王太子殿下の告白 4
「着いたようです」
レインに手を引かれて湖の方へ歩いて行く。湖畔の小さな階段を降りて、湖に作られたガゼボに着くと円卓があり、美しい景色が広がった。反射するさざ波の光に、近くの枝に小鳥が鳴いている。自然の造形美にブリジットと一緒に魅入っていた。
護衛なのに良いのかと思えるほど、彼らはいろいろな事をしてくれる。お昼の準備が整ったのか、4人が私達の方へやって来た。
「正装を今日ほど着ていて良かったと思う日は無いだろうな」
アッシュ様がレインに何か話している。
「正装した近衛騎士様は、学院でも令嬢たちが色めき立ちますもの、リーナ様」
ブリジットは夢見る乙女のような感じだ。確かに、こういった彼らの出で立ちは人気がある。
けど、その正装には騎士としての誇りと責任を纏っているから美しさに磨きがかかるのだと、そんなことを考えていたら、4人が私の前に跪いた。
この既視感は、見覚えのあるもの。
「リーナ・パステル伯爵令嬢、近衛騎士レイン・ライファーは真名の誓いを立てさせて頂きたく、アーノルド・ライドとして近衛騎士の誓いを再びお許し願いますよう、いつ如何なる時も剣として盾としてリーナ様を守る栄誉を頂きたいと願います」
彼らの気迫に圧されて、頷いてしまった。レイン、本名はアーノルドだったのね。アーノルドが私の手を取って笑顔で指輪にキスを落とした。
指輪が光って、まるで許可しますと代わりに答えたような気がした。
「リーナ様、頷くだけは私だけに。他の者には許すと仰ってくださいね」
「ごめんなさい、レ、アーノルド・ライド、許します」
でも良かったのだろうか?
真名による誓いは絶対的な主従関係だとアンジェリーナ様が言っていた気がする。
「リーナ・パステル伯爵令嬢、魔法士レニ・ライファーも真名の誓いを立てさせて頂きたく思います。私の本当の名はジェイン・ライド。魔法士としていついかなる時も己の技を磨いて役に立つことをお約束します。どうか、リーナ様を守る栄誉をお与え下さいませ」
「ジェイン・ライド、許します」
厳かに手を取って、指輪にキスを落としたジェインが光に包まれた。
これは儀式のようだと実感した。指輪にキスを落とされる度に、何か感覚めいたものが生まれている。
「ブリジット・ルーバン子爵令嬢、私は近衛騎士の誓いを貴女に。そして、真名の誓いをリーナ・パステル伯爵令嬢にしたいのだが許して頂けるか?」
アッシュ様の前に進み出て、ブリジットはニッコリと頷いた。そして、私の前にカテーシーで深く礼をとって宣言をしてしまった。




