くえ
「でかいクエって、デカすぎだろ」
僕らは岩陰からクエを見る。あれってまじクエだよな? 今までで見た魚の中で一番デカい。いるかよりデカい、あ、イルカは魚ちゃうわ。それになんか顔つきが凶悪だ。水族館で見たような可愛らしい姿じゃない。デカいからそう見えるとこもあるがなんかゴツゴツしてる。あ、そうだ、天然物だからか。天然物と養殖物の魚を並べて比べると、明らかに天然物の方が精悍な顔つきをしてるし、身が締まってて美味い。
「では、狩ってきますね」
ウシオは事もなげに言うと、ゆっくりと海底を歩いていく。クエはウシオに気付いたのか、ゆっくりと近づいてくる。ゲッ、イルカサイズじゃなくクジラ、そこまでないな、そうジンベエザメくらい大きいんじゃないか? クエが加速する。やばくないか? 確かクエって肉食だったんじゃ?
「アイスジャベリン!」
いつの間にか横に回ってたサリーからぶっとい氷の槍が放たれたと思ったら、それがクエの頭の後ろあたりにブッ刺さる。ビクンと跳ねて動かなくなる。クエはウシオの方に流れてくるのにシェイドが襲いかかり、エラの中に飛び込む。出てきたシェイドの手には氷と思われる剣。あと後ろに回ったサリーが尾ビレの付け根あたりを大きな氷の剣で切り裂いてる。クエはエラと尾ビレから血を流しながら浮いている。あ、これ、俗に言う『締める』ってやつだな。相変わらずサリーは物知りで生活能力が高い。けど、あんなでっかい魚を見ても彼女らの目にはただの食材にしか見えてなかったんだろう。そして、ウシオとサリーとシェイドが協力しながらクエを押して、めでたく村に水揚げした。
「さすが、お主ら早かったな」
エビシが海岸で出迎えてくれた。クエにはリザードマンたちがハイテンションで群がって解体してくれてる。
「で、クエはどうしたのだ?」
「あそこに居るじゃねーか」
「おいおい、頭大丈夫かスイカバスト。あんなにでっかいクエが居るわけないだろ。どうみてもクジラの子供とかだろ」
「おい、その濁った目かっぽじってよく見やがれ」
「何を言っておる。かっぽじるのは耳だろ。もっとしっかり勉強せんと親御さんが悲しむぞ」
「知るか。ノリだよ。勢いだよ。お前アンデッドだから目もかっぽじれるだろ」
「そもそも、ほじるというのはだな、穴に指を」
「無理矢理下ネタに持ってこうとすんな。今は令和、昭和じゃねーから、そういうのは求められてねーんだよ。ほら、よく見ろよ、どうみてもあの顔はクエだろ」
「ノンノン。クエはこうもっと可愛らしい顔してるだろ。そもそもお主、クジラとイルカって同じ品種だが大きさの違いしか無いって知ってるか? 四メートル以上がクジラ、それ以下がイルカって具合にだ。あれはどう見ても四メートル以上あるだろ。品種がクエだとしても、間違いなく違うなにかだろ」
確かになんかそんな気もしてきた。
「ちょっとー、あんたじゃ話になんないわ」
サリーが苛ついてる。当然だな。
「とっととクエを納品して、女王様にマルかバツか決めてもらいなさい」
そして、納品されたクエの刺身は当然オッケーでクエクエストは成功に終わった。でっかかろうが、こまかろうが、クエの刺身は刺身だもんな。そもそも、女王に刺身がクエかどうか分かるのか? 白身魚の刺身ならなんでも良かったんじゃないか? ナマズとか。
どうでもいいけど、僕、何もしてないな。海に潜って戻ってきただけだ。
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