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魔力被弾で覚醒した令嬢は精霊様と悪意を摘み取る  作者: 真白 歩宙
ハチ精霊編

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80/290

もう一つの転写方法 18


 グラン様(いわ)く、私の身体を包み込んでいるのがハチ精霊様の救難信号(きゅうなんしんごう)とも言える結界術、大結界が発動して傷ついた魂を修復するのだそう。

 その間、分身体の小さな善良な魂がハチ精霊様になって、のんびり幸せに過ごすことで、本体の魂が回復するらしい。


「研究を止めれば、傷を負ったハチ精霊様が苦しむか時間切れになる可能性が出てくる」

「かと言って、研究を続ければリーナ嬢の魂が悪意で傷つかないかが心配だ」


 ハニエル様とグレン様が頭を抱え込んでいる。


「聖女候補の聖域結界で悪意を浄化‥‥私では持続性がありませんから、無理でした‥‥」


 ブリジットが悲しそうに項垂(うなだ)れた。聖女の御業(みわざ)は、聖女でなければ持続させることは難しいと、以前ブリジットが話していたのを思い出した。


「ロードライ公爵家の結界は、当主が居るだけでその場が森林の緑葉(りょくよう)の結界となる。ここには元当主の父も居る。数日であれば、ここで彼女を見守っても問題ない」

「協力してもらえるか、ロードライ公爵!」

「殿下、ロードライ公爵家は、リーナ・パステル嬢に救われた。誤解を解き、刑罰(けいばつ)を無かったことにしてくれたのだから、その恩に(むく)いるのは当然の事」

「刑は受けた者も害すが、執行(しっこう)した者にも深い闇を落とす。あの日、息子グレンの髪が戻ったあの時に、私の手の(あざ)も消えたのだから」


 (あざ)があったと思われる部分を手で(さす)っているエマニュエル様。

 そして、悪意の魔力波形を調査するには、聖域のような結界が必要だとグラン様は分かる様に説明してくれた。

 日々の生活の中で、自分たちが発する思念波(しねんは)は良い物悪い物が無意識に混在しているのだと。実験で測定する物は、ほぼ呪詛(じゅそ)に近いような()しき意志の入った道具。それも人を傷つけた物ばかり。

 念を押されて注意を受けたのが、悪い物には悪い波動が付きまとって呼び寄せるということ。


「簡単に説明すれば、悪い事ばかりを考えている者には悪い事が起こりやすい。“考え”という想念が悪い念を呼び寄せる。

 当然、呼び寄せた念の気を吸えば、今度は自身の中に場を作ることになる。そうなった者は、不幸を呼び寄せ()ちていく」

「君らは、呪物(じゅぶつ)のようなあの()まわしい物を手に取り、部屋に置き続けた。リーナ嬢がグレンを治した様に、彼女の心が拒絶し、封印して場を浄化したからこそ、殺傷事件に発展しなかった」


 それぐらい、あの封印された箱に入っている物は(よこしま)な気を(はな)って人の意識に干渉(かんしょう)していたのだと。

 聞けば聞くほど、怖い話だと思った。


ここまで読んで下さって、ありがとうございます。

貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。

読んで頂けることが、執筆活動の励みになります。

誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。

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