40話、手紙と名前
40話です。よろしくお願いします。
澄んだ朝に軽快な足音は大きな門の前で止まる。
「ふぅーやっと着いた…鈴宮家」
門には大きな鈴が掲げており、一目見てどこの神の使いの一族か解るようになっている。
「あっ!明羽さん、ちょうど良かった花葉家からお手紙です」
ほうきを持って現れた明羽は手紙を受け取り宛名を見ると花葉家の当主スズランからだった。
「アヤメさん、わざわざ遠くまでありがとう。この後は咲夜さんの所へ?」
「はい!咲夜さんの所に行ったらすぐに帰りますので、では!」
アヤメは颯爽と走り去った。誰もいない事を確認し明羽は手紙を読むが読むにつれて疑いが確信に変わっていき大事に手紙をしまい屋敷に戻った。
「一夜、入るわよ」
「ああ…」
鈴宮家の当主一夜は畳に座り机で書き事をしていた。
「今日の任務、咲夜と組ませて」
「何故だ?」
「咲夜に教えなきゃいけない事を思い出したの」
一夜は筆を置き、いつもはそんな事を言わない明羽を怪しんでいた。
「咲夜に何を教えるんだ」
「舞についてよ…あの子送る時、必ず足の順番が逆になっているのよ。あまりにも間違え続けてまたあの時の様になったら大変でしょう?」
「そうだな。私はその辺のことは出来ないから明羽から言ってくれて有難い」
全能な鈴宮家には厳しい掟があり、当主になった者は今後一切、現世には行けず村の外には神が許可した場所しか行けないのである。鈴宮家の神使いにも舞は完璧に踊らないと罰が下り、小さい頃に行われる儀式では一歩でも間違えると神使いには慣れず落とされると言われている。
「そう言うことでお願いね」
「ああ、助かる」
二人は幼馴染という事もあり信頼していた。
この時までは。
色葉は紅葉の部屋を訪れるとそこにはアオもいた。
「アオさんどうしてここに?」
「私がお願いして手伝ってもらっているんだ」
机の上には山積みになった資料があり畳には紙が散乱していた。
「色葉さんも手伝ってください。マオ様がここまで溜め込んでたとは思っても無かったです」
色葉は周りを見るが畳6畳ほどの空間は紙で座る所が無かった。
「とりあえず…場所変えません?」
いつもの場所へ移り、色葉は紅葉とアオに飲み物を出した。
「それで…私に手伝えることある?」
「そうだな…なら鬼の村へ行ってくれないか?」
紅葉の一声で鬼の村へ向かうことになった色葉の肩にはお供としてあの黒猫がいた。
「えーと、この首飾りをしていると王の代行として来たことを証明できる…」
一人行動が初めてな色葉は何度も確認する様に渡された資料を歩きながら見ていた。
「はぁ〜本当に大丈夫か?色葉…私は心配だよ」
歩みを止める色葉は肩に乗っている猫を恐る恐るみる。
「今、喋った?」
「猫が喋ったらおかしいか?」
固まる色葉は猫を肩から下ろしハッとする。
「あぁそっかあなたは化け猫だった…えっでも今まで喋ってなかったけど…」
「ああそれは、ただ様子を見てただけ」
「なるほど…あなたはメスなの?」
「そうだ」
「じゃあクロちゃん?」
クロとは紅葉がただつけて呼んでいた名前だ。
「そのことだが、紅葉は名前を決めるとき見たまんま呼ぶだけで意味など考えないんだな!私のことはクロとは呼ぶな」
今までのことを思い出すと心当たりがないわけじゃ無く何とも言えない気持ちになる色葉は少し困った様にクロに話しかけた。
「まぁ紅葉も悪気があるわけじゃ無いよ…それなら何て呼べばいいの?」
「それは…色葉が決めろ」
「私が?」
「そうだ…ちなみにアオは名前など決めず黒猫って呼ぶだぞ」
わぁアオさんらしいな……
読んで頂きありがとうございます。




