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文豪、ステータス画面を閉じて曰く

売れない純文学作家、古堂文人(こどう ふみと)は、極貧と孤独の末にその生涯を終えた。――はずが、次に目を開けた時、そこは剣と魔法、そしてステータス画面が当たり前に存在する、典型的な「なろう系異世界」だった。

召喚された勇者、囚われの王女、奇跡を振りまく聖女。彼らが繰り広げる、あまりにご都合主義的で、生命の輝きを感じさせない「物語」に、古堂は生理的な嫌悪感を覚える。
「ここは地獄だ。真の文学が存在しない、空っぽの世界だ」

そんな彼に与えられたスキルは、皮肉にも、他人のステータスの代わりにその人物の「本質的な欲望」や「自己欺瞞」を文学的に暴き出す【真眼】と、世界の物語の矛盾を指摘し、「リアルで過酷な結末」に強制的に書き換える【物語介入】という、呪いにも等しい力だった。

「あんたがいると、何もかもがおかしくなる!」

安寧な虚構を破壊するだけの「疫病神」として勇者パーティーから追放された古堂。しかし、彼の介入によって「役割」という名の軛(くびき)から解放され、苦悩し始めた者たちがいた。存在意義に目覚めた魔王軍幹部、国を背負う為政者へと変貌した王女、神に頼らず自分の足で立とうとする元・聖女――。

彼は、破壊の先で出会った「人間らしい苦悩」に、かつて追い求めた文学の美しさを見出していく。

これは、一人の作家が、安直な救済(ハッピーエンド)を否定し、世界のシステムそのものに反逆する物語。
これは、神の脚本(シナリオ)を閉じて、名もなき人々の、不条理で、どうしようもなく愛おしい「本当の物語」を取り戻すための、静かな闘いの記録である。
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