もう一つの転写方法 14
「一体、何が起きたらこうなる?ラリー卿の起用は全員のわだかまりが解消してから話す様に伝えたはず。リーナ嬢はラリー卿を敬遠したのではなく、君らの出す違和感を感じ取って聞いたのでは?」
私の周りで誰かが怒っている。
けれど、身体が何かに固定されているようで、これでは見えにくい。そう思っていたら、ハチ精霊様が『出てきたら?』なんて言うので、『どうやって?』と聞いたら、引っ張られて、ハチ精霊様の大きさになって飛んでいた。
「妹のリーナが何をしたというのです?ハニエル、グレン、貴方方は指輪に誓ったその日にリーナに疎外感を与えた。リーナやブリジット嬢は知らない世代なのですよ?勝手に同一視しないでください!」
ブーン!ブーン!
「参ったな、ハチ精霊様たち、どうかリーナ嬢を返してくれないか?」
やだ、みんなで、何やっているの?!
アルフレッド王太子殿下と兄ロナルドが、ハニエル様とグレン様やアッシュとリアに怒っている。リリアンヌ様はレニとブリジットにくっついたハチ精霊様に懇願している感じだ。
「レイン、貴方、いつまでショックを受けているんです?」
「申し訳ありません。リーナ様へのフォローが出来ず‥‥怪我までしてお手を煩わせて‥‥」
レインは悪くない、お兄様やめてあげて!
兄ロナルドの周りを飛んでみても、誰も気付いてくれない。どうすれば良いのかしら?
「リリアンヌ、ハチ精霊様は?」
「かなりご立腹のようだよ。頼るだけ頼って人間は勝手だと言っている」
お手上げだと、リリアンヌ様は大きな溜息を吐いた。
「リーナ嬢はいつも皆のことを思って行動していた筈だ。
でなければ、この装置も形にすらならなかっただろう、ハニエル・ウェスティ公爵子息、グレン・ロードライ公爵子息。そして、五体満足で護衛の任に付けるのは誰のお陰か、アラン・グラント卿、ソフィア・ロスチャイルド嬢、君らの感情の拗れにリーナ嬢を突き合わせるつもりは無い。アーノルド・ライド、ジェイン・ライド、君らも護衛のなんたるかを考えよ」
アルフレッド王太子殿下は冷ややかな目で彼らを見ている。
困ったことになっているのだけど、何か先ほどから、『どーでも良くない?』『お菓子でも食べてよう!』とか、気の抜けた声が頭に木霊している。
そう言えば、自分はどうなったのかと探してみたら、ソファー近くの、先ほどまで立っていた場所にエメラルドグリーンの細かいハニカム構造の結界の繭が出来ていた。
レインが引き裂いた後が何箇所かあったけど、結界を切り崩すのは魔法士でも難しい。
ハッとしてレインの手を見たら、爪が痛い事になっていて擦り傷などもあり、私を助けようと身を挺して頑張ってくれたのが分かった。
読んで下さって、ありがとうございます。
毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。
貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。
誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。




