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12-12.
「会えましたか?」
帰るといつも、お帰りなさいを忘れない咲紗が開口一番訊ねてきた。
その表情は厳しい。
「会えなかったよ」
「追い掛けるのですか?」
「誰――、玲奈を?」
咲紗が無言で首肯する。俺は首を横に振った。
「良かった。本当に良かった……」
崩れた表情のまま、咲紗は涙を拭う。
「玲奈と一緒に……行ってしまうと思っていました」
小さく零れた声に、胸が詰まる。
「バカだなあ」
そう言って抱き寄せると、すぐに強く抱き返された。
「送り出してから、後悔しました」
「うん」
咲紗が動揺している。それは腕に込められる力で十分伝わる。
「玲嗣さんは小さな頃からこんなに怖い思いをなさっていたのだと、今になって
ようやく分かりました」
「そっか。俺は今でも怖い思いをしているよ」
「えっ、何がです? 私がお傍にいるのに」
「咲紗の実年齢を知らない怖―― い、痛い、痛いってば」
「歳の事は言わないって約束しましたよね?」
涙の跡を残したまま、いつもの調子で足を踏んでくる。
睨み顔を解いてそのまま、ふわりと抱きついてきた。
「お帰りなさい、玲嗣さん」
「ただいま、咲紗」
これで前編終了です。ご愛読有難う御座いました。
引き続き後編を掲載いたします。
お読み頂けると幸いです。




