欠片6.『° 軌道 。』
読んでいただき、ありがとうございます!
【PM2:26〜 アストラサイド】
『グヴゥゥ……"ガアァァア"!!』
「菱苦土屑蛇は
すまなかったな」
(元々オマエの相手は
ワタシの予定だったが。)
「来い、相手をしてやる。」
"スチャッ"
アストラは大剣を背負ったまま、右手で『龍屑・孔』を引き抜くと前方に構える。
『グヴゥゥ…』
『"ゴガアァァア"!!!!』
───サッ
「『針』!!」
── "ボッ" ──
バチチ……
『ガァッ…ゥ』
勢いよく走りかかってきた鉄大猩久屑に対して、アストラは素早く身をかわし鉄大猩久屑の左手に5センチほどの孔を空けていた。
(思ったより硬い。)
(『針』じゃ小さいか。)
次の瞬間──アストラの目の前で鉄大猩久屑が口を大きく開け叫び出す。
『"""ガアァッ"'"──!!!』
"ビリビリビリ"……
「……ッ…!」
(咆哮か。)
咆哮によって一瞬怯んだアストラに鉄大猩久屑の拳が直撃した。
──"ドゴォッ"──!!!
「──ぐっ……」
ヒュ──……
"バキバキバキバキッ"──
近くにあった木が次々に折れる中音が鳴り止むと、木の下に叩きつけられたアストラが座っていた。
(……大した威力だな。)
(アバラが数本イったか)
しかし、アストラは平然と立ち上がると右手の人差し指と中指を鉄大猩久屑に向けていた。
「仕方ない」
「久しぶりに使うか。」
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【PM2:09〜 サーチサイド】
「え?」
「オレの破片ノ武器を!?」
「で、でも……
そのミスリル。
めちゃくちゃ
高かったんじゃ
ねェのかよ!」
「"ソレ"を
オレのためなんかに
使っていいのか……?」
『オメェさんの破片ノ武器を
見た時に思ったんだ』
『オレの叶えられなかった夢の先を』
『オメェさんなら
見てくれるんじゃ
ねーかってな』
「おっちゃんの……夢?」
『ああ、この世界を冒険をして
星屑を直接
この手で持ち帰り』
『『星屑』を
造ってみたかった。』
『けどなぁ、オレはもう
冒険できるような
トシじゃねぇ……』
『だから、あの時。
オメェさんと話をして』
『武器を造る喜びを──
本質を理解してる……サーチ。
オメェさんに託してぇんだ』
『だから、オレに
造らせてはくれねぇか?』
『頼む。』
「……。」
サーチは少し考えたあと答えを出した。
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【PM2:41〜 アストラサイド】
追撃をしようと迫り来る鉄大猩久屑に、アストラは指を向けたまま立っていた。
鉄大猩久屑が大きく右手を振りかざしたその時──
『"グガァァアア"!!!』
"ブンッ"──!!
スッ──……シュビッ
「『° 軌道 。 』」
指を動かしたアストラに、鉄大猩久屑が振り翳した右腕は──アストラの"横を通り過ぎていった"。
そして、アストラはそのまま前へと倒れ込む鉄大猩久屑の背中めがけて跳躍すると『龍屑・孔』を右手に引きながら構えていた。
(さっきよりも"威力"が必要だな)
「『凸』」
ドッ──"ボチュ"。
素早く突き攻撃を行うアストラ。
今度は左手に開いた孔の十倍くらい大きな孔が背中に開いており、鉄大猩久屑』はその場に倒れていた。
「さて。少女の元へ戻るとするか」
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【PM2:11〜 サーチサイド】
「テツゴウのおっちゃん。」
テツゴウを真剣な眼差しで見つめるサーチ。
「オレの破片ノ武器を
造ってくれ!!」
「よろしく頼む!!」
「オレは…」
「もっと強くなりたい。」
「守られるだけじゃなくて
守る側になりたいんだ!!」
その言葉を聞いたテツゴウは口角を上げた。
『ヒヒィッ〜!!』
『よーしきたッ!!
任せとけい!!』
『んじゃあ!
さっそく『ミスリル』を
溶かしていくか!』
「おうっ!」
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【PM2:44〜 アストラサイド】
アストラは少女がいた所へ戻っていた。
──スタ、スタ。
「ケガはないか?」
「……う、うん。」
「そうか。よかった」
「キミは街から来たのか?」
「うん。」
「では、街まで送ろう」
「……。」
少女は少しおどおどした様子で下を向いていたが、ゆっくりとアストラの方を見つめ話しかける。
「あの……。」
「どうした?」
「おねえちゃん…。
さっきは、
たすけてくれて
ありが……とう…。」
少女はまだ怯えながらもアストラにお礼を言うと、アストラは表情を変えずに答えていた。
「ああ。どういたしまして」
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【PM3:26〜 鉄屑要塞 西門】
「ご苦労様です!アストラ様!!」
「ご無事で何よりです!」
「ああ、ありがとう。」
ふと、門兵が視線を下に向ける。
「あの〜その子は?」
「森の中で出会ってな」
「迷子らしい」
「送り届けてやってくれ」
「なッ…!そうでしたか…!
