D-DAY+162 2027年6月上旬 異星人にスマートフォンを!
snsv日本法人の通販部門。午前9時半、出勤したばかりの担当Aさんは、システム画面に表示された巨大な注文リストを見て、目を疑いました
Aさん(注文担当):
「課長! ちょっとこれ見てください! 公式サイトのオンライン注文が……ROC Phone 11が1,000台!? しかも個人名で!」
B課長は画面を覗き込みながら
B課長(通販部門課長):
「馬鹿な。法人でも一気にそんな数は来ないぞ……って、待て。注文者名が『朱雀 椿』? 届け先が『つくばの楽園島大使館』!?」
B課長は、注文のスケールの大きさだけでなく、顧客の正体に気づき、顔色を変えました
金額はざっと計算して1億3,000万円。そして、その代金が既に振り込まれ済みであるという事実に、部門内で対応できるレベルではないことを悟りました
B課長:
「Aさん、これは大ごとだ! 至急、営業部長にこの件を報告するぞ!」
すぐに営業部長と社長が緊急招集され、注文の経緯が報告されました
部長は注文の規模よりも、製品の選定理由に頭を悩ませました
C部長は腕を組みながら口を開いた
C部長(営業部長):
「金額や支払いについては問題ない。定価で買っていただいたのだからありがたい。しかし、なぜ最新のゲーミングスマホを1,000台も? 通常、業務用ならもっと安価なビジネスモデルを選ぶはずだ。何に使うつもりなんだ……?」
社員たちは「楽園島でeスポーツ大会でも開くのか?」「全職員に最高級の私用スマホを与えるのか?」などと囁き合いました
その時、社長の秘書が、SNS調査の結果を持って会議室に入ってきました
社長秘書 :
「社長、楽園島元首『朱雀 椿』氏の以前のSNS情報を確認しました。彼は10数年前、まだ博士課程に在籍だった頃から、一貫して弊社のスマホやノートPCを使い続けています。どうやら彼は、私たちのブランドのファンである可能性が高いです」
C部長:
「なるほど……。業務用ではなく、彼の個人的な好みとこだわりで、全員に最高性能のモデルを選んだということか」
社長は、目の前の巨額な売り上げと、顧客が一国の元首であるという事実、そして長年のロイヤリティを総合的に判断し、決断を下しました
snsv日本法人社長:
「よろしい。陛下の個人的な趣味で選ばれたのであれば、我々も最大限の敬意をもって対応しよう」
snsv日本法人社長:
「まず、定価で買ってくれたのだから、せめて我々の感謝の気持ちを示すべきだ。Aさん、ROC Phone 11用のゲームパッドやアクティブクーラーといったオプション品を、全1,000セット、無償で付けてやってくれ」
snsv日本法人社長: 「そして、だ。この機密性の高い荷物を、通常の配送業者に委ねるわけにはいかない。セキュリティ上の問題も、そして顧客への敬意も欠く。C部長、私も同行する。ワンボックスカーを用意し、つくばの楽園島大使館まで、我々で直接お届けするぞ」
C部長:
「承知いたしました! 社長、すぐに車両を手配し、大使館へアポイントメントを取ります!」
日本のメーカーのトップと営業部長が、自らワンボックスカーを運転し、1000台のスマホを届ける事となった
#### 同時刻 AM 9:30 お台場、ホテル日光
お台場のホテル日光の最上階。p.adminが目を覚ますと、すでに午前9時を過ぎていました。朝食会場のビュッフェは午前10時までだ
p.adminは時計を見て話した
p.admin(朱雀 椿):
「朝食会場は10時までなので、今から着替えて行っても残りは20分ほどだ。諦めてルームサービスにしよう」
S子:
「そうね。ルームサービスなら、出来上がりの間に準備することもできますから。ルームサービスの朝食にしては割安だから、ここを楽しむ方がお得よ」
S子が電話でフロントに連絡を入れ、ルームサービスの朝食セット(洋食)を二人分注文しました
その間にp.adminはシャワーを浴びてリフレッシュしました
約10分後、豪華な朝食セットが運ばれ、二人は窓の外の湾岸風景を眺めながら食事を始めました
p.admin:
「今日のスケジュールだが、日本時間夕方6時はイギリスだ。チャールズ国王陛下、カミラ皇后陛下、そして皇太子妃殿下の継続治療のためにバッキンガム宮殿へワープする」
