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どこに投票するべきか

真希が、言った。

「…グレーの意見も大切だけど、そうなって来ると白先だって黙ってるのは良くないわ。煌さんは発言してるけど、祈さんはずっと黙ってる。もし囲われていたなら、今日はおとなしく皆の流れに身を任せているのが一番良いのよ。これだけ皆の意見が紛糾しているのに、ただ黙っているのはおかしいわ。意見を聞くべきだと思う。黙っていたらボロだって出ないし、囲われていたらグレーの精査しても結局ほとんど村人なのよ?不公平だわ。」

祈は、顔を上げた。

確かに、全員が多かれ少なかれ発言している中で、祈はずっと黙っている。

まだ苦悩している裕馬にため息をついて、清が言った。

「オレもグレーだから意見はしたい。だが、真希さんの言ってることはもっともだ。祈さんは、何を思ってこれまでの話を聞いていた?」

祈は、答えた。

「…私は、グレーの人に限られた時間をあげるべきだと思っていたから。黙っていました。でもそういうことなら話したいと思います。」と、真希を見た。「真希さんの事を怪しむ声がありましたけど、三階に居たという事だけで怪しむのは間違いだと思っています。というのも、ここまでの発言でそこまで怪しいと思うところはありませんでしたし、他の仲間と接触する暇も、他の人よりもっとなかったのではないでしょうか。何しろ、私はキッチンで真希さんに会っていますし、その後もしばらくキッチンに居たようでしたわ。話の時系列を考えると、玉緒さんと真希さんが三階で目撃されたのは、そのキッチンで会う前のことでしょう。その後、真希さんは降りて来てキッチンに居た私と直樹さんに会った。そして、いろいろあって部屋に籠っていた。その頃には、ほとんどの人がリビングに居て、残りの人は自分の部屋で一人か、悟さんの部屋に集まっていた。真希さんには、他の人より断然仲間と接触する時間が無かったと考えるのが妥当です。」

海斗が、うーんと顔をしかめた。

「…確かにね。真希さんは仲間と接触する時間が、他と比べて極端に少ない事になるよね。何しろ、あちこちでいろんな人に目撃されてるんだ。その人達の中に仲間が居ないのは分かる。だって、それを理由に怪しまれたりしているから。あるとしたら、今庇っている祈さんになるけど、祈さんと真希さんは二人きりじゃなかった。直樹が居たからね。でも、直樹から聞いた話じゃ、ゲームの話になんかならなかったみたいだし、あり得ないかな。三人が仲間ならあり得るかもだけど…話してた内容が内容だからなあ。嘘ではないと思う。」

清が、頷いた。

「そうだよな。」

だが、諒が納得できないように言った。

「オレはその内容を聞けてない。だから、どういう事か分からない。だから引き続き、だったら直樹が後から出て来た偽者で、祈さんが囲われてて真希さんが人外、って考えるぞ?」

清は、ため息をつく。

正志が、答えた。

「裕馬が始まった時にゲームの間は恋愛云々無しでって言っただろうが。そっちの揉め事なの。直樹は、それに巻き込まれたくないから急いで出て来て、そこでオレ達に中で話してた事を相談した。その後の動きを見ても、直樹は嘘を言っていなかった。だから、この三人が仲間って可能性はない。大体、直樹は何も知らずにご飯の支度をしてる祈さんが居るキッチンに、ゴミを捨てに入ったんだぞ?その後、真希さんが来て入って行った。ってわけだ。だから、そこの繋がりはないと思ってる。大体、真希さんと祈さんが繋がってたら、囲われてる祈さんにまで疑い先を広げる必要はないだろ。どっちかが人外という可能性はあるかもだけどな。」

直樹は、言った。

「そうなんだよ。それにね、よく考えたら…誰かが好きだとか嫌いだとか、そんなこと言ってる暇なんかないんだよ、初日だし時間ないし人外は少ないし。真希さんは、占い位置じゃないか?他に吊る所はいくらでもある気がする。」

