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アンゲルス  作者: Leone
第一章 ヒーローの帰還
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第二十一話 ガルメラの力

「クソったれが……!」

 ガルメラは瓦礫の山から脱出しつつ、悪態をつく。

(何なんだ!? あの野郎の能力……。あれは、今まで遭った中でも特に異質な力だった……。一体、何者なんだ!?)

 ガルメラは驚愕していた。キリエに対して。

 一方で、キリエはガルメラが立ち上がったことに気付くと同時に、こう言い放った。

「さて、思い出したならその力を見せてみて」

「ああ」

 その一言でランツァは答えた。

「クソが……! 力を見せつけるのは俺の方だ!」

 距離は結構あったが、彼らのセリフは聞こえたようだ。

 そして、ガルメラは十本の刃でランツァに襲いかかる。

 ギイイィン! と、刃が交錯した音がした。

 十本の刃を器用に扱うガルメラの攻撃を、ランツァはたった一つの剣で防ぐ。

 何度も何度も。

「どうしたどうしたぁ? その程度か? てめえの力はよぉ!!」

 バギィン! と、今までで最も強い交錯音がした。

 やはり、ガルメラは倒せないのか……。

 そんなことを思っていた。

 先程までは。

 だが、今は違う。ランツァは力の扱いを、あの時使った力を思い出したのだ。なら、ガルメラは絶対に倒せない敵ではない。

「う……おおおおおおおおおお!!」

 遂に彼はあの時の力を発揮する。

 十メートル程まで巨大化した剣は、真横に振るわれた。

 それをガルメラはまた、片腕で受け止めようとする。

 まるで、ランツァを侮辱するように。

 だが、厳然たる事実はガルメラの思惑とは異なっていた。

 片腕は、いとも簡単に切断されようとしていた。

 しかし、ガルメラはそれをただ驚いて見ているような悪魔ではない。

 ガルメラは瞬時に最も相応しい行動を見つけ出し、実行する。

 それは、もう片方の手にある長い爪でランツァの剣を止めること。

 ランツァも、ガルメラの思考を悟り、さらに力を加える。

 だが、間に合わない。

 ガルメラの方がランツァよりも速く、攻撃を止めたのだ。

「ぐ……」

 ランツァは身の危険を感じた。だから、即座に距離を取ろうとするが、それをガルメラは許さなかった。

「ふっ……」

 苦笑。

 ガルメラはこれを好機と思った。ただし、言うまでもないがランツァはそんなことを知る由もない。

「俺の力は、ただ敵を斬り裂く爪だけじゃねえ」

「…………!」

 真実か否かどうかはわからないが、意外な言葉にランツァは思わず驚愕していた。

「俺はディレ・ディオスの所属だ。破壊を称するレギオンに入れる俺が、何の能力ももっていないとでも思ったのか?」

「…………」

 何一つ、言葉が浮かんでこない。

「いいことを教えてやる。レギオンには、それぞれの分野で特化した者だけが集まる。要は、弱え奴は入れねえってことだ。で、俺は破壊の分野で優れている。つまり、俺の力がその辺の奴と一緒だったら、おかしいんだよ」

「まさか……そんなことが……」

 やっと思い出したおかげで勝機が見えてきたと思ったら、またも崩されてしまった。

「まあ、俺の能力を死に土産に教えてやる。俺の能力は……」

 ガルメラは結局、能力を言わなかった。なぜなら、それをランツァに見せつけたからだった。

 瞬時に両手の爪が短くなり、腕を斬っている剣を強引に腕で弾き飛ばし、爪をランツァに向ける。

 直後、ランツァの腹を五本の爪が深々と突き刺さる。

 そう。再び爪が伸び、長くなったためだ。

 そして、それが抜けた瞬間、赤い液体が大量に噴き出す。

「がはっ……」

「ランツァ!!」

 キリエが反射的にランツァを助けようとする。

 勝てないと悟ったが故に。

 だが、ガルメラはキリエを近づけまいと、爪を向け、一気に伸ばす。

 その長さは先ほどまでの倍はあった。

 しかし、その爪が彼女を貫いたかというと……。

 答えは否。

 逆に、ガルメラの爪が折れてしまったのだ。彼女の体の強度に負けて。

「ばっ……!!」

(俺の爪で貫けないだと!?)

 罠。

 その隙をキリエは決して見逃さない。

 一瞬で近づき、回し蹴りをお見舞いする。

 そして、またもガルメラは派手に飛ばされた。

「大丈夫?」

 キリエは倒れているランツァを抱えて、そう言った。

「大……丈夫……」

 大丈夫にはどうしても見えなかった。だが、今すぐ死にそうにも見えなかった。

 おそらく、心配させたくないだけだろうと、彼女は思った。

「はぁ……。じゃあ、さっさとあいつを捕まえて休憩しよう」

 彼女はそう言い、遂にガルメラと闘うことになった。

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