S子:
「イギリス大使のsada先生も同行したいと申し出ているわね。きっとお昼過ぎくらいには大使館に着くでしょう」
p.admin:
「今回は数日の滞在は避けたい。3人の治療と説明で3時間強、多分昼の食事会も挟むだろうが、それでも当日中には必ず楽園島に帰りたいと釘を刺しておく」
S子:
「了解よ。それと、楽園島に滞在しているイギリス王室から派遣された王室医療チームの医師2名も、この国王陛下の治療に合わせて一時帰国すると聞いたわ。私たちの治療成果を見て、本国で報告するつもりでしょう」
午前10時前。チェックアウトまでまだ時間がありましたが、二人はフロント階に降りて会計を済ませました
スイートスルームへのアップグレードが入ったにもかかわらず、支払いは割引が適用され86,000円程でした
フロントでは、昨日車を運転してくれた私服警官が待機していました
私服警官はp.adminとS子に向けて敬礼して
私服警官:
「朱雀陛下、陛下の車をつくばの楽園島大使館までに運転しましょうか?」
p.adminは辞退しようとしましたが、S子がそれを制しました
S子:
「たまに自分の車の後部座席に座るのも新鮮よ。警官さんお願いします」
S子に説得され、p.adminは渋々、運転代行を承諾しました
二人は車の後部座席に乗り込み、車は一路つくばへ向かいます
p.adminは後部座席から外を眺めながら
p.admin:
「運転時は前しか見る余裕はなかったが、こうしてみると面白い物が沢山ありますね……」
S子:
「でしょう? 普段見えない景色を見るのも良い気分転換よ」
後部座席での道中、p.adminとS子はイギリス王室訪問の段取りやsada先生の同行の是非などについて軽く意見交換をしました
そして午前11時、車は楽園島大使館へ到着しました
大使館の玄関前には、すでに数台の車が停車していました
p.adminとS子が車から降りると、snsvの日本法人社長らと、SADA先生、そしてその息子のJay君(Jay)が同時に立っているという珍しい光景になりました
snsv社長は1,000台のスマホをワンボックスカーから降ろそうとしている最中でした
snsv日本法人社長はp.adminを見て深々と頭を下げて
snsv日本法人社長:
「朱雀陛下。ご多忙の折、大変恐縮です。snsv日本法人のEでございます。ご注文の品を、お届けに参りました」
snsv日本法人社長:
「ささやかながら、陛下の長年のご愛顧に感謝し、ゲームパッドとクーラーなどオプション品を特典として全台分、付けさせていただきました」
p.admin:
「E社長、直々にありがとうございます。御社の厚意に感謝します。実は元々、ゲームパッドは別で購入するつもりだったのです」
社長は満面の笑みを浮かべました
snsv日本法人社長:
「恐縮です! もしゲーミングノートPCのご用命があれば、いつでもお申し付けください!」
p.adminはリュックから愛用のノートPC、snsvの2023年バージョン『Zephyrus Z14』を取り出しました
p.admin:
「このノートPCはずっと愛用しているから、必要になる時はまだ注文させていただく。今回はありがとうございました」
p.adminがsnsvチームとの対応を終えると、その様子を横で見ていたSADA先生が声をかけてきました
sada先生(笑顔で):
「Azure君…いや朱雀陛下、お帰りなさいませ。この後、イギリスへ出発ですね。私も準備万端です。」
p.admin:
「sada先生。ご足労おかけします。Jay君も今日は一緒か」
こうしてp.adminとS子は、金融、テクノロジー、外交、そして家庭の事情が複雑に絡み合った多忙な一日の幕開けを迎えました
* 日本時間 PM 13:00 Jay君のバッキンガム宮殿への同行
snsvの日本法人社長らを見送った後、大使館の応接スペースにはp.admin、S子、そしてSADA先生と息子のJay君が残りました。Jay君は、今日の夜の訪問に合わせてか、ぴしっとした濃紺のスーツに身を包んでいました
p.adminは、Jay君の服装に目を留め、SADA先生に尋ねました
