欠片13.『鉄屑要塞』
欠片13.『鉄屑要塞』です!
巨岩洞要塞へと帰還したサーチたちは子爵と会話をしていた。
「ただいま戻りました」
「……。」
アストラとは対象に、サーチは黙ったままだった。
「おお〜!本当にありがとう!」
「お礼に約束してた、キミ達が必要な物を用意しよう!」
「おや?」
「サーチくん、どうしたんだい?」
「あっ…いや……」
「なにかあったなら話してごらん。」
優しい口調で話しかけてきたモアに、サーチは打ち明けた。
「倒した白岩屑鳥の巣に……卵があったんだ。」
「その…あの白岩屑鳥は……ただ卵を守りたかっただけだったのかなって。」
「卵を守る力がいるから、畑を荒らして栄養をとってたんだと思う。」
「……」
その話を聞いてモアは、サーチの目を見てゆっくりと優しい口調で話しだす。
「確かに、彼らも生物だから」
「繁殖や子育てのために守ろうとするだろうね。」
「でもね、サーチくん。」
「私にはここの住民を守る義務がある。」
「キミの言うことは理解できるよ。」
「でも、そのことと住民を守れるということは話しが違ってくる。」
「私には他の子爵や公爵様みたいな力はない。」
「だからこそ、住民を危険な目には合わせられなかった。」
「そうしなければ……我々は死んでしまう。」
「そのことだけは理解してもらえないかな。」
「救える命なら、当然救いたい。」
「でも、辛い思いをさせたね。ごめんね。」
その言葉を聞いたサーチは歯を食いしばり、目には涙の粒がついていた。
「うん。分かってる。」
「さっき師匠から、甘くない世界だって教えてもらったから。」
「いや、いいんだ。キミはまだ若い」
「これから先、もっともっ〜と色々なことを学ぶだろう」
「大切なモノを見失わずに。頑張ってね。」
と、微笑みながら答えてくれた。
「モアさん!ありがとう!」
その言葉を忘れないように、サーチは再び前を向き旅の続きへと戻った。
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【それから2週間以上が経ち】
【野宿をしながら鍛錬も続けた】
【道中、険しい道や在屑物などにも出会いながら進み続けること───】
【巨岩洞要塞より南東503km付近】
(進行541Km 残り2188km)
【鉄屑要塞】
4つの門がある四角形の薄めの壁に覆われた要塞。
土地の中の地面には、鉄と破片を合わせて作られたゴミの山が何ヶ所もできており、住民は地面の地下にある部屋に住んでいる。
しかし、武器の加工場は外にあり、その施設の大きさは高さ10m、一片の長さが40mほどの正方形の形をした灰色の加工場が10ヶ所ある。
門の前に立ったアストラとサーチの2人は、門兵に止められていた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
規模の設定を広大にしたせいで、旅のテンポ感を気にしてます。
個人的にはもっと少しずつの旅で修行パートも欲しいかなと思ってるのですが、テンポ悪そうかなぁと思い少しだけ進んだ距離を増やしましたが…まだまだありますね(泣)