欠片44.『フロデューテ』
欠片44.『フロデューテ』です!
※本作の「」と間にあるーーーの種類について説明
[]=人物名と年齢、種族
「」=人物の話しているセリフ
『』=人外、多種族などのセリフ、複数人のセリフ、名称
()=人物の心のセリフ
《》=人外、多種族などの心のセリフ
{}=人物の念話
{{ }}=他種族の念話
【】=漫画で例えると四角い囲みのナレーション語り、用語説明
・・=強調
" "=強調、効果音など
ー1本=漫画の場面転換、幕間
➖ー➖1本=過去回想に入る終わる・過去の時間軸
ー2本=漫画で例えた時の流れ
『まずは自己紹介ね。』
『アタシの名前は、『フロデューテ』。彷宵徨要塞 出身の鬼人だよ。』
[フロデューテ(20)]
[種族:鬼人]
『つい先日まで、この先の山を超えた所にある』
『白骨屍屑山である任務をしていたんだ。』
「ある任務?なんでそんなところで?」
「その山に何があったの?」
と、サーチはフロデューテに質問した。
『おねぇ…姉からの命令で、屍人の調査をしていたの』
「グール…?なんだそれ?」
『ゾンビみたいなものだよ、サーチくん』
『死体が動いてるって思ってくれたらいいかな』
「え!?実際にいたの!!?」
「てっきり、ユリニトの嘘かと思ってたのに…」
『サーチくん〜。ボクは噂を聞いた、としか言ってないよ〜?』
「あっ…すまん!ヘヘッ」
『ゴホンッ…話を続けてもいいかな?』
「ごめん、ごめん!」
『それでね、あるツテからの情報を耳にしたの。』
『その情報をもとに、アタシの姉が調査に乗り出したんだ。』
間がいいところでユリニトがフロデューテに質問した。
『その〜さっきから話してるお姉さんって誰のことなんだい〜?』
《まあ…だいたい察しはついてるんだけどね〜♩》
『えっと、それは…』
『八天星の一人… 『ウェスト・ヴィーナス』だよ』
「!!!」
「八天星のひとりが姉ェェェェ!!?」
「それに、ヴィーナスってたしか…」
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『なんてったってここは、あのヴィーナス様の領域内だからなー!』
「ヴィーナス? あの、八天星?」
『ああ!そうさ!大要塞『彷宵徨要塞』に住む女神!!』
『ウェスト・ヴィーナス様だ!!』
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「あの時の…!!」
「ここを縄張りにしてるってヤツか!!」
サーチが驚く中、ユリニトは密かに笑い、アストラは無言で聞いていた。
「……。」
『そうよ!ここの獣人や他の種族のヤツもそうだけど』
『みんな姉のことを好いてるの!!』
『だから、このことを知った姉は、黙ってないハズだわ!!』
「一つ聞きたい」
『?』
『なに?』
・・・・
「オマエの姉……ヴィーナスはどう見ている?」
『な、何のこと?』
『アタシはただ、屍人の調査しか聞いてないわよ』
「そうか。」
少しだけ考え込むアストラだったが、すかさずサーチがフロディーテに話の続きをした。
「それで!それで!結局、屍人はいたの?」
『ええ、あれは…白骨屍屑山を訪れてすぐのことだった。』
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『な、なによこれッ…!!』
『街が破壊されてる!しかも住民が…』
『アレはッ…!!』
かろうじて、反応がある負傷者を見つけたフロデューテは、そばに駆け寄った。
『まだ生きてる!』
『ねぇ!!アンタ!大丈夫!?』
『しっかりして!ここで何があったの?』
「…うっ……ふたり…組…の…女が……」
「…あ……バ…ケ……ノ…」
ガクッと首が倒れると、彼からはもう言葉は聞こえてこなかった。
『クソッ…』
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『そうしてアタシは、そのまま街の中を調査してたんだけど…』
『ほんとうにひどい有り様だった。ほとんどの住民の体は、体の一部が獣攻型の機屑物に喰われたときみたいに、無くなってた。』
「何かが喰ったってことか…」
『たぶんね。』
『白い建物も、街中赤く染まってたの。』
「うっ……。」
あまりの残酷さに、サーチは吐き気をもよおした。
『その後もアタシは、何か手がかりがないか探して歩いている時だった。』
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「アレ〜?まだこんなとこにヒトがいたァ〜♩」
八天星 水星メリウスからの刺客[レイ]
[種族:??屍人]
「キャハッ!!見たことない種類だネーー!!」
八天星 水星メリウスからの刺客[リプ]
[種族:??屍人]
『アンタ達だれだ!!』
『アンタ達が街をこうしたの?』
「ンーー?だったらナニーーー??キャハッ!!」
「ナニナニ〜?アナタも食べたかったの〜?」
そう話した2人の少女の口元は、赤く染まっていた。
《なに…コイツら…》
《雰囲気もヒトとは違う……それに目が…》
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『目の奥に…ものすごい暗闇を感じてね…。』
フロデューテは小刻みに震えていた。
『ヒトではないナニカ……おぞましい感じ。』
「…ゴクッ。」
3人とも黙って話を聞いている。
『その後の記憶はあまりなくて……気がついた時には片方の角が無くなってた。』
『そしてアタシは逃げ出した。』
『このことを姉が知ったら、ガッカリされるだろうね。ハハッ…誇り高い鬼人族なのに。』
俯くフロデューテに、サーチは声をかけた。
「そんなことねぇよ」
「アンタは生きてる!」
「死んだらなんも残らないんだ。」
「だから…生きてるなら勝ちだ!!ヘヘッ!!」
「お姉さんも、アンタが生きてて喜ぶと思うぞ!」
『フフッ…そうだといいな』
その言葉に元気をもらったように、フロデューテは微笑んだ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
[今回の一言♩]
漫画家や小説家の人たちって本当に尊敬する。マジですごい。