こんな幼い子が…。」
「本来は我々が気づき
保護するべきなのに。
……申し訳ありませんッ!!」
「無事だったのだから
いいだろう。」
「あとは任せる」
「かしこまりました!
ご協力感謝いたしますッ!!」
「じゃあ、行こうか」
「ん……。」
──ピタ バッ!!
門兵と歩き出した少女は足を止め勢いよく振り返ると、今度は笑顔でアストラにお礼を言った。
「おねえちゃん!
ありがとうー!!」
「ああ。」
一言だけ呟くとアストラは手を振りながら、ほんの少しだけ微笑みながら少女を見送った。
「さて──」
「サーチの方は
どうなっているかな」
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"カアァァ─"─^─"─ン"!!
"カァ─^─ン"!!
"コンコンッ!! ──カァ─^─ン"!
静まり返った空間の中、金槌を叩く音が鳴り響く。
『フゥ〜…』
『ようやく溶けたぜぇ…!』
『サーチ!』
『オメェさんの
破片ノ武器よこしな!』
「うっす!」
サーチはテツゴウに破片ノ武器を手渡した。
『分解するがかまわねぇよな?』
「う、うん、大丈夫!」
工房の中は高温の熱が籠っており、体中から汗が吹き出し視界がボヤけるサーチは金槌を振るうテツゴウの姿を眺めていた。
(す、スゲェ…この熱量……
工房内がいつもよりあつい。)
(オレが造ってた時の比じゃねぇ。)
「なんて集中力なんだ…」
「…フゥー……。」
(意識を保つのもやっとだ…)
「──チ。」
「おい──チ。」
「サーチ。」
集中力により周りの音が聞こえない中、背後から聞こえてくる声にようやく気が付くサーチ。
「──ハッ!!
え?し、師匠!?」
「もう戻ってきたの?」
「ああ、依頼も完了した」
「さすが師匠〜!!」
「どんなヤツか
見てみたかったけど…」
「師匠が無事で
よかった!」
「アバラは数本折れたがな」
「んえっ!?」
「ヤベェじゃん!!」
「なんでそんな平然としてんの!?」
「これくらい慣れている。」
「えぇ……」
(慣れって……
マジかよ…。)
「だが、しばらくは
ここに滞在する予定だ」
「オマエも」
「やることが出来た
ようだからな」
「……ヘヘッ」
「うん!」
「ワタシは先に
宿に戻っている。
夕飯時にまた
行動しよう」
「分かった!
ゆっくり休んでくれ!」
そうして2人は再び分かれて行動を開始した。
アストラが去った後、サーチは工房の中へと戻りテツゴウの作業を再び眺めていた。
(スゲェ……分解しながら、
俺の造った破片ノ銃剣の
構造を瞬時に
理解してるんだ。)
『フムフム…
なるほどなァ。』
『軽量しようにも
耐久値が弱ぇのか…
上手いこと木材で
衝撃の吸収力と
……強度を補填か。』
『だが…これじゃあ……』
テツゴウは小声で"ブツブツ"と呟く。
(パーツの把握。
強化に必要な要素。)
(見ただけで判断して、
すぐに必要な改善作業に
取り掛かってる。)
「これが………」
(──"凄腕の機巧技師か"──!!)
・・・・
「ツベチカのおやっさんも、
もっと手伝ってくれれば
よかったんだけどなぁ……
ハハッ…。」
『……ん?』
『いま、ツベチカっつったか?』
「え?うん」
「おっちゃん
ツベチカのおやっさんを
知ってるの?」
『あ〜……その。
……アイツぁ〜』
『オレの弟子だ』
「で…し…?」
「えええぇぇ〜〜!?
おやっさんが
弟子ィィィ〜〜!!?」
『まあ、もう何十年も
前のことだけどな!』
《なるほどな。
アイツが師だったか。
どうりで……
合点がいくわけだ。》
『そういや最近は
会ってなかったが、
元気にやってるか?』
「……それが。」
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『……そうか。』
『死んじまったとはな。』
「ごめん。」
『なーんで
オメェさんが謝るんだ』
「だって。」
「オレが弱かったから…
助けられなかった。」
頭を押さえながら、テツゴウはサーチに言葉をかけた。
『いいや、ちげーな。』
『アイツが
死んじまったのは、
アイツの危機管理が
わりぃからだ』
『それに……』
『……。』
何かを言おうとしたテツゴウだったが、言葉を飲み込み話を逸らした。
『まあ、なんにせよ。』
『サーチ。オメェに非はねぇよ』
『ただまあ……』
『強くなりてぇんなら──』
『もっとあの嬢ちゃんの
指導を受けることだな』
「師匠の?」
『ああ。』
『さぁて!』
『こっからが忙しくなるぞ!!』
『サーチ、オメェも手伝え!!』
「お、おっす!!」
『いいか、まずオメェの
破片ノ銃剣には
いくつか問題がある。』
「問題?」
『ああ、まず第一に"重い"!』
『こんなもん、
戦闘中に常に
持ってられねぇ』
『破片だけじゃなく
鉄も混じってるせいだが……』
『それよりもこの木だな。』
『コイツが一番の原因に
なってやがる』
「んー……鉄も破片も
足りなかったのもあるけど」
「耐久面や実戦を考えて
木で基盤を作ったんだ。」
『まぁ、そうだろうな。』
『ただ、今回は
基盤ごと変えてやっから
安心しろ!』
「おお〜〜!!」
目をキラキラ輝かせるサーチにテツゴウはあることを告げる。
『ただ…』
「ん?」
『二つ目の問題点!!
