私、橘楓。 vol.010. 「だって、もう会う事もない。」
「いや~凄…、カッコいい~!何…あの人…???」
と、朱実。
「……。」
何も言えない楓…。
「楓~仕方ないよ、こんな状況じゃ…。ありがたく、あの人の好意に甘えよ。それよりあんた…、本当にどこも…何ともないの…、どっか…???」
と、陽子。
「ん…、大丈夫だけど…。せめて…名前だけでも聞いて、おきたかった…。お詫びとお礼…したかった…けど…。」
「確か…、あの女性の人…だいすけ…って、言ってなかった…???」
「うん…、そうは…言ってたけど…。…それだけじゃ…。」
「うん…まぁ…、ねぇ…。仕方ないよ。こういう事もあるって…。」
と、楓の肩をポンと叩いて陽子。
「さっ、帰ろう~!」
そういう陽子の声で歩き始める5人。
もう既に、さっきの2人の男女の後姿は前を見ても人混みの中にはなくなっていた。
「おっはよう~昨日は楽しかったね花火、もう~最高だった。」
と、学校目前の道路で朱美に挨拶しながら話す陽子。
「うんうん、夏はやっぱり、あれがなくっちゃあねぇ。」
そして、朱実と陽子が朱実の机でお喋りしているところに、
隣の自分の机にやって来た楓。
「おはよう。」
「あっ、おはよう楓。…ん???な~んか元気ないわね~ん…???」
と、朱実。
「ん…、別に。いつもと同じだけど…。」
「おんや~。もしや昨日のあの人、まだ頭の中にあったりして…。」
陽子。
「あっ、それはないないないない。…だって、もう会う事もないだろうし…。」
と、右手を振りながらの楓。
「じゃあ…何、その浮かない顔…???」
「ん~、実はね…、私の10歳年上の従姉の結婚式があんのよ。」




