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おんりめもり-only the momery-  作者: Ppoi
a drop of see
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25/25

a drop of see 5

カイリは警報で目が覚めた。


「何の音?」


急いで身支度を整えた。

緊急事態の場合に供えて父親であるビットがいろいろ揃えていた。


「良くないことが、とうとう起こったのね……」


ビットは言っていた。カイリがここにいられないような事態が起こるかもしれないと。

命さえ危うくなるような事態に。


「よお」


「フリー!」


「ここから出るぞ」


「この事態はあなたが?」


「まさか。なんで安全な場所を壊すようなことをするんだ」


「だって、ここを出たいか、と言っていたじゃない」


「逆だ。ビット博士だって言ってただろう?危険な事態が起きるって。ここから出ることになる覚悟が必要だと思ったんだ」


「パパが心配してること……それは、私の不安でもあるの。ここから出ることは容易いけれど、出た後が怖いの」


「ここを出たくないのか?」


「いいえ、出たいわ。今が出る絶好の機会であることもわかるわ」


「じゃあ、もう行くしかないだろう。博士にお前のことを頼まれた」


「パパにお別れ言える?」


「来れたら、博士は来る。もう時間がないから、行くぞ。言えないかもな」


ものすごい勢いで部屋のドアが開いた。


「カイリ!フリー君」


息を切らしたビットがいた。


「なんだよ、来れないかもって言ってたのに」


「パパ!私、行くわ」


「うん、大丈夫。またすぐ会えるよ。大事な話をしないといけないしね」


親子で涙を流していた。涙もろいらしい。


「感動のところ悪いけど、誰か来る。早く行こう。とりあえず、森へ……母さんのところに行く」


「頼む……そして、この世界のことを話してもらうように伝えてくれ、君のお母さんに。あなたの言葉でこの世界のことをカイリに話してって伝えて」


「面倒くさいけど、頼まれてやる。母さんも喜びそうな気がするし」


「ありがとう、フリー君。僕の子供達。どうか無事でいて」


カイリは一瞬不思議な顔をした。


子供達とはどういうことだろう、と思ったのだ。


その時は緊急であったし、深く考えていなかったが、このことはとても重要なことだったのだ。


後に、気付いた時は遅い、という人生のやりきれない経験をすることとなるのだった。


フリーに手を捕まれたカイリは窓から外へ出ようとした。


建物は二階だったにも関わらず、フリーはそんなことを気にしない。

近くの木の枝を中間点に使い、先に飛び降りると、カイリに飛び降りるように指示する。


ドアが破られ、カイリが全く見たことのない者達にビットが捕まっていた。

カイリにも手が伸ばされる。


見ていたのは、フリーの目だけだった。吸い込まれそうなほど漆黒の瞳。


カイリは躊躇いもなく、飛び降りた。

フリーがきちんと受け止めた。


「本当は全部わかってるわ、パパ。だから、泣かないで」


二人は、施設から逃げた。


ビットを残して。


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