"型"がねぇ!!!』
『イーッヒッヒッヒ!!!』
『今から作らねーと
いけねぇなぁ〜』
「あ……そうだったぁぁ〜〜!!」
頭を抱えながら地面に膝をつくサーチに、テツゴウは満面の笑みでピースサインのように指を挙げていた。
『っつーことで
二日は待ってくれ!
ヒヒッ!!』
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【2日後】
『よおぅし!!』
『型が出来たぞぉ!!』
「よっしゃぁあ!!!」
『さっそく造ってくかァ!』
「おっす!」
『今回はパーツごとに
型をとったからな』
『なかなか数があったぜぇ』
木で設計した模型と四角い型を2つ用意し、型の中に湿った砂を入れその中に模型を埋める。
その後、砂を固めて片面の型を取り外していく。
その工程を何回も繰り返しパーツの型を作っていた。
『さて……と。
ここから調合しながら
溶かしていくぞ。』
『ミスリルは
一度溶かしてるが、
もう一度溶かさねェと
いけねェな』
『その前に……』
『先に白鉄と破片を
溶かしてくぞ!』
『そのあと徐々に
温度を上げて
ミスリルを混ぜてく』
『ミスはできねぇ!
ここから先は
気ィ抜くんじゃねぇぞ!
サーチ!!』
「おうッ!!」
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「もういいのか?」
宿屋にてアストラがサーチに話しかける。
「うん!」
「完成したんだ!
新しいオレの
破片ノ武器!!」
「はやく使いてぇ〜!!」
「フッ」
「それならもっと、
鍛錬しないと
いけないな」
「あの〜アストラさん……?
いちおう〜…
これでも毎日
頑張ってるんですけど…?」
サーチは眉を顰めながら、ビミョ〜な表情でアストラの顔色を伺っていた。
「何か言ったか?」
鋭い目つきで上から見下ろすアストラにサーチはかしこまって答えていた。
「い、いえ!」
「なんでもありませんッ!!」
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【極子水星要塞から
──北西912km】
【白骨屍屑山 麓の町中】
道案内の看板の前──
白いワンピースと黒いワンピースを風に靡かせる二人の少女が会話をしていた。
細長い足先は裸足で、指の関節を片手のまま曲げながら陽気に語り合っていた。
『ネェネェ〜』
『ホントに来ると思う〜?』
『キャハッ!!』
『どうだろうネー!!」
『でも、メリウス様の
ご命令だシー』
『待つしか』
『ないよネ〜〜?』『ないよネ──?』
『……リプが
オッキイほう
ヤるからァー?」
『レイは
ちっこいガキの
相手ネー?』
『ハ?』
『レイがオッキイほう
なんだけど〜〜!?』
『ブッコロスよ〜〜?』
『ア"ァ!?』
『やんのかテメェー!!
ギタギタにしてやろうかー?
このクソ◯ッチが!!』
『テメェこそナニ様だよ?
ア"ァ"ン?』
『『………ンンッ〜〜〜───』』
『じゃあさぁ〜
カケでキメよっか〜〜!』
『いいネー!
ソレでキメよっか──!』
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【鉄屑要塞 北門】
イアン・ブラックと会話をするアストラの姿があった。
『鉄大猩久屑の件では
世話になった!!』
『感謝しますぞ!
アストラ様』
「いえ。こちらこそ
面倒になった」
「ありがとう」
その側ではサーチがテツゴウと会話をしていた。
『サーチ!元気でな!!』
「おーう!」
「テツゴウの
おっちゃんも
ほんっとうに
ありがとうー!!」
「造ってくれた
破片ノ武器
大事にするよー!」
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サーチが公爵と話してる間、テツゴウがアストラに近寄ると声をかける。
『オイ、アンタ』
「?」
『アンタ、ルインルーナ王国の』
・・
『後釜だろ?』
「──!」
「元……だがな。」
「それがどうした?」
『……。』
『いや……ソレなら良い。』
『……サーチのことは
どこまで知ってる?』
「……。」
「悪いが……
答えられない。」
『そうか…。』
『サーチのことは頼んだぞ』
『アイツが師だったんだ。
アンタならわかんだろ。』
「ああ……。」
「分かっている」
神妙な面持ちでサーチを見つめる二人に、公爵との会話が終わったサーチが大きな声でアストラを呼んでいた。
「お──い!!師匠ー!」
「そろそろ行こうぜー!!」
「ああ、すぐに行く」
こうして、再び二人は南東にある『極子水星要塞』を目指して歩き始めた。
欠片6.『° 軌道 。』




