少女との出会い
死んだクラーケンが頭上に落ちてくる。
水分も多く含んでいるからものすごく重い。
右腕だけではなかなかうまくはい出すことができない。すると、声が聞こえた。
(ねえ、あなたがもし助かりたい人なら手助けしてあげようか?)
女の声だった。何者かわわからないが今はすがるしかない。
(頼む)
(了解したよー ほら、手出して。)
その声の主は滑る右手を軽く掴むといともたやすく
俺を引き摺ずり出した。
(ありがとう、もしこのまま一人だったら死んでいたかもしれない)
(あはは、大丈夫さ。君はそんなことじゃ死なないからね。 さて、だいぶ汚染されてるようだしとりあえず
洗浄室行こうか。ほら肩かして。)
久しぶりに人と話せたおかげか、少し心が楽になった感じがした。引っ張られるままに進むで行く。
(はいっ着いたよ。外で待っててあげるから洗ってきて
段差あるから気をつけて。)
どうやら洗浄室はそこまで被害はないようだ。シャワーの水は傷口に染みて痛む。
洗い終える時にはだいぶ視界は回復していた。外へ出ると、助けてくれた女の子は本を読んでいた。
(それはなんの本?ずいぶん分厚くて小さい本だけど。)
(ああ、これはね本というより図鑑かな。昔まだ人類みんなが地球にいた時に作ったものでね、生物の分布とかが書いてある。色も沢山あって見るだけでも楽しいのよ。)
(ふーん、紙の本なんて滅多に見ないな。俺にも少し見せてよ。)
それにしてもよくこんなに小柄な体で自分を引っ張り出せたな。なんて考えながら話をしていて大事なことを思い出す。
(名前をきいてなかったな。教えてよ、俺は猟本湊だ)
するとその女の子は立ち上がって、
(私は“ユウゼン七海”よ、よろしくね。 さあ、湊!ここにいつまでもいられないわ。移動しましょ。)
こうして俺と七海は居住区の出口がある方向に向かった。




