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おんりめもり-only the momery-  作者: Ppoi
a drop of see
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24/25

a drop of see 4


「ねえ、フリー。あなたはなんでここに来るの?」


「お前の父親に頼まれたからだ」


「それだけで、ここに来るの?」


「来たくて来てるわけじゃない。それに、俺はフリーじゃない!自由じゆうだって言ってるだろう!」


「だって、パパがフリーって呼びなさいって」


「人の名前を誤認させてどうするんだ!」


「でも、そっちが本名なんでしょ?パパに渡された資料でみたよ?フリーっていい名前じゃない。羨ましい名前だわ」


「全然、自由にならないけどな」


「私よりは全然自由だわ」


「そうか?自由に歩きまわれることだけが、自由じゃない」


「フリーって呼ばれるのなんでイヤなの?」


「くるくる話を変えるな」


「ねー!なんで?」


フリーはため息をついた。


「父親が付けた名前だった。呼んでいいのは父親だけだ」


「ふぅん。私のカイリっていうのはね、海里って意味なの。海が私の故郷なの」


「海?ここから海はかなり遠いけど?」


「これでも、海の近くで生まれたんだよ?ずっとここにいるわけじゃないの。小さい頃は海の側に住んでたの」


「閉じ込められた生活をしてなかったってことか?」


「……ずっとではないけれど、16年の人生のほとんどをここで過ごしているのは確かよ。あなたは?」


「俺?俺は山だ。森で育った。母親が俺を育ててくれた」


「お父さんは?」


「俺は、最初から森にいたわけじゃない。父親は森に来なかった」


「どうして?」


「わからない。詳しいことは教えてもらえなかった」


「あ、あなたは何歳?」


「俺?今年18歳だ」


「見えないわね」


「どういう意味で?」


「若いなーってことよ」


まあ、子供っぽいっていうかもしれない、とカイリは頭の中で付け足した。


「お前に言われたくない。お前の方が若い」


「ねーあなたの家族は元気?」


「だから、くるくる話を変えるな!」


「お母さんは元気?お父さんの安否は?」


「うるさいな……まったく。……母親は元気だ。父親は……たぶん、元気だ」


「たぶん?」


「そういうとこは、察して聞かないのがマナーだ!子供ガキが」


「どーせ私は子供ですよ!だから教えて!」


「うるさいな!子供ガキに話すことなんてない。今日はもう帰る」


「教えてくれたっていいじゃないケチ!」




フリーは、背を向けて部屋を出て行った。




あら、今日もきたの?しばらくこないと思ってたんだけど」


「この部屋からなんで出ないんだ?」


「いきなりどうしたの?」


「いいから答えろ」


「何様なの」


「俺様だ」


「飽きれて物も言えないわ……」


「出たくないのか?」


「ここは、無菌室なの。決して菌が発生しないのよ。だから、ここにいるの」


「どうして無菌室から出られないのか知ってるのか?」


「あなたは、なんでか知っているの?」


「抵抗があるからだろう。俺と同じ」


「あなたもなのね」


「ああ。お前と違って、俺は、無菌室になんて入ってやらないけどな」


「どうして……こんな体質に生まれてきたのかしら……」


「なぜ出ようとしないんだ。閉じ込められたまま生きるのか?」


「出れるわ。いつかは」


「いつかっていつだ!」


「知らないわよ!」


「閉じ込められて窮屈じゃないのか?!」


「窮屈に決まってるでしょ!自分が自由だからっていい気にならないでよ!」


「いい気になんてなってない!」


「うるさいから怒鳴らないでくれる?!」


「知るか!」



「あ~はいはい、喧嘩はやめてくれるかな」


「パパ!」


「施設内での喧嘩はご法度だよ。なんせ狭くて限定された場所だからね。自粛が義務付けられているんだよ。怒鳴り声がドアの外まで聞こえてるよ」


「だって!」


「カイリ、どんなに正当な怒りでも、相手に怒ってはダメだよ」


「なんでそんなこと言うの!」


「少し頭を冷やしなさい、フリー君もだよ」


「今日は終わりにする」


「じゃぁ、また明日ね」


フリーはドアを乱暴に閉めて出て行った。


「ちょ!パパ!来なくていいわ!あんなヤツ!」


「カイリ、フリー君のことどれくらい知ってる?」


「えっ……」


「良く知っていて仲違いするならいい。けど、知らないのに嫌うのはよしなさい」


「どうしてそんなこと言うの!」


「博士!緊急事態です!」


「わかった、行くよ」


「あ、すみません……カイリさん」


「早く行ってよ!もう、来ないで!」


「また来るから」




「……結局一人にするなら、もう誰にも会いたくない。余計に寂しいだけだわ」


つぶやきは誰にも届くことはなかった。

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