p.admin(朱雀 椿):
「SADA先生。Jay君もきちんとしたスーツを着ているな。チャールズ国王陛下らを治療する間に、Jay君もバッキンガム宮殿に滞在させるつもりか?」
SADA先生は少し誇らしげに言いました
SADA先生:
「はい、陛下。今回はJayも同行させ、できればバッキンガム宮殿の宿泊施設で待機させる予定です」
SADA先生の返答を聞き、S子はすぐさま異議を唱えました
S子:
「SADAさんの大使としての立場上、バッキンガム宮殿で王室の方々に挨拶するのは適切です。ですが、Jay君はそういった身分がなく、外交上は無関係ですよ」
S子はさらにSADA先生の真意を問い詰めます
S子:
「まさか、Jay君をチャールズ国王陛下やカミラ皇后陛下の前に出させて謁見させるつもりですか?」
SADA先生は一瞬、難しい顔をしてためらいましたが、正直にその望みを懇願するように口にしました
SADA先生:
「S子さん……Jayにとっては滅多にない、凄く珍しい機会なんです。無礼を承知していますが、どうかJay君が国王陛下に合わせることを、円滑に進むように取り計らっていただけないでしょうか」
SADA先生の切実な願いを受け、p.adminは仲裁に入りました
p.admin:
「チャールズ国王陛下は気さくな方で、正式な謁見ではなく、SADA先生と一緒に軽く挨拶する程度なら、問題ないと思います。許可しましょう」
* S子の抗議とp.adminの懐柔策
p.adminの許可が下りたところで、SADA先生はJay君を連れて、今回の外交文書の確認のため、一旦会議室へ向かいました。二人が離れたのを見計らい、S子はすぐにp.adminに抗議しました
S子:
「SADAさんは、息子のために力を入れ過ぎたじゃないかな? 気持ちは理解できますが、大使という公人としての分別が必要よ。あれでは私的な感情で外交特権を利用していると見られても仕方がないわ」
p.adminはS子の頭を軽く触りながら
p.admin:
「まあまあ。S子、落ち着いて。これくらいならまあ良いでしょう。度が過ぎるようなことがあれば、Lee先生経由で注意するから。君の目の届く範囲で動いてもらうのがむしろ一番安全だ」
p.adminの言葉に、S子は渋々、それ以上の追及を諦めました。p.adminはS子の懸念が最も正しいことを理解していますが、外交の初期段階で摩擦を増やしたくありませんでした。
* S子による大使への役割の限定
やがてSADA先生とJay君が会議室から戻ってきました。S子は表情を引き締め、今度は公的な口調でSADA先生に指示を与えました。
S子: 「我々はチャールズ国王陛下の治療に行くのであって、SADAさんの今回は住居や大使館の確認、そしてイギリス政府の外交側の打ち合わせがメインで進めてください。陛下と私は医療措置と機密保持を優先します。」
S子はさらに、準備の徹底を要求しました。
S子:
「これからイギリスのJ首相に連絡を入れて、イギリス側の対応を準備してもらいましょう。SADAさんは、イギリス政府の担当者との調整に専念してください」
外交官としての役割を「外交や生活基盤の準備」に限定されたSADA先生は、わずかに失望したような表情を浮かべました
SADA先生(沈黙の後):
「S子さん、わかりました」
sada先生は、本当はS子の事を「さや妃殿下」とを呼ぶべきでしたが、p.adminは公式的に自分は王を名乗らない為、S子の正式な地位は第三夫人です
こうして、医療活動を行うp.admin夫妻と、その活動を裏で支えるSADA大使という役割分担が、緊張感を持って確立されました。午後6時、バッキンガム宮殿へのワープまで、残り数時間です
#### スマホの引き渡し
今回は日帰りの予定とは言え、sadaさんとJay君の同行で予想外の仕事が発生する事を備え、最低限の荷物を用意するためにp.adminは大使館のワープゲートを通して一旦楽園島に戻りました
また、午前中に大使館に届いた1,000機のゲーミングスマホ(ROC Phone 11)は、その高性能ゆえに箱も大きく、かなりのスペースを占有していました
