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星屑の機巧技師(せいせつのきこうぎし)  作者: リンネ カエル/霖廻 蛙
第一章ー極子水星要塞〜演劇の始まり〜ー
14/212

欠片12.『白岩屑鳥』

欠片(ピース)12.『白岩屑鳥(ロックチョウ)』です!


※コッキング

スライドを引いてバネを(ちぢ)め、弾を装填する動作のこと。



広大(こうだい)な岩の上で二人は、景色を眺めながら歩いていた。



「天気も快晴!空気もうまいッ!」

「さいっこうー!!」


「ふぅおおお〜〜!!」

「太陽の光が岩に反射して、キラキラしてるぞ!」



アストラはサーチを見た後、周りを見渡した。


(この岩も星屑(ホシクズ)の影響があるみたいだな。)

(全面、白色なのにも納得がいく)




「師匠!みてみろよほら!スゲーキレイだぞ!!」



「ああ、そうだな」


「フッ」と微笑むアストラだったが、何かの気配に気づく。



「……!」


「止まれ、サーチ」



「え?どうしたんだ」




「何か来る」



「何かって、何もいないけど?」

「どこだ?」


キョロキョロしながら前方を眺めていたサーチは答えた。



「前じゃない」





「上だ!!」



「……!!」


"ハッ"としたように上を見上げたサーチたちの前に、鎧翼型(がいよくがた)機屑物(ガーベマジル)が現れた。



『キィィィィィィイィ!!!』




「アレが白岩屑鳥(ロックチョウ)か!?」



「いや違う」

「アレは、白銀屑鷲(シルバーイーグル)だ」


鎧翼型(がいよくがた)機屑物(ガーベマジル)だ」

「襲ってくるぞ」



白銀屑鷲(シルバーイーグル)は勢いよくコチラに向かってきた。

白い装甲の翼に、太陽の光が反射して銀色に輝いた光景にサーチは動きを止める。



「……あんなキレイな機屑物(ガーベマジル)もいるのか」



「サーチ!!」


思わず見惚れてしまっていたサーチは反応が遅れる。



「しまっ…!!」





「『(スティング)』!!」





攻撃が当たるギリギリの所で白銀屑鷲(ホワイトイーグル)の体に(あな)が空いた。



"ボッ"…!!


『キュェイィ………!』



……ガシャァン…!



地面に落ちた白銀屑鷲(ホワイトイーグル)を見て、地べたに腰をついていたサーチは息をはいた。



「……ッハァ〜…危なかった…。」

「助かったよ…ありがとう師匠!」



「いつも気を抜くなと言ってるハズだ。」

「集中を絶やすな。」


そう言うと取り出していた『龍屑(リュウセツ)(ポア)』を腰に戻す。




「………。ごめん。」


サーチは(うつむ)きショックを受けていたが、すぐに気を持ち直した。



(確かに…ヤツらはオレの倒すべき敵なのに…)



(何やってんだ……クソッ…。)



「アストラ……ごめん。」

「もっと気をつけるよ。」



「分かったらいい」

「先へ進もう」



「うん」



─────────────────────────

─────────────────────────



歩みを進めていると150mほど先に、枯れ草で作られた鳥の巣のような物がたくさん現れた。

その周辺には多くの白岩屑鳥(ロックチョウ)が群れをなしていた。



「アレが白岩屑鳥(ロックチョウ)か!」


「図鑑で見た「ダチョウ」ってヤツに似てるな」



その群れの中に一際(ひときわ)大きな個体を見つけるとサーチが"小声"で話しかけた。



「アイツだな。」


「ああ。」

「……。」



「よし、やるぞ。」



2人はもう少し距離を(ちぢ)めるように前に進む。

サーチは『破片(ベネシ)銃剣(オッド)』を取り出し、標的を見る。



(距離は100mくらいか)


(…風もあるな)


       ※

分析が終わり、コッキングをした瞬間。



カチッ。



白岩屑鳥(ロックチョウ)が一斉にこっちを振り向いた。

逃げ出す小型の白岩屑鳥と違い、大型の白岩屑鳥はこちらに向かってきていた。


大きさは小型の3倍はあり3mくらいの大きさだった。

その大きな白岩屑鳥が50m進む時間は2秒たらずで、あっという間にサーチの目の前まで迫る白岩屑鳥(ロックチョウ)の迫力は凄まじかったが、サーチは冷静だった。



『キュイィィィィィ!!!』



(まだだ…)


(まだ引きつけろ)



サーチとの距離が8mを切ろうとした時、白岩屑鳥(ロックチョウ)はジャンプし、足を振り下ろしてこようとした。


その瞬間、サーチは前方に素早く走り出した!

そして、スライディングしながら白岩屑鳥(ロックチョウ)の下に潜り込み、頭上に向けて引き金を引いた。



"パパァァンッ"!!!



『キュィッ…ィィ…』



"バキバキッ"!!!……"ボジュッ"!!



バガァァン……!!


そのまま滑り、体勢を整えたサーチが白岩屑鳥(ロックチョウ)の方を見ると白岩屑鳥(ロックチョウ)は倒れており、胴体には大きな穴が空いていた。


その周辺には肉片や装甲が砕けて飛び散っており、破片(はへん)は赤く染まっていた。



「……やった!やったぞー!!」

「みたかー!師匠!!」



「……。」

「よくやった」


アストラは白岩屑鳥(ロックチョウ)を見つめ、何かを思った後にサーチを褒めた。



「これで町のみんなも安心だな!!」



「あぁ。」



「なんだよ師匠、どうかしたのか?」




アストラは少し考え、サーチに話しかけた。


「巣があった方に行くぞ」



「え?」



─────────────────────────

─────────────────────────



「これって…」



「ああ、彼らの卵だろう」



「もしかして……コレを守ってたのか?」



「おそらくな」


「じ、じゃあ…オレは。」




「サーチ」

「これは自然の摂理(せつり)だ。」


「オマエがやらなければ、ワタシが代わりにやっていた。」



「……。」

「それでも…」


「もしかしたら……何かいい方法があったかもしれないだろ!」



「師匠は最初から分かってたのか…?」



「途中からだ」

「巣を見た時にな」



➖ ───────────────────────



「そうみたいだ」

「……。」



「よし、やるぞ。」


────────────────────────➖



「なんで()めてくれなかったんだよ。」



「止めたらあの町の人々はどうなる?」



「一度町に戻って話しができたかもしれないだろ!!」




「解決策はあるのか?」



「オマエは白岩屑鳥(ロックチョウ)をあのままにして、そのあと町人に何かが起こらないなんて保証ができるのか?」


「自分のとった行動の責任をとることができるか?」



真っ直ぐサーチを見つめながら問いかけるアストラ。



「それは…」


顔を()らし、アストラは町の方へと歩み出す。




「分からない、出来ないならそんな考えは持つな」


「二度と……後悔したくないならな。」



➖ ───────────────────────



「アストラ…オマエだけでも…」

「…逃げてくれ…。」



「……!!なんで……どうして。」

「イヤっ……。」



────────────────────────➖



昔の記憶を思いしたアストラは、いつもより歩く速度が速くなっていた。

そして、道中2人は無言のままだった。



そのまま、白岩屑鳥(ロックチョウ)の討伐を終え、巨岩洞要塞(ロッグロットフォートレス)へと帰還していった。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


─裏メモ。─


深峡谷(ディープキャニオン)』の由来


深い ディープ

大峡谷 キャニオン


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