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星海の涙  作者: サク


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3/20

3.初舞台の輝き

舞台袖に立つと、心臓の鼓動が耳の奥まで響いていた。

照明の熱、客席のざわめき、幕の隙間から漏れる光。

銀盆を抱えて走り回っていた昼間とは違う。今はもう、僕は演者だ。


「大丈夫? 顔がちょっと固いよ」

ストレッチをしていたダンサーのエリナが、にやりと笑って肩を叩いてきた。


「観客の視線は俺がさらうから安心しな」

マジシャンのカルロスはカードをひらひらさせ、軽口を飛ばす。

緊張を隠すための冗談だとわかっていても、その軽さに救われる。


奥では歌姫イザベラが声を放っていた。

透明な響きが空気を震わせ、スタッフまで思わず息を呑む。

あの歌声が舞台に出れば、きっと客席を涙で満たすだろう。


深呼吸をひとつ。

汗ばむ掌をぎゅっと握り、僕は思った。

――ボーイとしてだけじゃなく、演者としても、この船に必要とされたい。


やがて照明が落ち、場内は一瞬にして静寂に包まれた。

次の瞬間、眩い光が幕を裂き、音楽が轟く。

僕は舞台に飛び出した。


歓声が押し寄せる。

光に照らされると、全身の力が解き放たれるようだった。

軽やかなステップで走り、宙を舞うバク転。

エリナのダンスが流星のように広がり、カルロスのマジックが観客の驚きを引き出す。


イザベラが声を放つと、背後の銀河ホログラムが瞬きに合わせて強く輝く。

観客の頬に涙が流れ、拍手が爆発した。

音と光と人の感情が渦を巻き、僕の胸を震わせる。


――夢は現実になった。

ここで浴びている視線は、街角の拍手とは違う。

宇宙そのものが僕を見てくれているように思えた。


幕が降りる瞬間まで、僕の心臓は燃え続けていた。

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