p.adminとS子は台車を使い何往復かして、大量のスマホとオプション品の箱をワープゲートのある屋上に運び込み、共に楽園島へ転送しました
p.adminとS子が楽園島に戻った途端、p.adminは胸の三角バッジを使ってシグマとホログラム通信を呼び掛けた
p.admin:
「シグマ殿?地球の電子マネーや通販サイトでの買い物を行うためのスマホ…じゃなくて、小型通信端末が1000機届きました。私の現在位置に積み上げているので、一旦ネイビーゲーザーに運び込み、そしたら地球業務と関係する各艦の部署に分配してくれ」
シグマ(ホログラム通信):
「司令官殿、承知いたしました…今運びます」
シグマの返事とともに、積み上げられた大量の段ボール箱が、重力制御によって浮かび上がり、そしてワープでネイビーゲーザーへと転送されていきました
全ての箱が転送された後、p.adminはふと、根本的な問題に気づきました
p.admin:
「あ……艦内には、日本基準の100V/60Hzの交流電力供給ソケット(コンセント)がないことを思い出した。どうしましょう。スマホはすべてUSB充電だが、PD電源アダプターは100Vプラグだ」
ポルポ・カラマリの宇宙船は、当然ながら地球とは異なる電力システムで動いています
シグマ(ホログラム通信):
「司令官殿の心配には及びません。楽園島の建設時、日本のコンセント規格や工事には我々も関与しました。その規格を満たすコンセントを作ることは、我々にとってたやすいことです。艦内の各クルーの居住区に設置させましょう」
p.admin:
「分かった…あと最初の一ヶ月分の給料を預金済人類のデジタル通貨サービスの1000人分のアカウントとパスワードはありますが、どうやって送信するでしょうか?メールでもらった情報なので、誰に送るか躊躇している」
今までのデータのやり取りは異星タブレット経由で、SMBファイルサーバーやWifi通信をエミュレートしてそこからファイルのやり取りをする方式を使ってました
シグマ副艦長:
「司令官殿はいつものWi-Fi経由のSMBプロトコルを使った方が確実ですが……ご心配の件は、『機密性の高い情報は誰に対して送信するべきか』ということでしょう」
シグマ副艦長:
「今後は我々も人類のEメールアドレスを持ち、その『スマホ』と呼ぶ人類の通信端末で送受信する方が良いかと。もちろん、セキュリティは確保します」
p.admin: 「妥当だが、有名なメールサーバーはアメリカや別国の監視下にある可能性がある。機密漏洩の危険性があるので、自前のメールサーバーを使います。今回のスマホやデジタル通貨サービスアプリの登録も、監視されると思われるので、馬鹿正直に本名やポルポ・カラマリに匂わせる情報を登録しないでくれ。住所は全て楽園島行政ビルを書いてください」
シグマ副艦長:
「承知いたしました。セキュリティプロトコルを徹底させます」
p.admin:
「あと、各艦内にWi-Fiやインターネット環境の話ですが……」
シグマ(ホログラム通信):
「司令官殿はご心配には及びません。人類の通信手段は熟知しておりますので、楽園島のADDIネットワークを借りて人類のインターネットへの接続環境を整いましょう」
p.admin:
「了解した、細かい事は任せた…この手の仕事はKATOさんが詳しいので、何か問題が発生したら彼に聞いてくれ」
そして、p.adminの傍に積み上げていたスマホやオプション品の山がシグマによってネイビーゲーザーに転送された
ポルポ・カラマリ人達は、初めて「人類の最先端のスマートフォン」と「人類のデジタル通貨」を触ることができた
補足すると
ポルポカラマリ文明は重力制御を初めて、素粒子物理学、材料科学やエネルギー分野で人類より遥かに進歩しているものの
唯一「コンピューターグラフィック」や「ゲーム」分野で人類が彼らよりも先進したらしい
彼らにも軍事や民生的にあらゆる通信ネットワークを使っていたが、人類のような全惑星範囲をつなぐ「インターネット」についても、
軍事や介入目的の情報監視ではなく、一人のユーザーとしての利用もこれが初めである
