ハチ精霊様と聖属性化した治癒魔法 4
「リンネと名付けても良い?」
輪廻。この魂が巡り巡って幸せを掴むように。
そっと、リンネの身体から雷を抜き取ろうとした。途端に全身に走る強烈な痛みに、心が締め付けられた。これほどの痛みを一身に受けて守り続けていたのかと。
「全ての聖属性魔法を開放し、ハチ精霊‥‥リンネに刺さった雷を無効化して‥‥その精霊体を癒すための魔法陣よ出でて‥‥」
傍にマオリが飛んできて、オデコにコツンとしてくる。次々にリカとカオリが続き、カベルネとメルロが続いた。
脳裏に広がっていく魔法陣が重なり合って、魔力の光が広がっていく。
聖属性の魔法陣が浮き上がってリンネを包み込むように、光の粒子が悪意を祓っていく。精霊体の欠損した羽を形成して美しい羽が蘇った。
「グレン‥‥」
「リリアンヌ、リンネは私の傍に居た頃と同じ姿に戻ったのだろうか」
「ああ、戻った。綺麗な羽も、姿も‥‥」
治療の終わったリンネの身体は、眠るように2人の前のテーブルの上に横たわっている。グレン様は震える手で、すくい上げるように掌に乗せて泣いた。声にならない声を出して。その肩を抱きしめながらリリアンヌ様も泣いた。
慟哭
グレン様は、誰に知られる事も無く自身が受ける筈だった痛みを受けた優しいリンネを悼んで。
リリアンヌ様は悲しみや怒りに囚われて、今まで思い出す事が出来なかった自身の未熟さを悔い、リンネの優しい笑みを思い出して。
ごめんねと、ありがとう。
相反する気持ちがぐちゃぐちゃになって、2人は大泣きした。ブリジットも自身が雷撃の被害に遭っているので、声を出して泣いている。
私もこの辛い気持ちを、声に出して泣きたかった。
「精霊王を呼ぶのなら、胸を張っていないと。心を落ち着けて‥‥あらゆる負の感情を捨てて、精霊王に感謝と畏敬を。大丈夫だ、リーナなら出来る‥‥ゆっくり、そう、ゆっくりだ」
不意に肩を抱かれて振り向くと、アルフレッド殿下が涙を指ですくって抱きしめてくれた。耳元で囁かれる声が心地よく、心を落ち着かせてくれる。
「気負わなくて良い。君しか出来ないのではなく、君がいるからリンネは救われるのだから」
頷いて、私は全ての聖属性魔法の力を開放して精霊王に語りかけた。
「聖なる精霊の王、どうか私の声を聞いてください。どうか、ハチ精霊リンネの精霊体を精霊王の下へ」
心のかぎり祈った。リンネが安らかに眠れるように。精霊王様の下で幸せになれるようにと。人を助けた心優しいリンネが報われるように。
読んで下さって、ありがとうございます。
毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。
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誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。




