複合魔法と魔力映写魔法 8
「リリアンヌ様、お願いです。ハチ精霊様の力を貸して下さい」
「リーナ嬢?何かあったのだね。良いよ、私と通信しているその子に頼んでごらん」
リリアンヌ様からの応答は、髪から出てきたハチ精霊様の身体から発信されて、その場に居た皆に聞こえたようだった。
通信が途絶えても、光るハチ精霊様は笑顔で私の手に乗ってくれた。
「ハチ精霊様、グレン・ロードライ様は精霊様を助けた者なのに、噂を信じた一族によって髪を焼き切られる刑罰を受けました。私は理不尽なこの判断に、不服申し立てをしたいのです。どうか、彼が正しき者だという証明を下さいませんか?」
「!」
心正しい者を有るべき姿に返したい。そう思う事は罪なのだろうか?そう思っていると‥‥。
ハチ精霊様はグレンの真上に飛んで行き、くすんだ緑色の髪の毛の上を旋回するように飛んで金粉を降らせた。徐々に金粉が浸透してエメラルドの輝きを持つ髪に変わっていく。
そして、私の身体から魔力を引き出そうとするハチ精霊様の力が働いた。
「精霊の加護よ、噂の悪意を遠ざけ、偏見と間違った裁きに癒しと許しを与えたまえ」
ハチ精霊様の金粉の波動に合わせて、治癒魔法で髪にかけられた刑罰の痕跡を癒していく。この刑罰に科せられた魔法は、髪がこれ以上伸びない様に本来の輝きを失わせる効果があるようだった。
この加護で刑罰は無効化され、本来の輝きが蘇った髪が治癒魔法の力で伸びていく。光り輝くエメラルド色の光彩が背中まで伸びて、彼のヒスイ色の瞳と調和していた。
「エドワード殿下、『ハチ精霊様の許可を得てグレン・ロードライ様に治癒魔法を行使しました。ハチ精霊様を助けた者の冤罪は、精霊様が刑罰を無効化された事によって無実であると証明されました』そうアルフレッド王太子殿下にお伝え願えますか」
「分かった。しっかり伝えて、ロードライ一族の者にも通達してもらうね」
何処となくアルフレッド王太子殿下に似ているエドワード殿下。ご兄弟だから当たり前なのかもしれないけれど、ちょっとした仕草がやっぱり似ている。
「癒しのパステル家、中でもリーナ嬢の治癒魔法の凄さは有名ですが、その真髄を垣間見た気がします。現状での魔力行使で、疲れたりしていませんか?」
私の身体を心配してくれるハニエル様は、先ほどよりも柔らかい感じがする。
「グレン、何時まで惚けているのです」
「私の髪が‥‥ハチ精霊様がお許し下さった!リーナ嬢が‥‥治癒魔法を‥‥」
ダパーッと涙が溢れて、涙腺崩壊しているグレン様は今の状況を受け入れるのがやっとの様だった。嬉しさというより、一族から突き放され孤独を背負ってきた何かが取り除かれた感覚に近い。
読んで下さって、ありがとうございます。
毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。
貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。
誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。




