居住区の戦い1
(変わりてえなぁ)
そう小さく呟いた声がコンクリート製の部屋に響く。
そんな適当なことを考えながら硬いベッドに横たわる
2100年、地球から磁場が突如消え大量の放射線が
降り注ぎ人類は宇宙へ行きその他の生物はほとんどが死滅した。 それから300年、宇宙へ行けず取り残された自分たちは地下で暮らしている。
《カーン カーン カーン……》
壊れかけの緊急ベルが鳴る。 クラーケンだ。
放射線のおかげで異常な進化をしたイカとタコだ。
どんな隙間にも入り込み知能があって厄介なやつだ。
さらに種類が多くて人を喰う。 一度仲間と狩ったことがあるがあの気持ちの悪い姿は頭からなかなか離れない。少々ナイーブな俺には狩は向かないと痛感した。
(おや? なぜ外で戦っている音がしないんだ?)
確かに緊急ベルが鳴っているのにいつも頭に響くあの
轟音が今日は全くしない。たまにある誤作動かと思い寝ようとした。
《カチッ カチッ ズル…ズル…》
ナニカ人ではないものが近づいてくる音がした。
全身から汗が止まらない。いまだかつてこの居住区に
クラーケンが入ってくることはなかった。その上、
クラーケンには呻き声のようなものを出す機関は存在していない。
《ウウゥ… パキッ パキッ》
嗚呼、体の震えが止まらない。でも、俺はこんなとこじゃ死ねない。とっさに一度だけ使ったことがある
電槍と照明弾を手に取った。 使ったのは一度だが、
自分の電槍は先端が高速振動するように改造がしてある。
《グチュ…グチュ… ガチャ ガチャガチャ‼︎》
ドアノブが壊れそうな勢いで回る。
(もし入ってきたらこいつで貫いてやるぜ!)
なぜか震えはもう止まっていた。むしろ今は勇気が湧いてくる。湊、そう俺!今は主人公 こいつは求めていた変化だ!
その瞬間、ドアは自分めがけて吹き飛んできた。
思わぬ誤算。ホコリがまい何も見えなくなった。
焦って照明弾を投げ、体制を立てなおした。
《ジャギシャーーーッ ウウウゥ…》
耳の奥を貫くような痛みを感じる音。
電槍をぶっ刺してやろうと前を向くと、それは自分が今まで見た、聞いたもののどれにも当てはまらない
クラーケンがそこにいた。
たくさんの人を抱える黒い触手、真っ赤な目、剥き出しになっていて触れただけで切れそうなクチバシ。
(うわああああーーー!!)
電槍がバチバチと音を上げクラーケンに突き刺さる。
やった、心臓の位置を貫いた!これで…
ドガッ! なぜか上下が逆さまに見える。それと同時に体に激痛が走る。 さっきまであったはずの左腕がなくたっていた。そして目の前には大きく開いているクチバシが近づいてくる。




