1話
もりのうさぎさんとふしぎなまほう
歩いていると怪我をした。
怪我と言ってもどんな怪我かわからないだろう。深い傷や軽い傷、どこを痛めたのか。ものすごく説明不足だ。どこと言えば足になる。足と言っても具体的にどこを怪我をしているのかわからない。そりゃ僕が説明していないからさ。
普通考えるだろ?どんな傷か、どんなところを怪我したのか。思考を巡らせて考える。どうだい?少しは考えたか?
考えろ
あなたの脳みその本分とは何か。鏡を見てみろ。そこにいるのはあなたじゃない。ただの1人だ。
足が痛んできた。少し深かったらしい、緊迫した状況の中で人は思考をすると焦りを生み出してしまう。その焦りがダメなんだよ。今だってこう意味もなく何もせず点を見つめて心の中で呟いているだけじゃないか。あー、もう全部足の傷のせいだ。
「32J君、そろそろ起きなよ」
まったく誰だ。私は怪我人だぞ。これには一言叱責してやらないと気が済まない。
「処分ね」
私が思考を終えたと同時に目の前に人物は一言吐き終えた。
「あ、あうううああえああああ」
私は懇願した。まだ自分には体力があって耐えられることを示した。声はもう出ない。出るのは奇声に似た低くて哀れな鳴き声。
私の鳴き声を聞くと目の前の人物は安堵の笑みを浮かべると同時に私にもう部屋に戻っていいぞといった。部屋に戻れると聞いて私は嬉しく感じたが、足のケガが気にかかってた。ふと足を見るとそこには傷ではなく耳がついていた。耳かー。7cm程の大きさがある。恐らく女性のものであろう。とても不快だ。耳とは顔の横につけるものであるからこそ真価を発揮し、人物を立てるものではないのか。嗚咽とは食道をつたい突然やってくる。
「こらこら戻さないでくれよ。一応僕もこう見えて研究員なんだ。研究にはアイデアが必要なのだよ!君の足首についている耳は美しいではないか!僕の息子の〇〇のお絵描きを体現した甲斐があったな!」
そう言い終えると同時に研究員Aは鼻歌交じりのスキップでどこかに消えてしまった。
そうだ、部屋に戻らないと。自分の足首に確かにある耳の感触を味わいながら、吐しゃ物と涙でぐちゃぐちゃになった実験室の梯子から部屋に戻ろう。梯子を上る途中、腕が折れて梯子が登れず泣きわめく子供や目の見えない女性を食べ始める自分自身の片目をほじくっている男性を見た。みんなおかしいよ。もう慣れたけど。部屋に戻っても明日にはわが身もこうなるかもしれない。でも頑張らないと!これしか生きる権利が与えられていないのだから!いつしか出なくなった聞くに堪えない叫びをして部屋に戻った。
ここは%$#国の研究所。私がいた国は戦争に負けて%$#国の研究所で働いている。働いている?働いている! %$&国では薬物問題が深刻なんだって。SFHYっていうお薬が。でもわからないんだって。だから私たちを使って研究をしているんだ。私たちはSHFYという薬を実験室に入る前に飲ませられる。記憶と理性が飛ぶほどにね。まあまた話すよ生きていたらね。そう呟くとはしごを上ってきた片目のない男性から逃げるように部屋に戻った。
こんにちは




