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召喚されて骨  作者: わいとー
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16.報告しよう!

16.報告しよう!


サクッとギルドまで戻ってきた。

またまたチャリティーに黄金魚200匹以上を渡してびっくりさせた。

今回は質についても最高評価だ。

モリで付いたのと、一本釣りして時間止めたのとでは、比べるまでも無かろう。

ほんとは、上手いモリ突きが即死させた方がおいしいんだけどね。

冒険者にそんな職人技を求めるのは酷である。


どうやって釣ったのか?とか、鮮度が保てているのはなんでだ?とか、いろいろ言ってきたが、秘密で通した。

冒険者ギルドの鉄則として、「ギルドは冒険者の秘密を探らない」というものがある。

大分前のギルド長が、冒険者が命を対価に集めた、採集の知恵や、討伐対象の弱点、未探索の遺跡の場所等を、調べて売ったことがあった。

その翌日には、魔動甲冑をまとった冒険者たちが大挙し、ギルド長からおもだった役職者全員を公開処刑にした。

その場で、次のギルド長に冒険者から指名された者が、自らの血で先の条文を書いて誓い、命乞いをしたのが、この鉄則の始まりである。

とはいえ、採集の知恵や、魔獣の弱点はある程度公開した方がいいのは自明の理。

冒険者が公表する分には鉄則に関与しないため、今日まで様々な情報が交換されてきたのである。


 採集方法のフライフィッシング自体は、公開してもかまわなかったが、道具が創造魔法によるものなので今回は隠すことにした。

創造魔法に頼らずに自作してもいいのだが、黄金魚の価格では、新規にフライフィッシングの道具を開発しても赤字だろうし、こちらにメリットも無い。


―――――――――――――――――――――――――――――――

パーティー:アマテラス

ランク:ノービス

採集依頼:2/3

討伐依頼:不可

調査依頼:不可


依頼:黄金魚採集

評価:最高

報酬:9000マグ (基本報酬+特別報酬)


制約:初めの討伐依頼を、ギルドより斡旋する。


――――――――――――――――――――――――――――――――――


 依頼の報告は済み、報酬を受け取ったところで支店長のズラーが呼んでいると、受付嬢に声をかけられた。

何の用か聞いてみるが、ズラーから直接伝えるのといか返答が無い。

面倒事の予感しかしないが行くしかあるまい。


「急に呼び立ててすまないね。

さぁ、掛けてくれたまえ」

「お構いなく。

すまないが次の依頼で東に行くつもりだ。

手短に頼む」

話が長くなるものいやなので、適当に有りもしない予定を伝えておく。

まぁ、すぐにでも出発できるのも、次の採集依頼の場所が東なのも間違いではないのだが。


「依頼に熱心なのはありがたいが、一日くらいは間をあけた方が、生存率が高まるよ?

あくまでも、どうするかは君たちの自由だがね」

「ギルドらしい忠告だな。

それで、用件はなんだ?」

「うむ、その、なんだ……。

君らは3人でパーティーを組んでいるのだがね……。

戦力的に、なんだ、不安等は無いかね?」


どうもズラーの歯切れが悪い。

いやな予感はさらに高まる。


リーナも同感のようだ。

リリーは暇そうだ。


「なるべく早く出発したい。

簡潔に頼む」

とりあえず、用件を早く行ってほしい。

面倒事なら排除も考えなければならんな……。


ズラーがあきらめたように切り出した。

「複数のクランが君たちに興味をもっている。悪い意味でだ。

理由は間違いなく君たちの装備だ。

ワイト君とリーナ君の装備は、魔動甲冑で間違いないのだろう?

リリー君の服もかなりの物だと聞いている。

多くのクランが君たちの装備と、その出元を欲している。」

街を出ると襲われるから、その前にどこかのクランに入ってしまえということか。

単刀直入に聞くと、

「端的にいえばそうだ。

今ならまだ被害は無いし、ペンタゴンの一人が君たちに興味を持ったそうだ。

ワイト君の鎧に心当たりがあると言っていた。

ペンタゴンに所属してしまえば、少なくともホライズン以外のクランは手を引かざるを得ない。これは、君たちの安全のためにも重要なことなんだ。

考えてくれないか?」


なるほどなー、やはり装備はもう少し自重しておけばよかったか……。

完全におれのやりすぎのせいか?


