もう一つの転写方法 12
「レイン!いいえ、アーノルド・ライド卿、貴方を死なせない!」
自分から聖属性の眩い光が出ているのが分かる。
レインと私を包み込んで宙に浮かせているのが、自分の中にある無属性の魔法だということも、今は実感として分かる。
「これは‥‥一体?!」
驚いているハニエル様とグレン様の前で力を使うのは、本当は避けたいことだったけど、それは些末なことなのだと割り切った。
何よりも瀕死状態のレインを助けないと。
「レイン、ペンを抜くわ‥‥痛いかもしれない」
「へい‥‥きっ‥‥で‥‥す」
こんな時も笑顔でウィンクしてみせるレインは心が強いのかもしれない。
聖属性の気に覆われた今だからこそ、このペンは存在してはならない物として見える。
稲妻が走るペンをしっかり握ると、計り知れない悪意が押し寄せて来た。
ああ、これは触った瞬間に、そして、その場に有るだけで感染する悪い念のような物。
レインの身体から引き抜いて、聖属性で覆って封印してしまう。今まで入っていた箱に戻して箱ごと木属性と土属性の封印をかけた。
「装置が出来上がるまで封印して、むやみに触ることの無いようにして下さい。悪意は空間感染し感情を黒く染めるから」
レインに向き直り、聖属性水魔法の魔法陣を出した。
「‥‥‥‥?」
治癒魔法をかけようとした時、雷属性と土属性のハチ精霊様が髪の毛から飛び出してきた。レインの傷口に手を翳して、踊る様に飛び回っている。
精霊は穢れを嫌う。なのに、懸命にレインの命を助けようと、私に何かを教えようとしてくれている。よく見れば、ハチ精霊様から出た金粉が悪意の雷魔法を退けている。
「雷属性と土属性の聖属性魔法よ、レイン‥‥アーノルド・ライド卿の身体に入った悪意の雷魔法を退けよ」
自分の中から2つの魔法陣が重なるように現れ、レインの身体へ魔力を注いでいく。苦しんでいたレインの表情が穏やかになり、次の治癒魔法を行使できる状態になったようだ。
何か他の属性が関与している時は、その関与している属性を消さないと治癒魔法がかけられないって教えて下さったのね。
「レイン、今助けるわ‥‥」
聖属性水魔法の魔法陣を再び出して治癒魔法をかける。光の粒子が欠損した部分に集まり再生させていく。治癒魔法のリングがレインをスキャンしながら、雷によって傷つけられた体内を癒し回復させた。
全てが整って魔法陣が光り、失われた血液を補った。
そして、今度は重力魔法でレインの身体をソファーに横たえた。




