ハチ精霊様と聖属性化した治癒魔法 2
ブーン、ブーンと、私の周りを飛び回る5体のハチ精霊様の周りに、ブリジットやグレン様や私の髪から飛び出たハチ精霊様と踊るように飛んでいる。
「ああ!ハチ精霊様の羽が、治った!治った‥‥良かったよぉ」
リリアンヌ様の声にならない泣き笑いの声と咽ぶような声に、ブリジットやレニやリアも泣いて喜んでいる。
「ここまでのお力をお持ちとは‥‥」
「グレン様、長くお待たせしてしまいました。此方へ」
「あんな凄い魔法陣を行使した後に、私の治療などして大丈夫なのですか?」
「平気です」
ニッコリと微笑んで答えると、グレン様は私の前まで来て跪いた。厳かに、洗礼を受けるような面持ちで待っている姿がとても美しかった。
そっと、グレン様の髪に触れて、傷ついている右の耳に触れると、ビクンと身体を硬直させた。
伝わってくるのは、彼を蝕む負の感情の様な物。痛みと苦痛を与え続ける魔法が練り込まれているのか、私の指を電流の様な痛みが走った。
ポタリ、ポタリと落ちる物が、傷つけられたために流れた自身の血だと気付いて、軽く治癒魔法をかける。
「性悪で歪んだ悪質な悪意の魔法が、グレン様の耳の近くの脳に絡みついているの」
「なんと、そのような酷い状況であったとは。私は、そんな息子に髪焼きの刑を執行してしまったのか」
強ち、そのことが悪影響を及ぼしたとか、グレン様に苦痛を強いたという訳でもない。寧ろ‥‥
「その刑があったから、不幸中の幸いでしょうか。グレン様が正気を保って痛みに抗う事ができたと言えます」
強い力を持っていれば、悪意はそれを手中に収めようと、強く作用する。
「悪意の攻撃を受けたグレン様は、当初、痛みと激痛に意識を飛ばされた筈です。その間、その刑が執行されグレン様の潜在的な魔力は限りなく封印されました」
ここから先は、もっと残酷な真実を告げなくてはならないのかも知れない。私も、全能力を開放して見るのは初めてだったけれど、今まで静かに暮らせていた彼の生活は、全て守られた守護の中にあった。
もし、あのまま刑を受けずにいたら、グレン様の身体に異変が起こるか、命が危なかったかも知れなかった。いや、刑を受けなかったとしても、それだけの苦痛をグレン様が感じる事は無かった筈。
どちらにしてもそれは、尊い行いと一つの命によって防がれ、グレン様の今があったのだと。
読んで下さって、ありがとうございます。
毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。
貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。
誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。




