩き回った疲れからか、やがて、二人の寝息が聞こえ始めました

p.adminは運転手なので眠気を追い払うためにブラックガムを口に放り込みました


***


渋滞気味の圏央道を抜け、一行がつくばの大使館に戻ったのは午後6時半でした

車から降りてくると、そこにはT先生が待ち構えていました

遊び呆けて帰ってきた3人を見るT先生の目は、まさに「何とも言えない」複雑な光を湛えています


p.admin:

「あ、T先生……いや、最近はR子に苦労をかけっぱなしだったので、たまにはね。あ、もちろん、イギリス関連の仕事はきっちりやってますよ!」


必死に「サボりではない」とアピールするp.admin。それを見かねたR子が助け舟を出しました


R子:

「T先生、イギリスへの対応ではいつも助けていただき、ありがとうございます。おかげさまで、今日は良いリフレッシュになりました。明日からまた、一層頑張れそうです」


T先生はR子の解釈を聞いて、少し表情を少し和らげて返事した


T先生:

「……リコ妃殿下が常に尽力されていることは、重々承知しております。仕事の合間の休息もまた、公務のうちですから……朱雀陛下も、ほどほどになさってくださいよ」


p.adminは苦笑いしながら、今朝のLee先生からの謝罪の件、そしてパークで出会った母子への「治療の約束」をT先生に共有しました

その後、近所のコンビニでおにぎりと数点のおつまみを手早く購入し、一行はワープゲートを抜けて楽園島へと帰還しました


* 楽園島 PM 22:30 初めての川の字


楽園島の自宅マンションに戻ると、時刻は深夜。R子は明朝からの医療業務に備え、自分のマンションへ戻ろうとしました


W子:

「R子、待って……今日は、3人で一緒に寝ましょう」


R子は驚いたが、嬉しそうに反応した


R子:

「えっ?……あ、はい!すぐに着替えを取って戻りますね!」


p.adminは当初、「今日はW子が寝室で、俺は客室でR子が寝るということかな?」と勘違いしていました

しかし、パジャマに着替えたR子が戻ってくると、W子は迷わずR子を連れて自分たちの主寝室のドアを開けました


p.admin:

(……え、3人同じベッドで寝るってこと!?)


W子にとって、夫が隣で別の女性と眠ることは、心の中にあった最大の「タブー」でした

しかし、最近のR子の献身、そして今日の穏やかな休日を経て、W子の中で何かが変化したようでした


キングサイズのベッドの中央にp.admin、左側にW子、右側にR子

W子は背中を向けながら、小さな声で呟いた


W子:

「……今日は特別ですよ。R子さんが頑張っていたから……おやすみなさい」


R子はW子の呟きを聞いて、幸せそうに反応した


R子:

「おやすみなさい、W子さん……旦那様も」


p.admin:

「……ああ、おやすみ。二人とも」


3人の温もりが伝わる、静かな夜。窮屈さを感じさせない広いベッドの上で、p.adminは自分の隣にある「二つの妻」に感謝しながら、深い眠りに落ちていきました

今回も1万字を超えました

非日常の世界で、できるだけ主人公であるp.adminがあこがれる日常の生活を書いてみた

次から、まだ楽園島と日本、イギリスとの関係が色々動き出そうです

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