~第十七章~杉弓吾朗座
緊迫の空気が辺りに流れる。
狼の足元に垂れる膵液と血液。
額に感じられるほどの殺意と緊張の汗。
分かってはいたがこの狼やはりただの狼ではない。
無意識に刀を握る握力が強くなってしまっているのが分かった。
上総たちが心配だ・・・いや、今は人の心配をしている猶予は無いか。
刀を握る力を弱音肩の力を抜く。
量目をゆっくりと閉じる
ひとつ大きく息を吐き、両の目を開いた。
かたをつける!!
後方から風力で追い風をふかし、その風に乗って一気に加速する。
「せいや!」
驚きでぴくりとも動けなかった、狼に一太刀浴びせる。
寸前で側方に交わすも斬撃が狼の後ろ足を捕らえた。
「キャン!」
一刀三迅の刀が狼の後ろ足を骨から切り落とし、細切れにした。
動力部を失った狼は立ち上がるのがやっとのことで切り落とされた脚部からは多量の鮮血が零れだしている。
「終いだ」
そのまま反転して逃げ出す狼の眼前に風力で移動し、刀を振り上げる。
ズシャャ!
振り下ろされた刀は狼の胴体を切り裂き、血で刀身を赤く染め上げる。
狼の体は多量の血液と内臓を噴出して痙攣しながら、地面へと倒れこんだ。
胴体から切り離された頭部は大きく口を開いて泡を吹きながら、ぴくりとも動かなくなった。
「よし、終わった。上総たちが心配だ」
刀に付いた血液を振り払って落とし、鞘へ納刀する。
そのままもと来た道を戻って、俺の伝えた場所へと向かった。




