覚醒
「おいおい、さっきまでの女たちはどこへ行った?おい、お前。女どもどこへやった。あいつらもしょぼいとはいえマナ持ってるみたいだから一応喰っておこうと思ったのに・・・」
「お、お前はさっきエビルサタン様に歯向かって殺されたマナ0のガキじゃないか!なんで生きてる!?」
タズが後ろを振り返ると、先ほどのリザードマンとオークキングが部下と思われる多数のオークとリザードマンを連れて村の中へと戻ってきていた。
「逃げやがったか。おい、急いで村の周囲へ探しに行け!」
他の部下のオークとリザードマンが号令に従って村の外へと駆け足で出ていこうとする。
そんなオークたちをみてタズは・・・
「お前たち・・・絶対に許さない」
「ん?このガキ何か言ったか?マナ0のガキじゃなんの役にも立たん。どうしたもんか・・・また人質に使うか?」
タズは全力でリーダーのリザードマンの下へ向かっていった。
しかし、殴りかかろうとするも、タズの拳が届くことはなかった。
そこから先はあまりにも多勢に無勢であった。
「このガキいっちょ前に向かってきやがった。少し痛い目に合わせてやれ」
号令に従って村から出て行こうとした多数のオークとリザードマンがタズに襲い掛かり、すぐにタズをボコボコにした。
タズはなすすべもなくその場に倒れた。
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(なんでボクはこんなに弱いんだろう・・・お姉ちゃんも守れなかったし、母さんも村の皆も守れなかった・・・。悔しいよぉ・・・)
タズは今日、何度目かわからないが己の無力さを悔いた。自分の命は全く惜しくなかった。逃げ出す気も全くなかった。ただ、村を襲った連中に一矢報いたかった。
(ボクに力をください・・・あいつらを追い返せる、そんな力がボクにあれば・・・)
ペンダントを握りしめてタズは神に祈った。奇しくもタズが倒れた場所は女神像の前だった。
そんなときだった・・・。
―――タズの胸元のペンダントが光輝きだしたのである。
――――ああ、やってやるよ。お前はちょっとそこで寝てな。
誰かの声が聞こえた後、タズは意識を失った。
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「なんだこのガキ、こんなに痛み付けたっていうのにまだ立ち上がってきやがる」
「お、おい、ちょっと待て、お前、このガキのマナが0だと言ってなかったか?」
オークキングがまだ立ち上がるタズに驚愕すると、リザードマンのリーダーが、オークキングに対してさらに驚愕しながらそう語り掛けた。
―――立ち上がったタズの周囲にはこの世のものとは思えぬ膨大な魔力がうごめいていた。
その量は先の大戦以来あり得ぬはずの量の魔力である。
「ちっ!何だか知らんが相手はただのガキだ。今のうちにとっととやって喰っちまえ」
「――来い。ブリゾネーター」
多数のオークたちがタズに襲い掛かろうとしたその瞬間、タズが小さくそうつぶやくと、周囲にうごめく魔力がタズの右手に収束していき、やがて白く透明に光り輝く剣へと形を変えた。
「おい、な、なんだその剣は!?」
オークキングらが急遽現れた謎の剣に驚愕していたところ、タズが光輝くその剣を一振りすると、辺りはすぐに静寂に包まれた。
―――周りにいたオークキングらを含む数十体の魔族は、その一振りの前に全て崩れ落ちて消え失せた。
崩れ落ちた魔族の身体が消滅すると、一部の魔族が消えたその下からは小さな青い魔石が残った。
その魔族が食べた村人たちの魔石である。
タズはその魔石を拾い上げてペンダントへとしまうと、意識を失ったかのように倒れた。




