王太子殿下の告白 9
「これは魔法具だったのですね?」
ブリジットと一緒にカテーシーで礼をとった後に尋ねてみると、雷属性を持つ者が触れると発動条件が整う魔法具だと答えてくれた。
「殿下、これは雷属性の魔力を吸って、雷魔法を発動させる物と?」
「そう。とても悪質で知らない者は善意で拾ったりするだろうし、学院で売られているペンの改造だから皆が疑わずに触ってしまう」
「恐ろしい程の悪意の塊ですね。研究の方向性を間違えている」
「殿下すみません、私が不用意に触ってしまい‥‥」
「グレンは雷属性を持っていたんだね‥‥じゃあ無属性で解除が必要だ」
エドワード殿下は箱から少し離れた場所で、手を翳して無属性の無効化魔法を唱えた。箱が光ってペンに充満していた雷属性の魔力が消えていく。
「今後は、雷属性を持つ人はこの箱を触らないようにね。もし、間違って触れてしまったら報告して解除してもらうこと」
この一件で、今回の事故がとんでもない威力で、どうしようもない悪意に満ちた犯行だと分かった。
「犯人は雷属性を主属性に持つアデラ・ライリール公爵令嬢の魔力を利用したのね」
「彼女にペンを渡したのはダリア・ピアセ伯爵令嬢でした。では、ピアセ嬢が?」
リアは怒りを露わにして言ってきたけど、私はそうは思わなかった。
「違うと思うよ。ピアセ嬢もどちらかと言えば、被害者寄りの共犯者だろうから」
「リア、あの時、アデラ・ライリール様が私にペンを投げつけず、ピアセ様に渡すように言っていたら、彼女が私の様になっていたかもしれないわ」
ブリジットはエドワード殿下に付け足すように、自分の考察を話してくれた。
「では、一体どこでペンは挿げ替えられたのでしょう?」
「挿げ替えた犯人は、雷属性を持っていいない生徒。そう限定できますね。リア、その時の見取り図を描くことは?」
ハニエル様の問いかけにレインが生徒の限定をして、リアに当時の配置図を描くように促した。リアは近くのボードに、ブリジットを中心にして描かれる因果関係を克明に記していく。
「その席に座るはずの無い人が座っていたのね」
「兄上の近衛騎士が聴取に入った時に、その人はいつもの席に居たと聞き取っているけど」
何となく全貌が見えてきた気がする。
「リア殿が描いたのは、事件が起きる直前までの立ち位置。近衛騎士は事後の聞き取り。そこから見える真実は、ペンが落ちて皆が認識する前に挿げ替えた人物が、終わった後に移動したことになります」
「そうね。その場所に居たのでは、自分も巻き添えになる位置関係ですもの」
ブリジット席から通路を挟んで右斜め前の席。アンジェリーナ様の席に座っていた人物。タンジー・サンジェスタ公爵令嬢が取り替えたのではと。
読んで下さって、ありがとうございます。
毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。
貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。
誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。




