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 変身


「親父……なのか?」


「何寝ぼけてるんだ?」


 ワイルド系イケメンが眉根を寄せる。


「ハリケーン、キラは初めてでしょ」


 エルがイケメンに声をかける。ハリケーンは親父、ハリケーンはイケメン。て事は親父?


「ああそうだな。キラ、俺様の真の姿を見るのは初めてだろ。これが、超絶イケメン最強最高でチ〇ポがデカい。お前の父親、ハリケーン・シドーの真の姿だ」


 さらりと下品な事言ってやがる。うん、親父だ。親父に違いない。こんな傲岸不遜で下劣な人間はそうそう存在しない。普通だったら社会から抹殺されるからな。


「え、なんで若いんだよ。もしかして、親父、全力を出したら若返るのか?」


 そういうお婆さんがアニメでいたのを思い出す。


「ちげぇよ。こっちが本体だよ。ほら、あんまイケメン過ぎると、周りの女たちがキャーキャーうるせーだろ。だから、隠居したんだから、オッサンライフを満喫してたって訳よ。『まんきつ』って言葉、いいよな。なんていうか男のロマンの香りがするだろ。『まんゆる』だったらなんかやだもんな」


 こいつは下品な事言わないと死ぬ病気にでもかかってるのか?


「黙れ! って事はお前、ずっと僕たちを騙してたのか?」


「騙してなんかいない。しょうがねーだろ。本体のままだと力強すぎて普通に生活できねーんだよ。だから百分の一くらいに力落としてたってわけよ。大事な息子を撫で撫でしただけで、昇天させたくねーだろ。あ、この息子はおめーの事だからな。俺様のビッグマグナムの事じゃねーからな」


 う、て事は、今の親父はさっきの百倍強いって事か? さらに親父が話し続ける。


「よーし、キラちゃんよくやった。この俺様に一撃くれる事ができたんだからな。お蔭で変身が解けちまったぜ」


「という事は、僕の勝ちなのか?」


「おいおい、んな訳ねーだろ。あれはマリーちゃんへのサービスだ。おめーは男だろ。これからが本番だ」


「おいおい、親父言った事まもれよ。一撃入れたから僕の勝ちでいいだろ」


「いーや、だめだ。ここのルールは俺様だ。俺様が正義、俺様がジャスティス。ほら構えやがれ。遊んでやるぜ」


「うおっ」


 僕は横に大きく跳ぶ。隣を槍を手にした親父が駆け抜ける。矢、一本の大きな矢が通り過ぎたようだ。危ねー、ギリ反応できた。


「アクセル!」


 加速魔法を掛けながら親父を追っかけ槍を突き出す。


 ギッ!


 なんだと、親父の槍の先端が僕の槍の先端を捉える。なんか昔、男塾で見た技だ。こんなん物理的に無理だろ。よく見ると、親父の槍の先がドーナツみたいに穴が空いてる。ズルかよ。凄い事には変わりないが。あの槍、形を変えられるのか。僕は親父と距離をとる。



 読んでいただきありがとうございます。


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