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Combat March for Liberal  作者: トシュ九犬
或いは深緑でいっぱいの海
12/13

燃えよリザード


ソレは感情は持たない。

正確には言えば、感情を捨てざるを得なかった。

生存に最適な行動選択を阻害し得る「弱さ」を許容できる余裕(強さ)が、ソレには無かった。

ソレが生まれ育った地、理外の理に立つ怪物どもが跳梁する異常の大陸。彼の地獄で生きる資格を、ソレは持っていなかった。

そうして命を賭けた逃亡の末の落ち延び先こそ外淵の樹海【大深緑】。大陸のあまりの過酷に潰された弱者が集う最後の砦。


ここでの生活は綱渡りに等しい。

中途半端に知恵が回るソレは、深緑の盟主に従属を誓い、敵対者の総数を減らそうとした。

結果その超越的な力の一端と、死ぬまで外れぬ首輪を得た。

その日の糧を探すことも難しい。そもそも自らが狩れるほど弱い魔獣が少ないからだ。

時折ある屍肉の奪い合いは困難を極めた、がなんとか今日まで食い繋いでいる。

森には接敵したが最後、塵も残らぬようなバケモノが蔓延り、依然ヒエラルキーは低いままだが、少なくとも以前のような底辺を這い回るゴミ虫の如き暮らしからは脱却できた。

あらゆる無駄を削り、ソレはようやく蓬莱に適応したのだ。


いつからか、森の木に小さな白い塊が発生し始める。なんの変哲もない木の幹から急に生えるそれを、ソレは暫く警戒していた。

しかしその中から様々な魔獣の幼体が生まれる現場を目撃し、ましてその肉が増える(・・・)ことに中途半端に回る頭で気付くや否や認識は一変する。

その日からソレは新たな食糧源を手に入れた。


そして今日もソレは森を駆ける。

闘争の本流からは逃れたものの、【大深緑】でさえソレにとっては過酷に尽きる。

故に森を駆けるのだ。

ただただ飢えぬ為、ただただ生きる為。











『KG は 脳が破裂した。復活まで残り 100秒』



走る、走る、走る、

身体が透けてる今のうちに全力疾走、とにかく今は距離を取るのだ、

密集した巨樹も、道を塞ぐ邪魔な岩も、恐るべきクソザルも、100秒間は無視できる!

走る、走る、走る、走る……



『100秒経過。復活します』



透けた体に重さが戻り、インクが染みるように身体に色が染まっていく。

もう何度目になるか、いい加減この演出にも慣れちまった。


そして案の定奴が来た。

上空からの襲撃か……もちろん回避手段も迎撃の秘策も無い。

当然の即死だな!!



『KG は 胸を貫かれた。復活まで残り 100秒』



枝を槍代わりに投擲したか。

やばいなぁ、(やっこ)さん殺し方が手馴れてきてやがる…。

当たり前のように死体から幽体離脱し、森へとダッシュ。

タイマーリセット、再走開始だ。


生と死を往復する希望無きマラソン。

たった一体の怪物から逃げ回ること30分。

活路、未だ見えず。





『KG は 胸を貫かれた。

復活まで残り 100秒』


走る


『100秒経過。復活します』


喰われる


『KG は 全身を強打した。

復活まで残り 100秒』


走る


『100秒経過。復活します』


喰われる


『KG は 脊髄を粉砕された。

復活まで残り 100秒』

走る

『100秒経過,復活します』

喰われる

『KG は 頸椎を折られた。

復活まで残り 100秒』

走る

『100秒経過。復活します』

喰われる

『KG は ーーーーーーーーーー100ー』

走る

『100秒ーーーーーーーーーー』

喰われる

『KGーーーーーーーー』

走る

『100ーーーーーー

喰わ

『KGーーーーー

ーーーーーー


ーーーー


ーー






参った。いやぁ本当に参った。

状況は何も変わっていない、むしろ悪化してんじゃねえのこれ?


どうやってかはとんと知らんが、器仙猩々は俺と名前も知らぬ後輩…言いにくいな、ナナシと呼ぼう…ナナシの位置を完璧に把握してやがる。

これは間違いない。

奴はついさっきまで俺とナナシを交互に殺害していたのだ。

彼奴の背中にある謎の枝状器官の先端にモズの早贄の如く串刺しにされた夥しい数の俺とナナシの死体がそれを証明している。

あの獣畜生に食料保存の概念があることに驚きだし、正直グロすぎて吐き気がするがそれは置いといて。

問題は奴がそれだけの回数、奴は「俺とナナシを殺している」ということだ。


どういうことか。

あのサルには魂体が見えない。従って俺達プレイヤーがどこでリスポーンするか知ろうはずもないのだ。

加えてここは【大深緑】、どこもかしこも緑で埋め尽くされた深い密林だ。隠れんぼする場所なんていくらでもある。

木の葉の影に隠れるのは勿論、木の洞や地面の穴、果ては温度感知も警戒して泥を被ったり、思いつく限りの方法を試した。

奴がその豪脚で森の上空へ飛べたとて、人から見たヤモリ程度のサイズである俺をそう易々と見つけるなど土台不可能。その筈なのだ。


だが現実は違った。

復活すればものの数秒で見事に嗅ぎ付けられ、マイスウィートボデーは食用肉に早変わり。


なんだこれわ。

クソゲーか?

もしやこれなるは糞げぃなりや?


こんなゲーム普通にやめたろかと思ったその時、俺の中の天使と悪魔が囁いた。



天使ケージ「下賤な畜生に惨敗し泣き寝入りするなど、現代文明の使徒として許し難きことです。あの生意気なエテ公に種族人間の偉大さを思い知らせるのです!Kill the scum now!!!!!!」


悪魔ケージ「おいおいおいおい、さんざ殺されまくったら尻尾巻いて逃げるのかぁ?????たかがゲームの一面すら満足にクリア出来ねぇのかよ、とんだチキン野郎だなぁてめぇはよぉ!?!?!?」



あかんわ、なんにも参考にならねぇ………でもありがとよ俺の分身。

たしかにあのサルは生かしておけねぇ。


ようやく覚悟完了だ。


微塵になるまで叩きのめしてやるよ………不死身を敵に回した事、後悔させてやる。


ちょっと話が冗長でしょうか。

まだそこら辺の塩梅がよくわからんです

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