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勇者を継ぐ者  作者: 本城達也
オストルン大陸冒険へ
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海水浴へ

 魔王エビルサタンとの戦いが終わって1年近くが経過した。



 あの戦いがまるで嘘であったかのようにこの一年近くの間、魔族の侵攻はなく、平和な日々が続いた。


 大戦後、タズたちはグレンから稽古を受ける傍ら、王都の城壁を修繕し、その後、ブリズバーンへと移ってブリズバーンの壁を修繕していた。



 ブリズバーンは王都と異なり、3か所も巨大な穴が開いてしまっていたことから修繕にだいぶ時間がかかった。



 城壁自体は比較的早く生成することが可能だが、生成した城壁を元通り以上の強度、すなわち十分な魔力を保有させて魔族を阻む頑強な壁とするためには1か月間魔力を補給し続ける必要があったのである。



 そしてそんな修繕作業も2日前にようやく全て終えて、昨日は盛大なセレモニーと2人の送別会が開催され、今日、2人は長かった公務から解放されることとなった。



 2人には城壁修繕の公務の間、国王陛下からブリズバーンにある王族の別荘を貸し与えられていた。



 それはとてつもなく広い宮殿であり、部屋も何部屋もあったが、庶民派な2人にとっては1部屋あれば足りており、今日も2人は一緒の部屋で仲良く寝ていた。



「うーーん。

タズ、おはよ」




「むにゃ・・・

 お姉ちゃん?おはよぅ・・・。

 ふぁあー!」




「さあタズ、起きて王都に帰る支度しましょ!

 今日はクロエとも遊びに行くしね!」



「はぁい!」



 仕事を終えた記念に、今日は王都に帰りながら思いっきり遊ぶことにしている。



 クロエたち家族も王都からブリズバーン方面へと遊びに来てくれる予定である。



 合流する場所はリゾート地でもあるブリズバーンで、季節は夏となると1つだった。



 ブリズバーン南東の海岸


 その昔、賢王(賢者の女王)と勇者グレン・ゴールドが南からブリズバーンに攻め込んできた魔族を討ち払った場所、魔族が一掃されて平和になり、一気に開拓が進んだ場所である。



 今ではそこは「クインズ・ゴールドコースト」と呼ばれる長く、とても美しいビーチができている。




「イリア様、タズ様おはようございます。

 朝食の準備はできております」



「「おはようございます!ありがとうございます!」」



 タズたちの朝はエルフ族の血も影響してか、基本シリアルである。



 森や畑で取れた様々な種類の穀物に木魔法をかけて美味しく仕上げた後、新鮮なミルクをかけていただく。これがたまらなく美味であった。



 試しに美味しそうに食べるタズをジッと見つめていたメイドにタズが食べていたシリアルを少し食べさせてあげたところ、そのメイドは幸福感のあまりに卒倒してしまった。


 いくら美味しいとはいえ、卒倒するのは行き過ぎだと思われるが、タズにあーんしてもらったスプーンを咥えたまま倒れたそのメイドは天国にでも逝ったかのような幸せそうな顔をしていたという。そして、それを見たイリアは、毎度無自覚な弟の様子にため息をつくばかりだったという。



 タズたちが借りることになった別荘は王族の別荘であるため、当然メイドもいる。


 そのメイドたちはタズたちの面倒をみることができるということで王宮にとんでもない人数が志願者として詰めかけて大争奪戦になったという噂もあるほどだった。


 広々としている上に食事等の家事をしてくれるメイド付の至れり尽くせりの居住環境であるが、街を救い、街を修復までしてくれる英雄に対しては当然の待遇でもあった。


 しかし、それらの公務すらも勇者の弟子の当然の義務として無償でやろうとしていた二人にとっては、この至れり尽せりな生活は恐縮しっぱなしの生活でもあった。



 そんな生活を終えて、ようやく王都の住み慣れた教会に戻ることができると思うと、本日のタズたちの解放感はひとしおのものでもあったのである。



 美味しい朝食をいただいた後、タズたちは旅支度をしてメイドたちに見送られて屋敷を出た。


 メイドたちは皆、涙を流しながら見送っていた上、近くの住民たちも昨日盛大な送別会をしたばかりだというのに朝から別荘前に詰めかけてタズたちの見送りに来ていた。



「イリア様もタズ様もお元気で!今までありがとうございました!」


「ううん!みんな今までありがとね!また遊びに来るからねー!ばいばーい!」



 ブリズバーンから待ち合わせ場所のクインズ・ゴールドコーストへは魔法でひとっ飛びである。



 街の上空を飛び回るタズたちを見て街の人たちは半年前までは驚いていたが、今では2人が街を救い、街を修復してくれた英雄グレンの弟子であることを知らない者はいなくなり、皆が手を振りながら見送ってくれるようになっていた。中には祈り出す者もいたほどであった。



 絶望の淵に叩き落され、穴の空いた壁から再び魔族が押し寄せてく恐怖におびえていたブリズバーンの街の人々だったが、タズたちがこうしていてくれているおかげで今は日々安心して暮らすことができているので、祈りを捧げる者がいることは何らおかしなことではない。



「空からこの街の様子をみるのもしばらくお預けだと思うとちょっと寂しいね・・・」


「そうね。でも、次来るときにはきっとこの街ももっと復興が進んで賑やかになってるはずだわ。

 その時に来るのを楽しみにしてましょ!」


「確かに!そうだね!」


「寂しいモードはこれでおしまい!

 今日は思いっきり遊びましょう!

 海水浴楽しみね!」


「うん!お姉ちゃん、ボク泳げないから泳ぎ方教えてね!」


「え、ええ。も、もちろんよー。

 た、たのしみねー」

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