王太子殿下の告白 5
「私、ブリジット・ルーバン子爵令嬢は、リーナ・パステル伯爵令嬢に心から、友として傍に居ます。アルフレッド王太子殿下とお約束したように、この身を挺しても盾になりますわ。リーナ様を守れる様に皆様や学院で学んで剣となれるよう頑張ります。皆様ほどにはなれなくても、尽力したいのです」
「ブリジット‥‥」
「ご令嬢でも切に願う思いはあると思いますよ。誓いは立てるものであって、強いるものではありません。許しても、リーナ様との関係は“友として”と仰っているので変りませんよ」
「‥‥ブリジット・ルーバン、友として許します」
指輪に口付ける彼女を見て、いつまでも友でありたいと願った。
「私も誓いましたわ、アッシュ様、リア様、ご自身の思う様になさいませ」
「気遣いを有難く思う、ブリジット嬢」
アッシュ様達とのやり取りを見て、自分の友は何て人の心に寄り添える人なのだろうと、心が温かくなった。
「ブリジット・ルーバン子爵令嬢、アッシュ・バロウは近衛騎士として貴女の剣となり盾となる事を誓うどうか、この私に貴女を守る栄誉をお与え下さい」
ブリジットの前に跪いて、自身の剣をブリジットに握らせて剣先を自分の肩に置いている。湖に浮かぶ白いガゼボで正装の近衛騎士が誓いを立てている姿は、横で見ていると厳粛で美しい絵画の様だった。
ブリジットが許しますと伝えると、アッシュ様が優しい笑顔を見せている。
「ブリジット・ルーバン子爵令嬢、リア・ブラウンは魔法士として貴女を守る力になる事を誓います。どうか、私に貴女を守る栄誉をお与え下さいませ」
リア様の杖を手に、許しますと伝えたブリジットが彼女に抱きついている。
驚いたけど、結果的に良かったのだと思っていたら‥‥。
「リーナ・パステル伯爵令嬢、近衛騎士アッシュ・バロウは真名の誓いを立てさせて頂きたい。アラン・グラントとして近衛騎士の誓いを、新たに誓いたいのです。主、ブリジット様には許可を得ました。いつ如何なる時も剣として盾としてリーナ様を守る栄誉を頂きたいのです」
「アラン・グラント、許可しますが、何かが起こった場合はブリジットを守ってください」
「畏まりました」
アラン様が指輪にキスを落とし指輪が光ったのを確認すると、リア様が跪いた。
「リーナ・パステル伯爵令嬢、魔法士リア・ブラウンも真名の誓いを立てさせて頂きたく思います。私の真名はソフィア・ロスチャイルドと申します。魔法士としていついかなる時も己の技を磨き、役に立つことをお約束します。どうか、リーナ様を守る栄誉をお与え下さいませ」
「ソフィア・ロスチャイルド、許可します。ですが、貴女にもアランと同様に、何かが起こった場合はブリジットを守ってください」
「お心のままに」
ソフィアが指輪にキスを落として光に包まれると、アーノルドはホッとした様な仕草を見せた。
「さぁ、お昼を食べましょうか。どれになさいます?」
「レイ、アーノルド、私はそれを頂くわ」
「まだ、護衛任務中ですから4人とも偽名の方で結構ですよ」
「リーナ様、我々に敬称は“無し”でお願いしたい」
難問が浮上した。大人な年上風のアッシュ様を様無しで呼ぶ日が来ようとは。軽く衝撃を受けつつも、私は頷いた。
「なら、アッシュ、リアと呼ばせて頂くわ」
その日のガゼボでの昼食は、相手を身近に感じるような感覚があった。




