複合魔法と魔力映写魔法 9
「友を救って頂き、ありがとうございます」
「ありがとうございます‥‥リーナ嬢」
お礼を言われ、グレン様を良く見ると気持ちが落ち着いたのだと分かった。
「グレン様、すみません。治癒魔法を使っている時に、耳の治療はまだしない方が良いと判断して治しませんでした」
「なんで?」
あれ?知らない声であらぬ方向から疑問詞を投げかけられ、思わず声のあった方を見てしまった。
誰?と問いたくなったのは、エドワード殿下の護衛から出た声だったから。
「えっと‥‥」
そう言えば、エドワード殿下の護衛の方と挨拶をしていないので、名前を聞いていなかった。
「急いでいたから紹介がまだだったね、私の護衛をしている2人で、彼はフェン・クレーで近衛騎士。彼女はリュー・ソーンで魔法士。2人も名前で呼んであげて欲しい。呟いたのはリューだよね」
「すみません。あれだけの治癒魔法を拝見して、治せるなら何故しないのかと思ったらつい‥‥」
つい口に出たのね。
「護衛の方、挨拶が遅れてすみません。リーナ・パステルと申します」
本来なら魔道馬車でする紹介を、私が考え事をしていた為に出来なかったのだ。申し訳ないなと思っていたら、フェン様もリュー様も気にしていないとレインが教えてくれた。
「リュー様、今、耳を治さない理由は、これから作る魔力映写魔法を作るために証拠が必要なのです。もちろん、魔力の痕跡を写し取ったら治癒魔法で治します」
「人が受けた魔力は拾いやすい特性を生かすのですね。ハチ精霊様にかかる負担を軽減もできます」
「そんな特性があったのですね。不勉強でした。話の腰を折り失礼しました」
感動したように頷いて謝罪するリュー様は、興味津々といった感じで此方を見ている。
「リーナ嬢、私はかまわない。治ると思っていなかったし、私で試せることがあるなら喜んで手伝う」
「では、ここに居る全員で1つの魔力波動を見てみませんか?」
レインとレニ以外の全員が疑問詞を浮かべた様な顔をしている。
「犯人には明確な悪意があります。私の護衛レインとレニにも見てもらいましたが、感じ方はそれぞれ違っても、悪意の魔力波動はしっかり区別がつく様です」
犯人の悪意に焦点を当ててハチ精霊様の羽やグレン様の耳から同じ魔力波動を感じてもらった。
「グレン殿、耳に直撃を喰らったとは。風魔法に雷魔法‥‥まるで積乱雲の中の様な魔法だ」
「フェンにはそう見える?私には陰湿な黒い炎の様な煙が雷に宿っている様に見えるけど。」
フェン様とリュー様が情景描写をしっかり伝えてくれたので、レインとレニの感想も2人に伝えてみた。
読んで下さって、ありがとうございます。
毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。
貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。
誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。




