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無敵美人と戦痕少女、そして私の不等辺三角関係(前編)  作者: 西山 葵
前編第12章 (前編最終章)
112/112

12-12.

「会えましたか?」

 帰るといつも、お帰りなさいを忘れない咲紗が開口一番訊ねてきた。

 その表情は厳しい。

「会えなかったよ」

「追い掛けるのですか?」

「誰――、玲奈を?」

 咲紗が無言で首肯する。俺は首を横に振った。

「良かった。本当に良かった……」

 崩れた表情のまま、咲紗は涙を拭う。

「玲奈と一緒に……行ってしまうと思っていました」

 小さく零れた声に、胸が詰まる。

「バカだなあ」

 そう言って抱き寄せると、すぐに強く抱き返された。


「送り出してから、後悔しました」

「うん」

 咲紗が動揺している。それは腕に込められる力で十分伝わる。

「玲嗣さんは小さな頃からこんなに怖い思いをなさっていたのだと、今になって

ようやく分かりました」

「そっか。俺は今でも怖い思いをしているよ」

「えっ、何がです? 私がお傍にいるのに」

「咲紗の実年齢を知らない怖―― い、痛い、痛いってば」

「歳の事は言わないって約束しましたよね?」

 涙の跡を残したまま、いつもの調子で足を踏んでくる。

 睨み顔を解いてそのまま、ふわりと抱きついてきた。

「お帰りなさい、玲嗣さん」

「ただいま、咲紗」

これで前編終了です。ご愛読有難う御座いました。

引き続き後編を掲載いたします。

お読み頂けると幸いです。

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