王太子殿下の告白 7
微妙に有難いというか、何とも言えない気持ちで王立魔法士団研究所に到着した私達は、ブリジットが羽ペンを受け取るのを見ていた。
「素敵ですわ、建物から出ると消えてポケットに仕舞われるのですね。身分証代わりなんて美しいモチーフで嬉しいです」
「ブリジット様、ここは機密情報も多いですから、無くさない様にしませんと」
「ええ。気を付けるわ」
「リア嬢このカードは平気なのです。リーナ様と同じ加工をしてあります。カードを奪われても此方のカードとご本人の魔力が無いと、羽ペンには変化しませんので大体は受付で発見されますから」
流石、受付嬢。
「では、こちらのドアからお進みください」
デジャブのようなやり取りを経て、私達は研究所内に入った。
ドアを通った先の廊下に明かりが点いたのは前も同じ反応。そして、重厚な感じがする廊下には、離れた間隔でドアが存在しているのも同じ。
違うのは、羽ペンの使い方を教えてくれたエドワード殿下が居ないことだ。
「私が説明するのかな?」
「そうなりますね」
ニコニコ顔のレインは、殿下に教わった事を、私が実践して教えることを勧めている。
「ブリジット、羽ペンの使い方を教えるわね」
「はい。よろしくお願いいたします」
「ハニエル・ウェスティ様の研究室への案内をお願いします」
私は声に出しながら、胸に現れた羽ペンを手でなぞった。すると、羽ペンから光の分身が現れて宙に浮いている。
「なんて素敵なの!リーナ様、綺麗ですわ!」
微笑ましそうにレインとアッシュが笑顔になっている。
これは、親が子供の成長を見守るような、微笑ましい一場面に映っているのよね。でも、それに気付いて実演する方は、恥ずかしくて仕方が無いのよ。
「ブリジットもやってみて?」
目を輝かせて、同じ様にやってみるブリジットは純粋で素直なのだと思う。レイン達も宙に浮いた羽を見て拍手までしている。
数日前を考えたら、これはこれで良いのかもしれない。ちょっぴり恥ずかしい気持ちはあるけど。辛い思いをした彼女が、今笑って目を輝かせる事ができていることに、心からホッとした。
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