しかし、ペンタゴンの一人がおれの鎧に心当たりがあるっていうのは、ウソでなければ、転生者で、しかも、かなりも近い時代の者である可能性が高いな。

会っておいた方がいいか……。

まぁ、害があればそれなりの対処をすればいいか。


「用件は分かりました。

確かに、我々の装備は魔動甲冑です。

どれも珍しいタイプなので、出元を知りたい物は多いでしょう」

「やはりそれは、魔動甲冑であったか……。

で、どうする?

ペンタゴンの者に会ってくれないか?

実は隣室で待機してもらっている。」


用意がいいな……、早まったか?

「偉大な先輩にそこまでしていただいたのであれば、会わないわけにはいきませんね。

我々が隣室まで伺いましょう」


大変面倒なことになった。

ズラーに連れられ、隣室に移る。

先ほどの部屋より数段豪華だ。照明も調度品も魔法により保護が掛けられている。

まさしく貴賓室とでもいうものだろう。


部屋に入ると全身タイツが居た。某ゲームの潜入工作員の戦闘服だ。

転生者か転移者であることは確定したな。


「フォックス! そのレナスさんとロリ魔法少女天使はどこで手に入れた!

性欲を持てあます」

全身タイツは興奮した。

間違いない。地球人の紳士だ。

リーナとリリーはおれの後ろに隠れた。


「落ち着け。まずは自己紹介をしないか?

情報交換はそれからでもいいはずだ」

「すまない。

あまりにも懐かしかったので、我を忘れてしまった。

ズラー支店長、すまないが席をはずしてもらえないだろうか?」

「分かりました。お話が終わりましたら、そこの呼び鈴で掛かり者にお知らせ願います」

「ああ、約束しよう」


ズラーはそそくさと席をはずした。

さて、このスネ○クはどう扱ったものか……。

どの道、話をするしかないか。

いきなり鑑定するのも敵対行動になりかねんしな……。


考えているとスネ○ク (仮)が話し始めた。

「まずは、急に呼び出す形になってしまったことをお詫びしたい。

しかし、状況はかなり切迫していたんだ。

いくつかのクランが、君たちの装備を山分けする条件で襲撃を計画していた。

と言えば分ってもらえるだろうか?」


それを聞いたリーナは戦慄した表情だ。

リリーは暇そうだ。


「どこのクランでしょう?

そして規模は?」

リーナが尋ねる。

「中堅クランの「ライトニング」、その子クランに当たる「ショック」、そして、最大クランの「ホライズン」だ。

規模はそれらの精鋭20くらいだな」

「ホライズンだと!?

なぜそんな大クランこんな新人を?」

リーナが顔を青くして尋ねる。


リリーは退屈で寝てしまった。


「リーナよ、あわてなくても彼は教えてくれる。

そのために来たのだろう?」

「ワイトさん……でしたか?

その通りです。

その落ち着きよう、あなたが転生者で間違いありませんか?」

「それをこたえる前に自己紹介をしませんか?

我々はまだ、あなたの名前すら知らない」

一方的に知られているのも気持ち悪いからな。


「そうでした、では私から。

私は佐藤玄(さとう げん)といいます。

転生者です。もうこちらに来て10年はたっています。

この装備と能力は転生時にもらったギフトです。

性能は元ネタの某シリーズの通りです。

あ、ほかの人が使えない設定も生きてますよ。

生命センサーにワイトさんと女の子が反応しないのは、機械生命かアンデットにでも転生したのでしょう?

