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ちょっときいて  作者: 矢久 勝基


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投稿サイトと小説の未来

 先日、このサイトで熱狂的に応援してくれていたユーザーさんが消えた。

 たまに活動報告をするたびに「お久しぶりです」という題名で報告を始めるあの人も、最近はとんと見なくなった。

 作品を出すたびにメッセージでボツリと感想を呟いていくあの人も、一時期結構親身に声をかけてくれていたあの人も、「同じくプロを目指しています!」……はつらつとしていたあの人も、みな消えていった。


 ネットの付き合いと現実の付き合いの一番の違いは、ネットはいつでも"死ぬ"ことができることじゃないだろうか。嫌になれば消えてしまえばいいのがネットの世界だ。追えない。

 そして、どんどん消えてしまうので、どんどん新しいのを補充しなければならない。何かアクションをしてみて、そのときに反応くれる人と付き合う。

 つまり、"今存在している人と薄く広く付き合う"のが、ネットの交友関係であるような気がする。

 矢久はそれがどうも苦手だ。ネットの付き合いこそ今の世相を表してるのだろうし、それで世界と繋がれるというのは本当にすごいことだと思うから、決して非難はしない。だけど苦手だ。


 しかし、"小説"という分野は、これからもっともっと、小説投稿サイト的なシステムが一般化されていくと思う。

 印税で収入という概念はいずれ潰え(厳密には残るが一般的ではなくなり)、ジャンルはもっともっと多様化し、ごく少数のコミュニティを形成して、その中でのみ消化されていくようになる。

 交流の一環として小説があるという形。文学性を求める層、とにかく娯楽を求める層、……ただの超長いツイッターのような作品でも、作品それ自体より、それを元に交流するコミュニティのツールとなる。その中で多くもてはやされる物に広告収入が付き、それをもって、"プロの小説家"と、呼ばれる形になっていくんじゃないかと。

 つまり、『小説家になろう』のyoutube化が、日本の小説界の最終形なのではないかと思う。

 きっと文学賞はそのほとんどが消滅。本屋も生き残れるかは怪しい。


 その未来予想図が正しいなら、現在小説投稿サイトで多くのヒトが研究(?)している『PVの増やし方、評価をもらうには』……その辺の分析が、そのまま未来の小説界のトレンドを形成していくのだろう。youtubeと若干違うのはそこな気がする。

 ともあれ、思いっきりネット付き合いの領域であり、わたしはたぶん、文章レベルとか関係なくついていけなくなる。

 これからの小説に最重要なのは、友達の輪だ。そして、その友達の輪は、とにかくどんどん新規開拓して、その時々でアクティブな人と交流し、消えた人は忘れ、常に新陳代謝を繰り返していく広い付き合い……。


 インターネットが普及するまで、読者との対話が当たり前なんて環境はなかった。

 でも、そういう環境の楽しさをわたしは『小説家になろう』という媒介を通して初めて知った。

 わたしほどの朴念仁でもそうなのだから、この形がこれからも多くの人に受け入れられるようになっていくと確信する。しかしそうなれば作品自体に対価が支払われる時代は終わって、その作品をダシに付く広告が、物書きを支えるようになる。

 どのような作家が、作家に向いているかという概念自体が、変わっていくようになると思う。そして、その形式は中間業者である出版社を消すこととなる。それが分かっているから、今、小説投稿サイトというのは増えているんじゃないだろうか。


 そんな時代に向けて、矢久がやれることは何か。

 友達百人目指してたくさん声をかけていく?……無理無理。五人でも無理です。

 せめて、作品をコンスタントに投稿していくしかないのだろう。常にアクティブ(存在しているヒト)でいることだ。

 そうやって、今の『小説家になろう』の、わたしの、数少ない交友関係はできていった。

 そう、やっていくしかないのかもしれない。

すべてがそういう流れになった時、一番厳しいのは小説じゃなくて音楽かもね

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