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ちょっときいて  作者: 矢久 勝基


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暴論! 長編web小説で人気作を書きたいならこう書け!

現在描いてる長編が難産で、現実逃避してこんなの書いてるお年頃……(苦笑)。

 web小説に参入してそろそろ五年。

 その五年、矢久はひたすら正攻法で小説をアップしてきたが、手ごたえがあったとはいいがたい。

 しかし同時にweb小説というものの一側面も垣間見た気はする。

 今から吐くことは暴論だが、一つの側面として、あながちすべてが外れている話じゃないと思うから、web小説で人気作を書きたいなら参考になるかもしれない。

 繰り返すが一側面だ。『あの作品はそうじゃないじゃないか!』とかツッコまれても知らない。それを踏まえても聞きたい奴は聞いてくれ。


 まず、web小説では物語なんて描くな。

 例えば二十万文字描くとして、その全体的な流れで起承転結を作ってくなんてことはしなくていい。プロットもいらない。大事なのは、全体の設計よりも、読者の求めているキーワード・キー展開をどれほど立て続けに盛り込めるかなのだ。

 web小説では、物語を描くのではなく、場面を書け。

 文章力も、基本的なものが備わっているならあまり技法はいらない。それよりもアイディア勝負。そして味のあるキャラを生め。プロデュース側は小説それ自体よりも、そのキャラクターが一人歩きできるかどうかを見ているのだ。

 そういうキャラでどれほどインパクトのある場面が書けるか。トレンドをバンバン盛り込みつつ、欲望に忠実な場面を書け。

 人間の欲望なんてそれ程多くのジャンルはない。欲望に忠実なほど、その欲望に共感するものも現れる。特にストレスフリーの求められる昨今のライトノベルは、「わかりにくい」とか「微妙に寸止め」などの、じらしプレイはあまり求められていない。原色のまま、欲望を書き連ねればいい。俗物であるほどその欲望に共感できる者は多いのだ。わっはっは!(暴論)


 調子に乗りすぎたが(笑)、ともかくヘタに物語を描こうとすると気を引く場面ばかりとはいかず、つなぎの場面に間延びの部分が現れるが、そういうのを考えず場面場面を書きインパクトを重視すれば、一つ一つに瞬発力ができる。

 そうやって、一話一話、とにかく読者のアテンションを外さないのはweb小説の戦い方の一つだと思う。

 一話の切り方だって自由なのだから、ネタによっては書き逃げくらいのつもりでもいい。


 物語の顛末(完結)なんて考えなくていい。

 顛末を考えればつじつまを合わせるためにノイズが必要になってくる。それよりも場面でどんどん話を繋いでいくことに専念し、顛末なんてどこ吹く風くらいに思った方がいい。

 顛末なんて誰もが忘れた頃に、その時ある設定から組み込みを始めればいい。理由は後述する。


 憶測で申し訳ないが、ライトノベルの出版社も、恐らく完結した物語なんて望んでいない。

 出版社にとって完結とは、それ以上の収益が見込めないことを意味する。

 人気が出れば、その人気が惰性になって消えゆくまでそれで収益を上げたいわけだから、いくらでも続編が出せる未完結の話のほうがありがたい。……じゃなきゃコンテストが、『未完結でもオッケー』みたいなレギュレーションになるはずがない。

 人気が冷めてくれば打ち切りにすればいいわけで、とにかく出版社側にとって大切なのは、終わりのきれいさよりも、今、ここで、どれだけの収益が、その話から生み出せるかってところとなる。

 そういう売り方を、少なくとも今のライトノベル業界はしていると思う。

 大当たりするか否かよりも辛勝を狙って手堅く利益を上げる。……それが方針であるように思う。

 小説は本来、物語をきれいに終わらせることが一番難しいのだが、だから、そんなところに頭を悩ませるのなら、なにがトレンドでどの展開がウケているかをリサーチし、生み出したキャラでどう遊ぶかだけを考えた方が有意義だと思う。

 トレンドは作るより、乗る方が世の中ははるかに楽にできてる。ぜんぜんオリジナルじゃなくていいし、ヒットメーカーさんはきっと意図的、偶然に関わらず、躍起になってそれを求めている。


 とにかく、気合入れて『物語』を描こうなんて考え方は、ことweb小説ではあまりカシコイとはいえない。なんなら設定ばかり大量に作って、バンバン新作として出して、反応がよかったものだけを残し他を間引くという、花や野菜の栽培みたいな方法を用いるのもありかもしれない。

 さっきも言ったアイディア勝負。たまにヒットしたキャラを、そこで初めて育てていくやり方。

 それで生き残った話に力を注ぎながら、場面で話を展開させて、『終わらないお話』にしていくって寸法だ。

 その物語の完結はその作品でデビューして人気が翳った頃に、編集サンから「そろそろ終わらせて」っていわれるので問題ない。それが妙ちくりんな終わりでもオッケ。だって、その話はそれまでの展開で収益を上げたんだから。


 以上、一側面でしかないが、一側面では言えると思われるweb小説業界の傾向。

 決してその側面を馬鹿にしたのではない。以上に書いたことは、まったくカンタンなことではないからだ。

 トレンドを追う。読者の心を飽きさせない場面を書き続ける。それをやり続けられるなら、それはそれでものすごい才能だ。

 まぁともかく、web小説で人気を得たいなら、「完璧な物語を描く!」みたいな方針を打ち立てることは、今の(web小説の)傾向としてはあまりいい労力とはいえないかもねーとは思う。


 『物語』なんて描くな。プロットなんかもいらない。ネット小説で読者を引きたければ、ただ場面を書け。とにかくインパクトのある場面を原色そのままに描きつなげ。

 物語を一つの形にしようとする労力よりも、今求められてるワードが何かをリサーチする時間にあてながら、終わりのない話を書きなさい。

 ……というのを基本方針に据えると、web小説の大道からは、外れないと思うよ?


 あとはまぁ、内容如何に関わらず固定票ってやつはweb小説には絶対に必要だと思うけど、それはまぁ……もはや小説の書き方でもなんでもないんで……。

これが正しいなら、webで人気は得られなくてもいいやと思ってるし、だから撤退傾向にあるわけなんだけど・・・。

このエッセイを、頭から根拠付きで否定される未来があれば、その時またwebでも戦ってみようと思います。

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