グレンの秘密②
グレンが天空の塔で見つけた魔族の子どもは、グレンと同い年(10歳)くらいであった。
「おい、お前!
もしかして迷子なのか?
名前はなんていうんだ?」
「ぐすん・・・私・・・
アイリス・・・ここどこ?
ぐすん・・・」
「だ、大丈夫か?
きっと魔界から間違ってきちゃったんだな・・・。
よし!俺が家族を探してやるよ!」
「ホント?
えへへ、ありがとうお兄ちゃん!」
その子供は可愛い魔族の女の子で、名前をアイリスと言った。
グレンは衝撃を受けた。
グレンにとって魔族は倒すべき敵でしかなかったが、その女の子からは全く敵意を感じなかった上、倒そうというより、街の皆と同じかそれ以上に、守ってやりたい、守ってあげなきゃいけないという感情が湧きあがってきていた。
「お、俺はグレンだ!
よろしくな!」
アイリスのことを魔界の迷子と考えたグレンはとりあえず魔界に行き、アイリスの家を探そうと考えた。
しかし、天空の塔を起動しようと何度も試みるも天空の塔の転移門はなぜか故障しているらしく、全く動かなかった。
いつの間にか魔界への道は塞がれていたのであった。
「クソ!なんで動かないんだ!
アイリス、ごめんな。
なんか動かないみたいだ。
お前のお家に帰れそうにないかもしれない」
「え?私、お家に帰りたくない。
あそこには私の家族がいないの。
私、家族を探してるの。
グレンが私の家族なの?」
アイリスはそんなことを言った。
グレンはアイリスの話から、彼女は魔界で何かがあって魔界から勘当され、地上に流された子であることを察し、そうであるなら敵対する理由はないということで保護することに決めた。
「そうだ!
俺はアイリスの友達だし、家族だ!
よろしくな!アイリス!」
アイリスは見た目はほぼ人族と同じで、綺麗な銀色の髪をしていたが、唯一の違いとして、頭には小さな角が2本あった。
小さな角とはいえ、地上に角を持つ種族はいない。誰かに見られたら魔族であることはすぐにわかってしまうだろう。
その上、勇者が魔族を保護したなどともし発覚すればどうなるかわからない。
「うーん。
問題はその角だよなー。
なんか帽子でも持ってれば良かったんだけど・・・」
「この角あったらマズいの?
それなら・・・
えいっ!
これでどう?」
アイリスが魔法を使うと、2本の角は綺麗になくなっていた。
それは、変身魔法であった。
変身魔法は高難易度な無属性魔法であり、グレンはこれを使う者をこれまで見たことがなかった。
「アイリス・・・
お前・・・
魔法の天才だな!」
「でしょ!でしょ!」
グレンはいとも簡単に無属性魔法を使ったアイリスを警戒するどころか、凄い魔法を使えることを喜んでいた。
そうしてグレンはオストルン大陸のシドル王都の実家へとアイリスを連れ帰った。
魔法の天才少女アイリス
少女はそれから次々と新しい魔法を生み出していき、のちに賢王と呼ばれるようになる。
そんな存在が実は魔族であったことはグレンだけが知る人族史上最大の秘密であった。




