欠片36.『滝』
欠片36.『滝』です!
機竜翼獣を持ち帰ってきたアストラたちを見て、ユリニトは大喜びしていた。
『うっは〜〜!!凄いですよ!これぇ〜!!』
『一攫千金狙えるんじゃないですか?アハハハッ♩』
『この銀色に輝くツヤツヤのウロコっ♩ハァ〜……素晴らしいっ〜!!』
機竜翼獣の鱗に張り付いて、頬を擦りつけるユリニトを見て、サーチはドン引きしていた。
「……なんか、オレが破片ノ武器を造るときみたいだな。気持ち悪い……。」
その言葉を聞いてアストラは、冷たい視線を送りながら密かに思う。
(自覚はあったのか)
「ま、まあ!これで路銀にも困らないし、聖屑札も買えるよな!」
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【機竜翼獣との戦闘跡地から南東42km】
(進行1654km 残り1076km)
3人の行手に、河岸までの幅が150mはある大きな川が現れた。
『困りましたねぇ〜……。迂回するしかなさそうですかね。』
3人は川に沿って下流まで歩いていくこと3km、そこは行き止まりの崖になっていた。
"ドゴゴゴゴゴッ───"!!!
聞こえてくる物凄い轟音に、サーチはテンションが上がっていた。
「うほぁぁぁあ〜〜!!デッカい滝だー!!」
「滝ってやつだよなこれ?おやっさんが言ってたんだ!」
と、サーチはツベチカとの思い出を思い出していた。
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『サーチぃ、この世界にゃあ〜大量の水が永遠に流れ続ける川ってもんがあるんだ』
「川?」
「水が永遠に流れるってどうなってんだ!?」
『そ……それはオレにも分かんねぇけどよ』
『まあ、その川の水がよぅ、いきなり見えなくなる場所があんだよ』
『そこは崖になっててな、その崖から大量の水が落ちる光景を見られんだぜ!!』
「え〜ほんとかよ〜?」
と、怪しい目で見るサーチにツベチカは言う。
『ああ!それは"滝"って呼ばれてる!』
『その景色はきっと、一生忘れらんねぇぞ、ガッハッハー!!』
「なら、いつか冒険した時に見てくるよ!」
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ユリニトが辺りを見渡し、崖から下に続く道を見つけた。
『あそこから下に降りられそうですね〜♩』
『馬車も行けそうですし、緩やかな道でよかった〜♩』
その道は、左右に緩やかな傾斜の道になっており、滝の中に道が作られていた。
「スッゲェ〜〜!!目の前に水のカーテンが出来てる!!」
「これ、触ったらどうなるのかな?」
「勢いスゲーから痛かったりするのか?」
『アッハハ〜!ほんっとうにサーチくんは面白いなぁ〜♩』
「オレにとっては、初めて見るもんばっかだからさ!ワクワクするんだよ!」
しばらく歩みを進めると、サーチがユリニトに質問した。
「それよりさ、ちょっと気になったんだけど」
「鉄蹄白装甲は、水を怖がったりしないの?」
『ああ〜、彼らはいつも温厚でね。』
『生物からの危険は察知することはあるけど、自然的要因で怯えたりはしないんだよ〜♩』
『だから、こうやって荷馬車の馬として使われるんだ♩』
「へぇ〜!オマエら賢いんだな!」
『ヒヒィン!!』
『ブルルッ!!』
と、返事をした鉄蹄白装甲たちを撫でるサーチだった。
「よーし!よーし!!」
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高さ68mの崖に流れる『大河の滝』
その壁面に沿うようにある、緩やかな螺旋状の道を降りて来た3人は、絶景を眺めていた。
水際の岩の上に立ち、叫ぶサーチと鉄蹄白装甲に水を飲ませているユリニト。そして、木の下に腰をかけ、片膝の上に手を乗せ、静かに滝を眺めるアストラがいた。
「スゲェ!!滝って……こんなに綺麗なのか!!!」
「おやっさぁぁん!!オレ……滝を見れたぞぉぉー!!!」
『キレイですねぇ〜♩』
「たまには悪くないな」
そう言うと、アストラは小さく微笑んだ。
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─裏メモ。─
粗金屑蜘蛛の由来
粗金 ラフマニー
蜘蛛 スパイダー




