表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者を継ぐ者  作者: 本城達也
第一次オストルン大戦【前半】
39/106

レベルアップ

 タズが初めてデスミノタウロスを倒したときのことである。


 タズは、初めて魔物(モンスター)を倒したが、モンスターを倒した瞬間にドクンと身体が脈動して力がみなぎってきたのを感じた。



 そしていつの間にかタズの右腕の二の腕の辺りにⅠという文字が刻まれた痣ができていた。




 100年前の大戦以降、魔法や魔物モンスターと共に密かに消滅していた概念―レベル―が復活し、タズのレベルが0から1へと上がったのである。





 別名女神(アテネ)の加護とも呼ばれるその概念は、勇者とそのパーティ以外には存在しない概念でもあったため、100年前の大戦以降、それが消滅していることに気付いた者はいなかった(なお、グレンだけは120年前から現在までずっとレベルを有している)。




・・・・・・・・・・・・・・・




 バトラーにとって、今回の作戦の唯一の穴、痛恨のミスはここであった。タズらにモンスターを大量にぶつければ疲弊し、マナを消費させる一方だと考えていたのである。ところが、皮肉にもその作戦は、タズとバトラーのウサギと獅子ほどにかけ離れていた力を均衡化させる方向に傾けてしまうことになってしまうのであった。




・・・・・・・・・・・・・・・・



 それと同じ頃、キャッスルヒル地区最南端では・・・


 絶望の淵に立たされていたトマスとウィルであったが、目の前のモンスターが振りかぶったその斧を振り下ろすことはなかった。



 あの巨体が上から真っ二つに切り落とされたからである。



 あんな巨体をどうやって真っ二つに切ったのか・・・


 まさか騎士団長なのか、それとも今日は王都にいないという噂のあの方が来てくれたのか、そんなことを考えながら消滅したモンスターの陰から現れたその人物を見て、トマスとウィルは固まった。


「イ、イリア・・・お前」


 そこには金のサイドテールを揺らしながら美しく剣を振るう美少女がいたからである。



「あなたたち!ここにいたら危ないわよ!

 早く逃げて!」


 ついこの前まで、弱虫で何もできなかった少女は、いつの間にかトマスとウィルを追い越して、まるで騎士のようなことを言い出したのである。


 その言葉をすぐに理解した2人は、引き続き脱兎のごとくこの戦地から逃げ出していった。

 ただし、その顔はさきほどまでの絶望した表情ではなく、どこかポーっとしていて頬が緩んでいる。

 逃げながら振り返ると、綺麗な少女が踊るように戦ってモンスターたちを引きつけており、こちらまでモンスターが追いかけてくる様子はなかった。


 金色に光る髪を舞躍らせながら化け物を圧倒していく可憐な少女は、天使そのもの。



「あ、あのイリアが天使に見えたんだが、俺の気のせいだろうか?」


「い、いや、俺にもそう見えたから気のせいじゃないだろ・・・」



「「・・・・・・・・・。」」



「今度会ったら今までのことアイツに謝ろうぜ・・・」


「そ、そうだな」


 そんなことを相談しながら2人はキャッスルヒル地区を抜け、モンスターのいない安全なエリアまで戻ってくると、避難する人々の誘導を率先してするようになったという。



 のちの王宮見習い騎士のイリア親衛隊、その誕生の瞬間であった。



 なお、イリアがそれに豪く迷惑したことは言うまでもない。



・・・・・・・・・・・・・・・・





 イリアもまた、生まれて初めてモンスターを倒したそのとき、力がみなぎってくるのを感じた。

 イリアのレベルもモンスターを倒して上がっていたのである。


 イリアは自身の身体に起こったことを理解できなかったが、あの日、マナが身体に宿ってから何が起ころうと今更という気持ちにもなっていたのであった。


(どうせ、これもあの子(タズ)のおかげなんでしょ)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