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勇者を継ぐ者  作者: 本城達也
第一次オストルン大戦【後半】
41/106

四天王バトラー

 アルフレッドに引き続き、王宮騎士たちもまた、戦場を見渡しながらアルフレッドが発した「グレン様の弟子」という言葉を徐々に理解してきていた。



 小さくて頼りなさそうな少女と少年であるが、4倍の体格差があるデスミノタウロスを一撃で葬っている。



 騎士団長はじめとする一部の実力者を除けば、デスミノタウロスは、王宮騎士たちが複数掛かりであってもその攻撃をいなすだけで精一杯であったにもかかわらず、少年たちは、瞬く間にモンスターたちをたやすく消滅させていっている。




 その事実の意味を徐々に理解してきていた。




 これまで王宮騎士たちが何人も弟子にして欲しいと志願しても頑なに弟子を取らなかったグレンがいつの間にか弟子を育てていた。


 グレンの弟子になれる者・・・その資格がある者が一体どういう人物なのか。



 目の前の光景を見て、次第に理解していった。




 目の前の少年たちは、物語に出てくる勇者そのもの。



 決して勝てないと思わせた相手に立ち向かっていき、はじき返していく、人族の最後の希望。

 グレンの弟子、それは新たなる勇者の誕生を意味することをついに騎士たちは理解した。




 そして騎士たちの表情からは、もうダメだ、王都はおしまいだという絶望の色が消え、やってやるといったような力強さと勇気が戻ってきていた。



 人々に魔族と戦う勇気を与える者、それもまたタズたちが勇者である証でもあった。




 アルフレッドを始めとする王宮騎士団一同は、イリアとタズを勇者と認め、これをサポートすることに徹底することを決めたのであった。



 人族の希望は勇者と共にあるのである。



 タズとイリアが主力となり、王宮騎士のNo.1、2のアルフレッドとジョージが討ち漏らしを討ち取っていく。



 王宮騎士がこれをサポートして的確にモンスターを振り分けて行った。


 

「おら、このデカブツ!

 こっちだ!」


「ビーン!その角を曲がってそのままそこを一周してからこっちに持ってこい」



 王宮騎士たちはモンスターに一撃を喰らわせて注意を引き、逃走し、的確に交通整理をしていった。 

 


 そうこうしていると、モンスターたちはみるみるその数を減らしていった。



 タズとイリアも、モンスターを倒す度に経験値を得て、その腕に(10)という文字が刻まれた頃には戦いはどんどんと楽になってきており、一度に4体以上のデスミノタウロスを相手にしても攻撃を受けることなく倒すことが可能なほどに力を高めていた。



 数百を超えるであろう多数いたデスミノタウロスたちも残り少なくなってきており、勝利が間近に迫ってきていたことは明らかだった。



 だが、そんなときであった。戦場の流れが完全に人族に傾いたそのとき、戦場全体を威圧するかのような圧倒的なオーラが戦場へと現れたのである。




 崩れた城壁の奥から、おぞましいほどの禍々しいオーラを漂わせながら、デスミノタウロスに良く似た巨牛の姿をし、デスミノタウロスの体格をさらに一回り大きくしたような怪物が現れた。



「タズにイリアと言ったか・・・

 よくも我が配下を倒してくれたな」



 圧倒的なオーラと共に発せられたその強圧的な声に敵味方の全て―戦場全体が硬直した。



 そのオーラは、タズたちが先ほど森の中で感じた魔王の気配と同じものであった。



「ま、まさか魔王!?」



 王宮騎士団とタズたちはその魔物、いや、言葉を話すので魔族であろう、


 その魔族が発する桁違いのオーラに身震いした。



 これほどの威圧感、ただの魔族ではないことは一目瞭然であった。



 タズとイリアは、デスミノタウロスを倒してレベルが上がっていたからこそ、バトラーの強さ(ヤバさ)がよりはっきりと感じられるようになっており、デスミノタウロスなどとは比較にならないその強さに硬直していた。


 

 感じられる威圧感からは、目の前の魔族が自分たちよりも遥か高みにいることが明らかだった。



 怪物の口元がニヤリと歪んだ。



「フハハハハ!残念ながら我は魔王ではない。

 魔王エビルサタン様の配下の筆頭、悪魔族の四天王バトラーである。


 勇者の弟子どもよ、貴様らを殺しに来た」


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