序章
昔々、とても偉大な2人の魔術師がいました。
2人は、東の島のクリムゾンの魔女と、西の島のアクアマリンの魔術師と呼ばれていました。優しく立派な2人は、東と西のすべての人々から大変慕われていました。
2人は、古より伝わる、東と西の全く違う魔術を使う魔術師でした。2人はとても強く、どんなに悪い魔術師も、2人には敵いません。
また2人の魔術師は、大変素晴らしい予言者でもありました。ところがある日、2人はある予言を残して消えてしまいました。
「東の島のクリムゾンの魔女を倒すのは、西の島のアクアマリンの魔術師のみ。西の島のアクアマリンの島の魔術師を倒すのは、東の島のクリムゾンの魔女のみ。一方を滅ぼせば、永遠の静かな眠りを約束されよう。東に暗黒あれば、必ず西に希望あり。西に暗黒あれば、必ず東に希望あり。されどすべての世に暗黒が覆いしときは、古からの術を受け継ぐ子らよ、血を捧げ、我らを呼べ。」
人々は、どうしていいかわからず、狼狽えました。不安のあまり、眠れなくなる者もいました。やがて静かな眠りを手に入れようと、人々は争い始めました。互いが互いを滅ぼそうとして。
争いの中で、東の島のクリムゾンの魔女の子どもたちと、西の島のアクアマリンの魔術師の子どもたちの行方もわからなくなりました。偉大な魔術師を失い、多くの人々の血が流れました。ようやく魔術を受け継ぐ人々は争いをやめて泣き叫びました。
しかし、2人の魔術師は、帰ってきませんでした。
・・・・・・
これは、私たち魔術を受け継ぐ人々が、昔から語り継いできた物語だ。
「クリムゾンの魔女」と「アクアマリンの魔術師」に関する伝説や記録は多々あり、確かにこの偉大な魔術師がいたのは事実だったと言われていた。しかし、2人の本当の名前も、彼らの本当の人生も、彼らの子供たちが誰なのかも、すべては時間の彼方に忘れ去られ、すべてが謎なままだった。
ただのおとぎ話だと思われていた、偉大な魔術師の最後の予言。
しかし、これはただのおとぎ話で終わらなかった。
「使う者」のためにも「使わざる者」のためにも、私はこの「予言をめぐる最後の戦いの時代」とその顛末を、ここに書き残す。
東の島のクリムゾンの魔女の一族
紅緑千花 Chika Kouryoku




