第十九話 破壊のレギオン
ランツァは右手にあるアクセサリーを巨大化し、銀色の剣を生成する。
対して、悪魔は何もせず、ただこう言い放った。
「とりあえず、自分が殺される相手の名くらい知りてぇだろうから、教えといてやる。俺の名は、ガルメラ。レギオン、『ディレ・ディオス』所属だ」
「!?」
妙な単語を耳にしたランツァは、一瞬だけだが、闘う意識が飛んでいた。
すぐに集中し直すのだが。
自分に集中しろ、と言い聞かせながら。
その時、ランツァの背後にいたキリエが急に話し始めた。
「レギオンというのは、言葉通り軍隊の事よ。悪魔にはいくつかのレギオンが存在するんだけど、一方で私達天使にはそのレギオンというものがない。だからといって、私達の方が不利になるわけではないけどね……。ディレ・ディオスというのは、破壊を称するレギオンの名よ。まあ、気にせず、そしてもちろん臆せずに闘ってみて」
「詳しいじゃねえか。いいぜ、てめえみてえな奴は、俺は嫌いじゃねえからよ」
だが、とガルメラは続けた。
「そいつに俺の相手は、ちぃと無理があるんじゃねえか? 喰っていいなら、有難くいただくけどよ」
ふっ、とキリエは苦笑しながら答えた。
「心配は無用よ。ランツァはそこそこに強いからね」
ランツァは褒められたが、あまり嬉しくなかった。
理由は、彼女が彼の知っている彼女ではなかったからだろう。
むしろ、緊張してしまったくらいだ。
期待されているのに、失敗してしまうのではないかと。
だが、彼は闘うことは拒まなかった。ウィリアムを助けるためにはおそらく、ブラックと闘う必要があるからだ。
そのためには力がどうしても必要になる。
だから、彼はこの悪魔に勝つことだけを考えた。
「そろそろ始めようぜ」
「はっ! 威勢がいい奴だ。だが、それもいつまでもつかな?」
始まる。
ランツァとガルメラの闘いが――。