元ネタはわかりかねますが。」


佐藤さんの話にウソは無い。

鑑定は気付かれる可能性があるので、パッシブのウソ検知で判定してみた。

今のところ害意は感じられないな。

とりあえず、こちらのことも話すか。

この世界のこと、特にギルドの中に関してはかなり知っているだろう。

是非とも友好的な関係を築きたい。


「佐藤さんの予想とは少し違いますが、私は召喚されたものです。

一度殺され、スキルで蘇りました。

なので、ギフトなるモノは存じません。

私の鎧はご存じのとおり、あなたと同じ某シリーズのニンジャが元ネタです。

お互いの能力については、現時点ではあまり知らない方がお互いのためだと思いますので割愛しましょう」


佐藤さんは少し驚いているようだ。

転生者と転移者が両方いるとはあまり考えないのかもしれないな。

実際、おれも猫に転生したイオリさんを見ていなければ、転生者の存在は半信半疑だっただろう。


「よく召喚主から逃げ出せましたね。

死んだときに隷属が切れたんですか?

勇者なんかは、洗脳までされているのが当たり前で、助けたいんですがなかなか手が出ないんですよ。」

「能力に関係することなので、何があったかは言えませんが、蘇生までに時間がかかりまして、その間に死体を捨てられたので自由になったのですよ。

この二人とはそれからの付き合いです」

「いろいろ大変だったのですね……。

ところで本題なのですが、ペンタゴンに入りませんか?

予想しているかもしれませんが、ペンタゴンは全員が転生者です。」

ここまでは予想通りだな。

あとは、二人の安全を確保できるなら所属してもいいと思っている。

ほかのメンツ次第だな。


「みんな日本人でしたし、時代も10年とズレていません

対外的には転生者5人のみのクランですが、こちらで僕らが知り合った仲間も準会員として所属しています。

ですので、お二人とも今までどおりの行動をしてくださって構いませんよ。

僕らも普段はクラン結成前のメンツで行動していますし。

まぁ、僕はソロですけれどね」

「提案は十分魅力的ですが、こちらに来てから碌な目にあって無く手ですね。

自分でも思うのですが、相当な人間不信なんですよ。

対外的には、ペンタゴンの庇護下に入ったということを周知して、正式に加入するのは、ほかの皆さんに会ってからでもよろしいでしょうか?

あと、これは許していただけたらですが、みなさんに鑑定を行いたい。

お願いできるでしょうか?」

「おっしゃることはもっともですね。

警戒することは大事です。正式な加入は後にしましょう。少なくとも庇護下にあるとなれば、ホライズンもそう簡単には手は出さないと思います。

ほかのみんなに会うことは、少し時間がかかりますがこの場で約束します。

鑑定は、個人の判断によるとしか言えませんが、私は受けましょう。

その代わり、ワイトさんの能力を教えてもらいますけど」

「他言無用を約束していただけるのであれば、教えましょう」

「約束します」

とりあえず、ウソでは無い。

まぁ、鑑定といっても、今回は全知を使うからどうするつもりかはわかるな。


「では、失礼して

鑑定」




個体名:佐藤(サトウ) (ゲン)

種族:神人 (転生者) 年齢:29

性別:男

体重:63.5kg 身長:180cm

スキル:「異世界言語理解」「銃器習熟」「近接戦闘術」「異世界装備」「隠密」

状態:「緊張」「第三者視点」

個体情報:地球からの転生者。ゲームオタ。転生後、ギフトでもらった装備や能力を狙われ様々な組織と敵対するも多くを壊滅させている。その過程で複数の異世界人が居ることを知り、同志とクラン「ペンタゴン」を結成、かつての自分と同じように狙われる異世界人の保護と敵対組織の壊滅を目的に活動している。

ホライズンの装備狩りに巻き込まれそうな初心者を保護しようとしていると、元ネタが同じ鎧を着ている者を発見。同郷のものであればクランに加えようと考えた。




こいつ、主人公みたいなやつだな。

あと、「第三者視点」ってゲームみたいな視界になってるのか……?

しかし、同郷の者を優先する思考か、こいつに協力すると最悪、転生者&転移者 VS この世界 って流れにもなりかねないか?

まぁ、寿命で死ぬみたいだし、この世界での立場を築くまではいっしょにいてもいいのか?

