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星屑の機巧技師(せいせつのきこうぎし)  作者: リンネ カエル/霖廻 蛙
第一章─極子水星要塞〜演劇の始まり〜─
76/330

欠片76.『潜入─2日目』


欠片《ピース》76.『潜入─2日目』です!





怪しい二人組の会話を聞いた後──アストラは、潜入から1日目に訪《おとず》れていた森の奥へとやって来ていた。



「広い湖だな」


(辺りには何もないな)

(機屑物《ガーベマジル》の気配すら感じられない)



ザッ………ザッ……。


湖の辺《ほと》りまで来たアストラは、目を見開いていた。

湖は空が透き通ったように青く。光の反射によってキラキラと美しい光景が広がっていた。



「素晴らしい景色だな。」



『そうだろぅ〜そうだろぅ〜?』

『キレイだろぉ〜……ここぉ。』



「──!?」


突然──湖から聞こえてきた声に、アストラは驚いていた。



(気配がしなかっただと…!?一体どこから…。)


「誰だ?」



その質問と共に、声の主《あるじ》は湖から顔だけ姿を現した。



──チャプっ。……ヌゥゥ〜ン。



『んん〜……?ここいらでは、見ない顔だべな〜。』

『よそもんか〜?』


湖の主《ヌシ》[キャッシュ(27)]

   [半魚人《マーフォーク》(モデル:オオナマズ)]




(なんだコイツは……。)

(魚人か?)



『ヌッ…』と、突然現れたナマズの顔をした半魚人《マーフォーク》は、"の太い声"でアストラに話しかけていた。



「なんだキサマ」



『……あ、あ〜……。あ。あっ。』



「……?」



『あ……あぁ…。』

『……アンダ…。キレイだべ。』



『──オラと、結婚《ケツコン》じてくれッ──!!!』




「──!!」



あまりにも衝撃的な言葉に、アストラは目を見開いたまま口を閉じていた。

そして、その様子を点のような目で黙って見つめるキャッシュに、アストラはしばらくの無言の後。

冷静に答えていた。



『……。』



「……」

「無理だ」



『"ガビ──ンッ"』と、雷に打たれたかのように驚くキャッシュは、大きなショックを受けていた。

そして、そのまま下に俯《うつむ》くも──すぐにアストラを見つめ直して質問をするキャッシュ。



『オラの……何がダメだ?』


『金《ガネ》か…?金《ガネ》ならいっぺぇある…!湖《ココ》に落ちてきたヤヅが!いっぺぇあるべ!!』




「……」

「全てだ」



アストラの返答に、再び『"ガビ──ンッ"』と、驚きながらショックを受けたキャッシュは、もう一度。下に俯《うつむ》いていた。



(相手にしにくいヤツだな……。)


「オマエはこの場所に住んでいるのか?」



『──ッハ!』


『んだ!ココのヌシだで!』

『み──んだ!オラのことをリーダーと思ってぐれてるだ!!』


『どうだ?ケツコンする気になっだか?んー?』




「……」

「そうか、邪魔したな」


颯爽とその場を立ち去ろうとするアストラに、キャッシュは慌てて声をかける。



『ちょ、ぢょっど、まっでくれぇ〜!』

『じょ、冗談だべ!!へへ。』



「出会ってからいきなり、知らないヤツの求婚《きゅうこん》を誰が了承するんだ?バカなのか?」

「用がないならワタシに話しかけるな」



『ちょっと、まっでくれぇ!』



──キッ…!!



しつこいキャッシュを睨《にら》みつけるアストラ。



「しつこいヤツは嫌われるぞ。」




『ち、違うんだべ…!!』

『…ア…アンダ……。あの街の秘密《ヒミヅ》。』



『──知りだくないか?』



『ピタッ』と、その言葉を聞いたアストラは歩みを止め、キャッシュの元へと歩き直した。



「……ほぅ。」

「その話───詳しく聞かせろ。」



─────────────────────────

─────────────────────────



【AM0:23〜】


【極子水星要塞《ミニマルフォートレス》  地下・酒場

 ──劇場《レクイエム》の鎮魂歌《シアター》・澪《みお》】




「……ホットミルクを一つ頼む。」



『かしこまりました。』


女性の声で頼まれた注文に、黒いウェイトレスを着たウサギの獣人が答える。

その獣人は、広いお店の中を『スタ、スタ』と、足音を鳴らしながらバーのカウンターへ向かった。


すると、カウンターの中にいた。別のウサギの獣人に注文を告げているようだった。


そして、数分後もしないうちに、アストラがいる──丸いテーブルの上にホットミルクが置かれた。



──コトッ。


『お待たせいたしました。お好みでハチミツをお入れ下さい。』



「ありがとう」


『いえ。ごゆっくりどうぞ♩』


アストラがお礼を告げると、獣人はその場を後にした。

テーブルの上には、ホットミルクのカップとは別に。小さな小瓶《こびん》も一緒に置かれていた。


そして、アストラはフードを被ったまま。一口啜(すす)る。



「……フゥ…。」


(さて、本当に来ると良いいんだが……。)



しばらく辺《あた》りを見渡《みわた》すアストラ。

店内にある他の客席には、2、3人ほど客が座っていた。


(違う。)

(ただの市民か。)



(流石に早すぎたか?)


アストラがミルクをもう一口飲もうと。今度はハチミツを少し入れ、口元に運んでいたその時──。


店内に扉が激しく開閉する音が飛び込んできた。



──"ガランッガラン"!!



(こいつらは──)


横目で視界に入れるアストラの視線の先には、探している人物達がやって来ていた。




最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


[今回の一言♩]

久しぶりにノコギリで木材切った…。腕痛い。


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