#### 初めてのスマートフォン
ネイビーゲーザーの戦術情報室の一角。シグマ副艦長は、司令官p.adminから転送されたばかりのROC Phone 11(ゲーミングスマホ)の段ボール箱を前に、静かに開封作業を行っていました。彼の周囲には、通信・分析担当のスタッフ数名が立ち並んでいます
シグマの任務は、この「小型通信端末」の操作手順書を作成し、クルーへの配布準備をすることでした
シグマ副艦長:
「これが、司令官が調達した人類の最新鋭端末か。パッケージデザインは派手だが、非常に軽量だ。これで1,000機……」
彼は一台のスマホを箱から取り出し、電源ボタンを押しました。ポルポ・カラマリの艦内の素材からすれば玩具のような筐体ですが、電源が入ると、その画面に驚かされます
ROC Phone 11の起動画面が消え、最新のゲームコンテンツをモチーフとしたチュートリアルアプリが立ち上がりました
鮮やかな色彩、細部にまでこだわったテクスチャ、そして滑らかな動きが、ホログラムではなくフラットなディスプレイ上で展開されます
シグマは思わず息を呑み、静かに発言した
シグマ:
「これは……人類の『ゲーム』の内容か。なんと美しいグラフィック表現だ……」
彼の背後で見ていたスタッフの一人が、驚きを隠せない声で囁きました
スタッフA(通信担当):
「シグマ殿、これが人類のディスプレイですか……ホログラムではない。しかし、確かに精密で美しい。単なる発光体であるはずなのに、まるでそこに物質が存在するかのような深度を感じる。我々の軍事用ディスプレイとは全く方向性が違う」
ポルポ・カラマリの映像技術はホログラムや立体視に特化しているため、平面ディスプレイの持つ高精細な「写実性」は新鮮でした
* インターネット接続とアカウント登録
シグマはすぐに設定メニューへと進みました。艦内の技術者は、すでに楽園島ゲートウェイ経由でWi-Fi 7環境をエミュレートし、スマホをインターネットに接続する準備を整えていました
スタッフB(分析担当):
「シグマ殿、接続成功です。人類の『インターネット』に接続されました。司令官の指示通り、セキュリティを最優先でセットアップを進めてください」
セットアップが進み、やがてGoogleのアカウント登録画面になると、シグマはp.adminの指示を思い出しました
シグマ:
「司令官の指示では、本名や我々の文明を匂わせる情報は厳禁だ。偽装アカウントを作成する」
シグマは登録画面に、偽装された個人情報を入力していきました。ユーザーIDには、記念すべき「ポルポ・カラマリの最初のユーザー」として、paradise_island_user_00001 を登録しました
* デジタル通貨と通販の世界
アカウント登録を終えると、シグマはすぐにメールで送られてきたPolpayのアカウント情報とパスワードを新しいスマートフォンに入力し、ログインを試みました
シグマ:
「……ログイン成功。これが人類のデジタル通貨サービスか。残高が166万円……確かに、我々の最初の報酬がこの端末に記録されている。実体がないにもかかわらず、これで地球の物品を購入できるという仕組みは興味深い」
シグマは次に、クルーの利用が最も予想される通販サイト「ニャマゾン」のアプリを立ち上げました。彼はテストとして、自身の報酬から適当な地球の嗜好品、オメガ艦長が好むと言っていた上質なウィスキーと、彼自身が興味を持った人類の歴史書を注文しました。発送先は、つくばの楽園島大使館の住所を登録していた
シグマは、手順書作成という本来の目的を忘れ、高精細なゲームのプロモーション動画を見たり、ニャマゾンの膨大な商品カタログをスクロールしたりすることに時間を費やし、一日中スマホに夢中になってしまったのです
シグマは独り言のように口を開いた
シグマ:
「これほど複雑で、かつ中毒性のあるエンターテイメント媒体を開発しながら、なぜ人類は未だに惑星内戦争の段階を脱していないのだ……これは、分析が必要だ」
高性能な通信端末は、ポルポ・カラマリのクルーにとって、人類の文化と技術の最も魅力的で、同時に最も不可解な側面を示す「文化の窓」となった瞬間でした
おまたせしました。今回はポルポ・カラマリクルーへの報酬でスマホに関連する話です
次はまたイギリスの話になっちゃいます
ちなみにウクライナ大使館で実習中のMei子大使は勿論忘れてませんよ