接触を図ってきた理由もわかったし、今回は友好的に終われば後は割とどうでもいいか。


「鑑定の結果から、あなたは信じるに足りる人だということがわかりました。

疑ってかかったことを詫びさせて下さい」

そう言って頭を下げる。

リリーを見ると、よだれ垂らして寝てる。


「気にしないでください。

僕もこちらに来てから、騙されてばかりで人間不信になりましたし。

では、ワイトさんの能力を教えてくれますか?」


どこまで教えようか……。

アンデットで魔法が得意くらいにしとくか?

ずっと顔隠すのも無理だし、骨になったことは言ってみるか。

もしかしたら、似たやつもいるかもしれないしな。


「その前に、ひとつ教えてください。

あなたの仲間にアンデットに転生した人はいますか?」

「はい、あくまで自己申告ですが、アンデットが一人います。

たしか種族は「デス」、死神だと言っていました。

見た目は人間といえなくも無いので、ペンタゴン以外には知られていませんが」


なるほどな、最初に生命センサーがどうとかいっていたが、仲間にいるのならばそういう判別方法も分かるか。


「今の質問で予想できたと思いますが、私もアンデットだと思います。

厳密には、死んでも活動できるようになったという方が正しいのですがね」

鎧を平服に変化させる。

白骨の顔と手足を見て、佐藤さんは少し目を見開いた。


「この通り、私は骨しかないのですよ。

召喚された時に薬を飲まされまして、肉体を失ってしまったのです」

「それは……、大変でしたね。

どこの組織にやられたか、聞いても?」

「サウスランスに根を張る教会勢力ですよ。

こちらのリリーも教会の犠牲者です。」

「なるほど、教会は勇者を抱えていますから、ここ数年は内部を探れていませんでした。

まさか、あなたのような人が犠牲になっていたとは……」

「済んだことです。

お気になさらないでください。

結果として、リーナとリリーに会えたことですしね」


今さら教会と事を構えるつもりも無い。

勇者と聖女にされたあの二人を助けたいというのであれば、やぶさかでも無いがな。


ぼちぼち、脱線から戻って能力の話をするか。

「さて、では私の能力についてお話しましょう。

まず、この通りアンデットですので死にません。

そして、多少ですが魔法を使えます。

少なくとも、野党(勇者)や魔物(魔王)を蹴散らす程度の力はあるつもりです。」

リーナが笑いをこらえている。

こら、ウソがばれてしまったじゃないか。

訂正するつもりは無いけどね。


「わかりました。

僕は鑑定を使えないので、信じるしかありませんが、おっしゃる以上にはお強いようだ。

今回のことは余計なおせっかいだったかもしれませんね」


それからは、しばし雑談をした。

クラン同士の抗争、ギルドとの癒着といった、ギルドの内情。

紛争地帯や、賊の多いところといった、周辺地理の情報。

そして、この世界にはあってはならない「我々と先人たち」の遺物「魔動甲冑」の実像と大変有意義だった。

最後に、4日後に集まれる仲間と会う約束をして別れた。


去り際に、佐藤さんが言った。

「しかし、組織の後ろ盾のような分かりやすい力は、持っておいた方がいいですよ。

この世界にも、バカは腐るほどいますから」という言葉は、まさしく彼のこの十年での教訓なのだろう。


ギルドから出ようとすると、ズラーが現れた。

「どうやら、ペンタゴンに入っていただけそうですね」

最高位のクラン相手に盗み聞きとは、こいつもタダものじゃないな。

度胸がだが。

「そうだな、少なくとも敵対することはなさそうだ」

「ギルドは冒険者には「基本」不干渉ですが、内輪もめで戦力をすり減らすのは避けたいのです」

ズラーの話を聞き流しつつギルドを後にする。


ペンタゴンの佐藤は言っていた。

「最大のクランであるホライズンが複数の国から資金を受け取っている。

冒険者ギルドも近いうちに、全く別の組織に変わるだろう」と。


ギルドの内部抗争に巻き込まれないように、とっとと討伐を解放して遠征に出たい……。


戦争なんて、まっぴらだ。

せめて、安全な遠方に居たいものだ。


あっ、リーナの種族が変わっちゃたの言うの忘れてた……。

宿に帰ったら言おう。


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