祈は、言った。

「そう。とりあえずそういった理由で、真希さんは今夜じゃないなと私は思っているわ。それから、他のグレーの事だけど、その流れから真希さんが白、玉緒さんが騙りであったとしたら、詩子さんと亜由美さんが俄かに怪しくなるわ。なぜなら、あのままだったら玉緒さんは確実に吊られていたのに、皆に玉緒さんが役職を匂わせていた、と最初に知らせたから。玉緒さんは、COしそうにない流れだったわよね。後から出るなら、回りから圧力を掛けてもらわなきゃならなかった。その情報が無かったら、今更出ても吊り回避に見えて他の役職が出ていなくても投票されたかもしれないわ。でも、事前にその伏線があったから、COしてもとりあえず残すか、という空気が残ったの。私はね、玉緒さんは後から仲間にCOを促されて、仲間に指示された通りに動いている、人外に見えるの。どうやったら今夜だけでも生き残れるのか、教えられた通りにやってるんじゃないかなって。狂人なら狼からは分かっていないからそんな庇い方はされないだろうし、狐でも…この様子だと占い師に出て居そうに思うからないと考えると、狼なんじゃないかなと思う。そして、狼は吊られてその色が落ちたら白くなる位置だと思うから、諒さんと和彦さんのうちに少なくとも一狼、そして、亜由美さんと詩子さんのうちに一狼、なんじゃないかと推測しているの。違う道筋から同じ所を怪しんでいた正志さんは私目線最白に見える。海斗さんはその正志さんと同じ意見だと聞いたし、それに議論への積極性、それに直樹さんが出た時の反応も含めて白いと見てる。清さんも極端な事を言わないし、村の意見を上手くまとめて停滞してしまわないように促しているのが村っぽく感じる。そんなわけで、私が今投票しようと思っているのは、諒さん、和彦さん、詩子さん、亜由美さんの四人のうちの一人よ。」

おとなしそうで、皆の意見を聞いているだけであるように見えた祈だが、こうして促されると、多くの事を考えて、皆を見ていたのが分かる。

清は、言った。

「…で?これを聞いて真希さんはどう思う?まだ祈さんが囲われてるって思うか?」

真希は、バツが悪そうな顔をした。

「…分からないけど…私は人外じゃないから、そこは間違っていないと思うわ。思っていた以上に、しっかり考えてるんだなって思った。」

清は、頷いた。

「だな。オレも思った。そこに白を出してる、真悟がより真っぽく思ったかな。」と、裕馬を見た。「こら。お前いつまで悩んでるんだよ。しっかり進行しないと駄目だろ。お前が唯一の確定村人なんだぞ?相方が困ってるんじゃないのか。とにかく、しっかりしろ。役職を出さずにグレー詰めだな?それでいいな?」

裕馬は、苦渋に表情だったが、頷く。

そして、言った。

「…役職は明日以降だ。縄に余裕がある初日だから、グレーから吊ってグレーを占ってもらって詰めて行くのが一番良いと思うんだ。意見が出て詰まって来てるように見えるし、占い師が黒を出したらそれでまた精査できるじゃないか。呪殺が出たらその占い師の結果は全部真だし。だから、今夜はグレー吊り。最初に決めた通りに、進める。」

悩んでいたが、裕馬はぶれなかったようだ。

だが、そのお蔭でもっと詰められずに済んだし、直樹も吊られることはなくなった。

問題は、グレーに居るかもしれない、狼のことだ。

直樹目線では、もしかしたら狼が占い師に出ていて、煌か祈を囲っている可能性もあった。

その上、玉緒が狼だったりしたら、もうグレーには狼は居ない。

グレーを吊ってももう一人の狂人か、狐しか吊れないので、それなら良かった。

だが、そんなに楽観的には考えていられなかった。

最悪の事態を考えて、なるべく白っぽい所、しかも村が納得してくれる所を黒塗りして行くしかない。

直樹としては、真希を吊りたかった。

あの、煌に付きまとう行動は、人外ならできそうにないからだ。

直樹は、どこを吊り推したら疑われずに狼を守れるのだろうと、真剣に悩んだのだった。

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