もう一つの転写方法 17
元当主のグラン様の視線は、オースティン殿下とレイモンドお兄様に向いている。
「今はリーナ嬢の安全を一番に考えたい」
アルフレッド殿下は私の安全が先だと全員に告げて、ロードライ公爵のエマニュエル様とグラン様にハチ精霊様をめぐる過去の事件と、その犯人を捕まえる為の証拠集めに研究所で魔力波形を測定する装置を作り、悪意のある魔力を1段階、2段階の段階を経て立体的に測定できるものを作っていたのだと語った。
「その悪意に数人が汚染されて、リーナ嬢の心が傷を負い、ハチ精霊様を怒らせた‥‥そんなところか」
「ですが、ハチ精霊様がそんなに肩入れするものだろうか?」
「エマニュエル、あそこの2人を見よ。傷を負ったハチ精霊様に自らの魔力を供給しておる。おそらく、そうなったのは、リーナ・パステル嬢が魔力供給できなくなった為の代わり」
リリアンヌ様が泣きながらエマニュエル様とグラン様に懇願している。
「時に、アルフレッド王太子殿下。リーナ嬢の容姿は、薄紫の銀髪で瑠璃色の瞳ではないか?」
目の前のお茶菓子を食べていたら、グラン様が急に私の事を言い始めた。私の容姿を聞いたアルフレッド殿下が驚いた表情で、ご存じなのですかと聞き返している。
どうしたことかと、グラン様を見たら‥‥目が合った気がして、アルフレッド殿下の髪の毛に飛び込んだ。
うーん、羽があると便利ね。
「殿下、少し失礼する」
え?何?どうしちゃったの?
ジタバタ暴れてみたけど、大きな手が優しく私を包み込んで何か魔法をかけた。清々しいのに温かい緑の若葉が広がるようなイメージに、元気が出てくるような感覚だ。
「リーナ?!」
「?」
アルフレッド殿下とロナルドお兄様の声が重なって聞こえた。その後も、レインやレニ、ブリジットとリリアンヌ様の大号泣する声が入り混じっている。
さっきの魔法で、可視化されたのかしら?
「無事‥‥と言えるのだろうか、グラン元当主、これは‥‥」
「リーナ、あれほど危ない事はしないように言ったのに!」
お兄様は怒って泣いているし、アルフレッド殿下は私の今の状況を分析している感じだけど、グラン様の手の上は木漏れ日の気配がして気持ちよくって眠くなってしまった。
「何でハチ精霊様になっているのでしょう‥‥」
確かに、レインの疑問も最もね。ああ、眠い‥‥。
読んで下さって、ありがとうございます。
毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。
貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。
誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。




