欠片39.『赤髪の女』
欠片39.『赤髪の女』です!
【ユリニトサイド】
『どうも〜ご無沙汰してます♩』
奥から出て来た夫婦は、ユリニトを見て笑顔で挨拶をした。
『やぁ!久しぶりですね。ユリニトさん!』
水上宿屋 店主[リオン(34)]
[種族:獣人(モデル:ネコ)]
「お久しぶりですね〜。お元気でしたか?」
「紅茶でも淹れますね」
リオンの妻[ミーシャ(32)]
[種族:ヒト]
ミーシャが挨拶を終えると、厨房の方に戻っていった。
そして、紅茶を淹れ終わると、3人が座るテーブルの上にコップを置いた。ミーシャが席につくと、ユリニトは再び話し始める。
『お二人とも、お元気そうでなによりですね〜♩』
『ええ、変わらずですよ!ハハッ!』
『ユリニトさん。今日は、商売で立ち寄ったんですか?』
『あ、いえ。今日はボクの護衛の方が二人いらっしゃるので、その方達と泊まれる宿を探してまして。』
『それならお二人の所に、と。顔を出させていただいたという訳です♩』
『そうでしたか〜!なら、今日はご馳走にしましょう!ちょうど『大河の滝』で獲れた『魚獣型』の在屑物が獲れましてね!』
『ソイツを使った料理を作ろうじゃありませんか!』
「まあ、あなたったら〜。張り切っちゃってもう〜。ウフフッ」
『よろしいんですか?』
『ええ!ユリニトさんにはお世話になったからね!構いませんよ!』
盛り上がるリオンに、リンは呆れたように『はぁ〜』とため息をついていた。
『も〜パパったらー!本当はウチで食べるって言ってたクセにー!!』
『ほんとすぐ調子乗るんだからー!』
『うっ…それは…』
『アハハ…。気を使わせちゃいましたかね〜♩』
薄ら笑みを浮かべるユリニトに、リンは慌てて両手見せながら答えた。
『あ!いいのいいの!全然気にしないでいいからね?ユリニトちゃん!』
『コラ!リン!オマエは黙ってろ!』
『も〜パパはうるさいー!!』
『もう、しーらないっ!!』
"バタンッ"!
リンは勢いよく席を立つと、奥の部屋の扉を開け出て行ってしまった。
その様子を静寂の中で、3人はなんとも言えない表情をしながら見つめ合っていた。
『大変ですね〜』
『そうですねぇ…ハハハ。……まあ、今日の晩は任せてくださいよ!腕によりをかけて作りますんで!』
『楽しみにしてます♩』
『では、ボクは買い物に出ますので、夕方くらいには戻って来ます』
『連れの護衛の方は、黄緑色の髪をした少年と白髪のポニーテールをした女性ですので、先に着いていたら案内していただけると助かります♩』
『りょーかい!任せてくれ!』
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【アストラサイド】
「その話……詳しく聞かせてもらおうか。」
「な、なんだテメェ!!」
「嬢ちゃん〜ここは、嬢ちゃんみたいな子が来ていい場所じゃないんだぜ〜?」
「とっとと去りな」
メンチを切るチンピラの男達は、手を『シッシ』と振り払いながら答えていた。
しかし、アストラは何事もなかったかのように、そのまま話を続ける。
「白骨屍屑山から逃げて来たヤツの情報が知りたい」
「いまどこにいる?」
「………」「……。」
男達は顔を見合わせて立ち上がると、アストラに向かって強面の表情をしながら迫り寄った。
「おい嬢ちゃん、それが人にものを聞く態度ってやつか?あぁん?」
「痛ェ目に合わないと、分からねェよぅだなぁ?」
"バキボコバギィ"───!!
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アストラが仁王立ちする中、酒場の床に正座する男達の顔は何ヶ所も大きく腫れ上がっていた。
「──えっと……テテッ。こ、この街に来てるのは確かなんだが。どこにいるかまではわからねぇ!」
「ほ、本当だ!神に誓ってウソじゃねぇ…!」
『コキッ…ボキボキ。』と、手を鳴らすアストラ。
「ヒィッ…!!ほんとうに知らないんだッ!」
「見た目はどんな感じだったんだ?」
「み、見た目は……あ、そうだ!赤い髪をした女だった!」
「長い髪だ!!それ以外は知らねぇ!」
「そうか。」
「邪魔したな」
男たちはひどく怯えていたが、そんなことなど気にもせずにアストラは店を後にした。
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